宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

おとぎの国に昇る月

2011年08月28日 05時50分28秒 | Weblog

カッパドキアは標高は1000メートルを超える高原だ。空気も乾いているから日暮れとともに一気に気温が下がる。不思議の夜空を眺めていると、右手の丘の上に月齢18の月がゆっくりと昇って来た。それはまるでおとぎの国の風景だった。こんな景色が現実に有るのだ。

カッパドキアには近くに二つの大きな火山が有る。そこから噴き出した火山灰が丘を作り、その丘を雨と雪が長い年月をかけて削り取っていった。上のほうの玄武岩と呼ばれる硬い地層を侵食した水は、その下のもろい部分火山灰が固まった凝灰岩に行き当たる。抗う事の少ないこの砂と灰の層を水はほぼ真っすぐに削り落し、まるでキノコのような奇妙な景色を作り上げた。

古代ローマ時代、ここに初めて足を踏み入れたキリスト教徒は不思議な光景に目を見張り、この谷をギョレメ=「見てはいけないもの」と名付けた。その「見てはいけないもの」を見るために世界中から人が集まり町が出来た。その町にいま月が昇る。キリスト教徒がこの奇岩を穿った頃、月明かり以外に谷を照らすものは無かったはずだ。それが今はこんなに明るい。
しかし、世界遺産に登録されたこの風景もキリスト教徒の足跡も、ギョレメを作った雨と雪が驚くほどのスピードで砂に戻してゆく。やがてこの場所はただの砂の谷に変わるだろう。そんなものだよ。昇る月は僕にそう教えてくれた。

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カッパドキアの北天

2011年08月27日 01時40分44秒 | Weblog

長い間ブログを更新しなかった。天気がパッとしないせいもあるが、本当に今年の夏は忙しい。この状態は来月末まで続きそうだ。そんな中で今月半ばのトルコ行きが決まった。半分仕事、半分プライベート。行程の中には観光地として日本人に人気のカッパドキアも含まれていた。あのキノコのような岩が天に向かって生えている場所だ。
この季節トルコは雨が降らない。ずっと晴れている。それならばあの奇岩の後ろを巡る星座を写真に納めよう。神々のいたずらを見守る星座達。きっと神秘的な眺めに違いない。


持って行ったのは小さいカメラ。竹取庵の観測デッキから落とし、レンズを壊してしまったあのキャノンEOSkissX4だ。後で調べるとボディーも全く無事ではなかったが、まあ何とか普通に使える事も分かっていた。


そのカメラとワイドレンズを携え期待に胸を膨らませながら入ったカッパドキア地方は、想像に反して賑やかな観光地だった。泊った丘の上にある岩穴ホテルは素晴らしかったが、そこから見下ろすカッパドキアの夜の町は明りに溢れている。撮れるだろうか。日周運動を撮影するなら少なくとも10分は露出したいのだが。
三脚にカメラを載せ、レリーズのスイッチを入れる。案の定、1分も露出するとモニター画面が真っ白になった。色々工夫をしてみたがどうしても駄目だ。町から遠く離れた奇岩の場所まで移動する事も考えた。しかしホテルの主人はオオカミが出る事を理由に賛成しない。
仕方がない。日周運動は諦めて目の前の止まった星を撮影しよう。カメラ感度800、絞り4、露出6秒。


うすぼんやりと並ぶ星々が分かるだろうか。跳ねまわる子熊に、心配そうに付き添う母熊。日本の宮城県とほぼ同じ緯度にあるこの地方の母熊は地平に沈まない。晴れている限りこの親子はこうして夜空を巡る。そしてそれを指差す奇岩達。みかんの丘に比べてはるかに明るいこの空だが、やはり神秘はそこに居た。


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