宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

床の張替え

2009年01月31日 00時10分09秒 | Weblog
雨漏りの心配が無くなった竹取庵だが、一階の床はそれまでに随分傷んでいた。このままではシロアリの被害が気になる。そこで観測デッキの整備と平行して一階にも手を入れることにした。
まず、仮床として張っていたコンパネを全部はがす。仮床に隠されてはいたが、根太も随分傷んでいた。ただ、傷みが中のほうまで進んでいなかったのが救い。これから少しずつ作業を進める。
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ようやく外れた作業足場

2009年01月29日 13時15分48秒 | Weblog
屋根の樋も付け終わり、しばらく竹取庵を覆っていた作業足場がようやく外れた。みんなの前に姿を現した建物は、どこから見ても天文台に見えない。近くの人がおばさんに、屋根のどこが回るのかと尋ねる事しきりだという。普通の人は天文台とは屋根が回るものだと思っているらしい。
学生の頃、長野県松本市の山小屋で何年もアルバイトをしていた僕は、ヒュッテという言葉と姿にあこがれていた。その思いを形にしたのが竹取庵。
内装はもちろん外観もまだまだ未完成だが、竹取庵は僕の夢のお城なのだ。
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屋根全開

2009年01月27日 12時10分00秒 | Weblog
鉄板を葺いた屋根は、重すぎて手では動かないことが分かった。いや男二人ならなんとか動く。しかし片側だけを手で押そうとすると、屋根がゆがんで全く動かない。そこで親父は手回しのウインチを取り付けた。
ロープをあれこれ掛け替えながら、カチカチと言う音と共にスルスルと屋根が開いていく。次第に広がっていく青空。感動のシーンだった。そんな風に作ったのだから自分でも分かっていたはずだが、屋根の全部開いた二階を改めてみると、それはまるで船のデッキのようだった。

そう。ここに観測機器が並ぶ。僕はこの場所を観測デッキと名付けた。
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こんにゃくの花

2009年01月25日 11時45分16秒 | Weblog
屋根が完成に差し掛かった頃、みかんの丘が春色に染まり始めた。木々の若芽が伸びだす中で、おばさんの家の近くにある、斜面の一角に見慣れないものを見つけた。聞けばこんにゃくの花だという。
生まれて初めて見るこんにゃくの花。全体の高さは1メートル程だろうか。地面から20センチ余りの所にがくがあるが花びらは見えない。それともこれが花びらなのだろうか。
そこからまっすぐに伸びた太さ4センチの丸い棒の付け根に白いビーズ粒のようなものがびっしりと付いていた。おしべなのだそうだ。という事はそこから先は全部めしべだ。さわると結構プヨプヨしている。なんだか不思議の国に居るような気がした。
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出来上がった南の妻

2009年01月22日 01時38分02秒 | Weblog
実は、南の妻は最後まで設計を迷っていた。北側の妻は屋根に取り付けたままで移動できるが、南側はそうは行かない。上下に動かすか扉のように開閉式にするか。
結局下に蝶番を付けて開閉式にする事で折り合ったが、作るほうは大変だったらしい。重く作れないのだ。
この妻は台風の時最も強く風を受ける場所だ。板を薄くするとしわる上に割れてしまい、早々に雨漏りがする。かといって他の場所同様厚さ3.8センチの松の板を使うととてつもなく重くなって持ち上げられなくなる。兄弟が出した答えは、厚さわずか8ミリの樹脂注入焼杉という僕の知らない材料と軽量鉄骨の組み合わせだった。
仕上がりはごらんの通り。妻の先につけたロープで簡単に開閉でき、しかも強い。

そしてなんだか秘密基地っぽい。と考えたのは僕だけだろうか。
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屋根はうす緑色

2009年01月16日 11時47分20秒 | Weblog
僕が丘を訪ねた翌日から屋根葺きが始まった。出来るだけ軽量にするため、屋根は薄い鉄板を樹脂でくるんだラミネート板を使う。ただ、この板はあまり色のバリエーションが無い。みかんの丘だけにみかん色にしようかとも思ったが余りに派手なので却下。濃い色は夏場に熱がこもるので薄い色のほうが良いというのは公共の天文台を見ても分かる。そこで無難なところで白に近いグリーンとした。本体のこげ茶色に結構合う、と思った。
竹取庵だから若竹の色、と勝手に決めて悦に入る。
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眺望

2009年01月14日 13時21分02秒 | Weblog

数日後、仕事の合間にみかんの丘に上ってみた。屋根の野地板は完成し、防水シートが張ってあった。近々板金屋さんが屋根を葺きに来ると親父が言う。雨漏りの心配が無くなった二階に上がってみた。まだ妻の取り付けられていない南の端から外の景色が見える。
みかんの丘初冬の風景。待ちに待っていたここからの眺望だった。みかんの花が咲くと、風景はどんな風に変わるのだろう。
遠くに島が見える。南風が吹けば、漏斗のような谷を通って風がこの丘にやってくる。なだらかな丘が風に勢いを付けて。
本当に大丈夫だろうか。手で持ち上げようとしたが、屋根はビクとも動かなかった。

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観測室の中で

2009年01月12日 10時46分10秒 | Weblog
翌々日の日曜日、どこまで出来ただろうと思いながらみかんの丘にあがってみた。親父が材料が足らないと言っていたのは屋根の野地板の事だった。確かに頂上付近が両側とも40センチ近く足りない。二階に上がってみると真ん中が細長く開いていて、そこから明かりが漏れている。万一の雨のために床にはブルーシートが敷いてあった。
薄暗いこのフロアーに今は眠っている望遠鏡たちが並ぶんだ。そう思うと胸が躍った。それは、初めてこの丘でおじさん達に会ったときから描いていた光景だった。

後少し。あと少しできっとそこにたどり着ける。そう思いながら丘を下りた。
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大屋根小屋根

2009年01月09日 23時31分01秒 | Weblog
屋根の骨組みが一部姿を現して数日たった金曜日。仕事の途中に丘に寄ってみると、小さいほうの屋根もレールに載せられ、さらにその骨組みに垂木が組み込まれていた。垂木は鉄骨に振動ドリルを使い、コーススレッドと呼ばれる木ネジで取り付けられて行く。全ての垂木が組み込まれるのに掛かった時間は数時間だった。手際のいいものだ。
現場を離れようとしたら、大工さんたちが垂木に野地板を張り始めた。今日は全部は張れない、申し訳ないが続きは来週だと言う。材料が全部整わなかったそうだ。
急ぐ事は無い。建設に何年も掛かった僕にとってはここまで出来ただけで夢心地だった。もっとゆっくり作ってくれたほうが長く楽しめるとさえ思った。
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姿を現した大屋根

2009年01月07日 11時52分25秒 | Weblog
竹取庵の鉄の蓋(ふた)は大小二つある。このうちの大きいほうが初めてレールに載った。まだ外側の骨組みだけだが、なんとなく建物が完成した時の姿を僕以外の人でも想像出来るようになった。
天文台が出来る、そういう噂が流れて久しかったみかんの丘に再びはっきりとした動きが見え始め、地区の人達の間でも話題に上るようになった。いろんな人が聞いてくる。あの鉄の枠は回るのか。枠の無い所はどうなるのか。出来上がったら何が見えるのか。その様子を見ておばさんは嬉しそうだ。おじさんが生きていれば…つくづくそう思った。
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竹取庵の蓋(ふた)は重さ2トン

2009年01月05日 13時44分11秒 | Weblog
足場が出来て1週間後、柱に縫い付けたチャンネルベースに屋根の支えが溶接された。これも予想したものよりかなり頑丈なものだ。この上にレールが二本ずつ載る。一体どれくらいの重量になるのかと聞くと、今工場で組み立てている骨組みとレールをあわせて1トンちょっと。これに屋根地が載り、ラミネート鉄板が葺かれる。約2トンかなと親父は軽く言う。2トンを支え、しかも風に揺るがないものにするためにはこれくらいの部材は必要かも知れない。予定していた製作費を上回らないかと心配したが、大丈夫だということだった。
これからいよいよ屋根を乗せに掛かる。
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いかにも建設現場

2009年01月03日 15時04分15秒 | Weblog
週末、みかんの丘に行ってみると竹取庵の周りに足場が組んであった。掘立て作りの建物を支える6本の柱には、すべてチャンネルベースと呼ばれるコの字型の鉄骨がボルトで縫い付けられている。屋根を支える腕木はこのチャンネルベースに溶接するのだと親父が言う。チャンネルベースはびっくりするほど大きくて頑丈だった。これ程のものが要るのかと聞くと、屋根の重量がどれくらいになるのか計算できない。屋根もちゃんと動くかどうか自信が無いと笑う。風の強さも建物の強度も分からない為だ。僕も笑うしかなかった。

竹取庵の建設自体が全て未知への挑戦。と言えば格好はいいが、要するに行き当たりばったりということだ。僕の天文台らしいと思った。
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プロを頼む

2009年01月01日 09時13分45秒 | Weblog
屋根の製作を急がなければならなかった。しかし、強風に晒されるみかんの丘で風圧に耐える強度を確保しようとすると、極めて大量の木材を使わなければならない。図面上でいろいろ検討した結果、ついに木製の屋根はあきらめ鉄骨造りとする。
知り合いの紹介してくれた鉄工所に図面を持ち込んだが、その時はこんな物作った事が無いと難色を示す。しかしとりあえず考えてみると図面を預かってくれた。
それから数ヶ月後、パソコンにメールが届く。図面通り作ってみるとの答えだ。僕のリウマチ発症以来途絶えていた建設が再開した。プロの手で。
鉄工所の親父の弟は大工だった。作りかけの木部を担当する。あっという間に二階フロアの残りが完成した。
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