宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

広がる空と一緒に

2010年07月24日 00時00分19秒 | Weblog
竹取庵で屋根の工事が始まった頃、みかんの丘を訪れる人にずいぶん聞かれた。「この屋根はどこが回るんですか。」
普通の人は、天文台とは屋根の回る建物だと思っている。僕だって、以前はスリットの付いた回転式のドームに憧れていた。ドームのほうがカッコイイと思っていた。ドームだと望遠鏡の向いた方向だけに空が小さく開いていて、風の影響も周りの明かりの影響もほとんど無い。ただ難点は、ドームでは真ん中に一つだけしか望遠鏡を置けない。小さな空はその望遠鏡専用となる。竹取庵のように観測フロアーにいくつも望遠鏡を並べて置こうと思ったらドームは使えない。
だから竹取庵の屋根は、そっくり滑って北側に移動する。だから写真を撮っている最中は空が全部見える。だから満天の星に囲まれて過ごす事が出来るのだ。この晩は横着をして屋根を3分の2しか開けなかったが、それでも北から南に滔々と流れる天の川と一緒に過ごせた。
明日は三連休の3日目だが、そろそろ月が膨らんで、沈む時刻が遅くなる。写真を撮るのは難しい。もう少しここに居よう。もう少しこの空を見渡していよう。
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写し撮っては見たものの

2010年07月23日 00時33分14秒 | Weblog
大きいカメラと同じように20センチ反射にカメラを取り付け、はくちょう座のα星デネブを基点に天女の羽衣NGC6960に筒先を向けた。カメラの感度は3200、露出は8分、9分、10分と各2枚ずつ。しかし…
大きいカメラに比べて明らかにノイズが多い。6枚中星の流れた2枚を外し、残った4枚を重ね合わせた上、画像処理を目一杯やってこれだ。やはり値段の差は如何ともし難い。

ところで、NGC6960はすぐ隣にあるNGC6992とセット。二つ合わせると大きなループが見えてくる。天女の羽衣とは実は超新星爆発の残骸で、「網状星雲」とも呼ばれている。次のチャンスにはちゃんと大きいカメラで撮ってやろう。

小さいカメラ=Canon EOS kissX4  大きいカメラ=Canon EOS 5DmarkⅡ
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天女の羽衣

2010年07月23日 00時32分00秒 | 

天の川の上流、はくちょう座の羽の近くに浮かぶ不思議な天体。巨大な投網を2枚、宇宙の空間に向かって投げたような形をしている。望遠鏡で拡大しても目ではほとんど見えないが、写真に写し撮ればわかる。それはまるで天女が置き忘れた羽衣だ。
せっかく天の川が見えたのだから、今日はこの羽衣を撮ろう。そう決めて竹取庵の屋根を開いた。ただ、手元に有るのは小さいほうのカメラ。ああ、やはり大きいほうを持って来れば良かった。小さいカメラは魚眼やワイドのレンズを使うために買った。望遠鏡に取り付けるのは初めてだ。
 

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月夜の天の川

2010年07月22日 00時02分48秒 | Weblog
連休2日目、目を醒ましたのは昼過ぎだった。前の夜画像処理をしてブログをアップしたら時計の針が4時を回っていた。これではとても午前中には目が開かない。起きて窓の外を見るとかなりの雲だ。快晴も二日は持たなかったか。そう思いながらみかんの丘に行く用意をする。今日は竹取庵の内装工事に専念しよう。ただ、工事の記録用として小さいほうのカメラを持っていくことにした。

ところが夕方、作業を終えて外に出てみるとあれほど有った雲が随分少なくなっている。ただ、空には眩しいほどの月が掛かっていた。月齢7。上弦の月だ。この月なら星も撮れないだろう。そう一人で納得して後片付けを始めた。そうするうちに空はどんどん暗くなっていく。気が付けば雲はほとんど消えていた。そして目を東に移すと、え、天の川?こんなに明るい月が出ているのに?
そう、上弦の月と天の川のツーショット。さすがみかんの丘。透明度の良い空にちょっと嬉しくなってはみたが…
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オメガ??

2010年07月21日 00時07分25秒 | 宇宙

三裂星雲から天の川を遡って、南斗六星のひしゃくの柄のもう少し上流に、さらに意味不明な名前の星雲がある。M17、オメガ星雲。オメガって「Ω」それとも「ω」 (^ω^;)ドコガ?

名前の由来はアメリカの天文学者で彗星探索でも知られるスイフトが、Ωの文字に似たスケッチを残したからだとされている。ただ、彼自身がオメガ星雲と命名したわけではない。この星雲は見方によっていろんな風に見えるのか、他にも「スワン星雲」「馬蹄星雲」「ロブスター星雲」などの呼び名が有る。
この中では「ロブスター星雲」というのが一番近いように思えるが、形のはっきりとした明るいところは、僕には芋虫のように見える。一言で言えば気持ち悪い。
それはさて置き、この星雲の中からは強い電波が出ている。最近になってそこに降着円盤が見つかった。降着円盤とは、重い星の最後の姿、ブラックホールや中性子星の周りに出来る円盤のことだ。
この星雲は、一方で星の卵をたくさん抱えている。星の生と死は実に隣り合わせだ。

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星空にただようダイコンの花

2010年07月20日 01時46分07秒 | 宇宙

梅雨入り前に撮影した干潟星雲から望遠鏡を少し北に振ると、天の川の星たちの間にごく淡い光が見える。M20。地球から5000光年ほど離れた散光星雲で、一般的には「三裂星雲」と呼ばれている。



しかし、僕はどんなふうに3つに割れているのか分からない。南側のピンクの星雲は4つに分かれているようにしか見えない。この4つのかけらを花びらに見立てれば、花びら4枚の十字架植物、ダイコンの花だ。冬の銀河に咲く花が艶やかなバラならば、夏の銀河に漂うのは楚々としたダイコンの花。
ただ、それにしても、この画像はシャープさに欠ける。それだけではない。星も少し流れている。実は撮影直後に気付いたのだが、被写体の前に細長い小さな雲がいた。え、こいつずっといたのか。撮影している間、はくちょう座方向の天の川をぼーっと眺めていて全然気付かなかった。小さなモニターを見るとちゃんと写っていたのでそのままにしたが、帰ってパソコンで見るとずいぶん滲んでいた。無理やり画像処理して出したのがこれだ。まあいいか。次への宿題、いや、楽しみに取っておこう。

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さそりの勲章

2010年07月19日 02時38分42秒 | 宇宙

さそりが女神たちの命を受け、狩人オリオンを始末した事は以前話した。その功有ってさそりは天に上げられ星座となっているが、女神たちはよほど嬉しかったと見え、星座にしただけでなく勲章まで与えている。M4。さそりの心臓とも言われるアンタレスのすぐ近くにあって、肉眼でも見ることが出来る球状星団がそれだ。
発見は1746年。発見者はスイス出身の天文学者だと言われる。もともと肉眼で見えるものを発見もなにも無いと思うが、先に言ったほうの勝ち。
直径は70光年ほどで、球状星団といいながら星の集まりが均一で無い。望遠鏡で星の数を一つ一つ数えた根気のいい天文学者ウイリアム・ハーシェルが、この星団には「尾根」が有る、と言っている。確かに僕の撮った画像にも、左上から右下に掛けて明るい星の連なりが見える。それ自体に学術的な価値は無いと思うが、この球状星団の星は非常に古い。中には宇宙開闢(かいびゃく)に近い130億歳の星も有る。しかもほとんどすべてが黄色っぽい。女神たちがさそりに贈ったのは純金の勲章だったようだ。






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梅雨明け

2010年07月18日 04時16分53秒 | Weblog
待ちに待った梅雨明け。みかんの丘に青空が戻ってきた。痛いほどの日差し。島影もずいぶんくっきりしている。大小二つのカメラを手に、竹取庵の扉を開ける。今日は3連休の初日だ。明け方まででも撮影できる。そう思いながらも、箒で掃いたような雲が気に掛かる。

陽の高いうちは取り合えず一階の内装工事に掛かる。そして夕暮れ近くに、望遠鏡を外の気温に慣らす為に屋根の妻を開けた。海風が心地良い。観測デッキは降り続いた雨でかなり湿度が高かった。いつの日か除湿機を入れよう。さもなければ機械がだめになってしまう。
空に掛かっていた薄雲は、日が暮れて気温が下がると共に薄くなっていった。午後9時ごろには天の川が現れる。さあ、何を撮ろうか。





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観測デッキのマスコット

2010年07月09日 05時14分31秒 | Weblog
夏場、みかんの丘では午後4時から8時に掛けて蚊が多い。この時刻を過ぎるとなぜかあまり刺されなくなる。蚊も夜中には寝るのだろうか。そう言えばホタルも遅い時間には飛ばない。ただ、ホタルと違って蚊は一匹でもいると迷惑だ。そこで竹取庵の観測デッキに新しい仲間が加わった。家族のくれた蚊取りブタ。
実はこれまでは蚊取り線香を、床に置いた紙皿の上で焚いていた。このため暗闇で時々蹴倒し、床に敷いているタイルカーペットのあちこちを焦がしていたのだ。だから蚊取り線香立てを早く買いたかった。買うなら蚊取りブタと決めていたのだが、それがなかなか見つからない。ブツブツ言っているのを聞きつけた家族が、どこからか探してきたのがこのブタだった。
普通の蚊取りブタと違う。目が笑っているし、鼻の穴がちゃんと二つ有る。この穴から煙が出るかと期待して線香を入れてみたが、煙はやはりポッカリ開いたおしりから出た。まあいいか。これからはこの子と二人で写真を撮る。新しい生活が始まった気がした。
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七夕の夜の奇跡

2010年07月08日 02時29分27秒 | Weblog
今夜は七夕。年に一度、織姫と彦星がカササギの橋を渡って逢瀬を楽しむ夜。ただそれは旧暦の七月七日の話で、新暦の七夕は梅雨の最中にあたる為、めったに星空に出会えることは無い。実際、先月10日に干潟星雲を撮影して以降一度たりとも星空は拝めていない。
それなのに今日の夕方、明日の仕事に使うので今夜の天の川を撮影してほしいと職場の人から電話をもらった。やっては見ると答えて見上げた空はうす曇。ビルの中からよく言うよ。晴れるわけが無いだろう。
どうしても乗り気になれない。それでも一度家に帰って食事を済ませ、仕方なく新しく買った小さいほうのカメラのテストだと理由をつけてみかんの丘に向かった。行く道中車窓から伺う空はべた曇。えっ、さっきより雲が多いじゃないか。帰ろうかな。

ところが… みかんの丘に奇跡が起こった。竹取庵の下に車を止め、ドアを開けて驚いた。空に一面の星。雲の固まりはどこにも無い。うそでしょ。ややうす雲が掛かってはいるものの、天の川がはっきりと見える。あわてて竹取庵の屋根を開け、赤道儀に魚眼レンズを取り付けたカメラを載せる。感度3200、露出90秒。露出60秒。と5枚。その中の1枚がこれだ。まさしく新暦の七夕の天の川。
見上げる天の川に微笑む母ちゃんを感じた。そうか、母ちゃんの仕業か。カメラテストをいくつかこなして屋根を閉め、2時間後帰路に着いた。街が近づいて空を見ると分厚い雲に隠されてもう星は見えない。ありがとう、母ちゃん、一緒に見られたね。
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