宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

立ち昇る冬星座

2008年10月28日 00時15分12秒 | Weblog
みかんが色付き始めると日暮れが早い。午後6時を回るともう薄暮も終わる。週末など遅くまで作業をしたい時発電機では心許ないので、電力会社にお願いして電気を引いてもらった。
手元に出来るだけ影を作らないため200ワットの電球を3つ、柱に打った三寸釘に吊り下げて、作業場所によって位置を変える。力仕事で火照った体に夜風が心地いい。

軽トラックに材料を取りに行って返ろうと振り向くと、思わぬ高みからオリオンが迫ってくる。気付かぬうちに夜は更けていた。
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みかんが色付く

2008年10月26日 00時18分04秒 | Weblog
天文台のまわりに広がるみかんの畑で、そろそろみかんが色付き始めた。この畑のみかんは市場には出さない。以前は農協を通じて出荷していたそうだが、他の作物が本業となって以来、みかんは趣味の作物となっている。おじさんたちは勝手に穫って食べろと言うが、人の物だ。なかなか手が出るものではない。それよりも、この畑の真ん中に天文台を作る事の出来る幸せを感じているほうが嬉しい。

それにしても、何度この景色を目にすれば天文台は出来上がるのか。
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作りにくい形

2008年10月24日 00時03分01秒 | Weblog

望遠鏡かぐや姫のときもそうだったが、この天文台の図面を引く時、作り易いかそうでないかを考えた事はあまりなかった。機能重視で、頭に描いたとおりに作りたかったから。
実際の作り方は図面を眺めていればそのうち思いつく。それがこれまでの手法だった。
しかしかぐや姫のペディスタルを作り始めて、それが困難な事もあるのを知った。
イメージしたかぐや姫の赤道儀、それはパロマー山の巨大望遠鏡のような馬蹄形になるはずである。だからペディスタルも細長い台形だ。しかしその台形をコンクリートブロックで作るのは大変だ。角の部分が噛み合わないのだ。黒姫のペディスタルのような正方形の時のようにはいかない。
機能が建材に左右される事のあるのを思い知った。考えれば当たり前の事である。

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出来上がった結界

2008年10月21日 22時24分55秒 | Weblog
6本の柱をたて、それに板壁をはめてゆく。次第に出来上がる東西と北の壁に対して、南は最後まで開いていた。南側の工事が出来なかったのは、黒姫のペディスタルを囲むレンガの柱との関係だった。南側の桁は、この壁に埋め込むようになっている。しかしそれもようやく高さが1メートルを越え、工事を進める条件が整った。

いつもより入念に高さを測り、柱にほぞ穴を切る。そしてそこに桁のほぞを差し込み、反対側のレンガの間に作った溝に、そっと桁そのものをはめ込む。
南北5.1メートル、東西3.6メートルの結界が出来上がった瞬間だった。

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玉座を作る

2008年10月19日 04時01分51秒 | Weblog
黒姫のペディスタルが立ち上がり始めて数ヵ月後、その北側に細長い基礎を作り始める。この家の主「かぐや姫」の玉座だ。
身長2メートル50センチ体重60キロの姫を支え、安定して回転させる台座の設計はまだ定まっていなかった。しかし、そろそろ作り始めなければ天文台の建設に支障をきたす。かぐや姫のペディスタルは底辺95センチ、高さ1メートル60センチという細長い台形と決めた。

なぜこの大きさか。
感、それ以外に言いようがない。理屈は後から付いてくる。いつも通りの見切り発車である。
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夢の空間

2008年10月17日 16時25分07秒 | Weblog
少しずつ、本当に少しずつ、壁が出来上がっていった。そして最初の柱が立って1年近い時が流れ、ようやく三方を壁で囲まれた空間が出来上がった。
まだなんにも無い、レンガや丸太の転がった空間。でもそこは、僕を宇宙(そら)にいざなう夢の空間だった。

厳冬の季節でも、猛暑の季節でも、そこには穏やかな居心地のいい、僕だけの世界が広がっていた。
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遠い道も一歩一歩

2008年10月15日 18時16分46秒 | Weblog
丸太や梁は、重いものでは30キロを超える。そんな物をどんな風に一人で上に揚げるのかとよく聞かれる。
重機があるわけではない。人数が居るわけでもない。特別な道具を買えば高くつく。そこで考えた。脚立でも梯子でも横にたくさん桟のあるものを使いながら、一段ずつ上げて行けばいいのだ。片方を脚立の踏み段で支え、もう片方を柱の上のほうに結びつけたロープで支える。これを梁の両側で交互に行う。基本的に10センチでも揚げる方法を思いつき、それを繰り返せば、最後には柱の高さだけ揚げる事が出来る訳だ。
千里の道も一歩から。まるで長距離ランナーのような作り方である。


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箱入りの柱 黒姫ペディスタル

2008年10月09日 20時18分08秒 | Weblog
いくら高精度とは言え口径15センチではつらい。もっと大口径をと天文台の建設予算を割いて手に入れた望遠鏡、28センチシュミットカセグレン。真っ黒な体の色からこの望遠鏡に黒姫の名を付けた。姉貴分のかぐや姫に対抗した命名である。もちろん黒姫も天文台に設置する。
望遠鏡の台座:ペディスタルは、一般に建物の揺れや風の影響を避けるため、周囲を何かで囲う。黒姫ペディスタルはコンクリートブロック作り。その周りは煉瓦と鉄筋コンクリートの箱で囲むことにした。箱入り娘ならぬ箱入り柱だ。箱と柱の間には厚さ12ミリのコンパネを入れ、高くなるにつれてこのコンパネを引き上げていく。
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空間にサッシだけが…

2008年10月08日 11時05分06秒 | Weblog
「不思議な作り方ですねえ。」
作り始めたときから訪れる人たちによく言われてきた。屋根が無い。床が無い。それなのに壁だけが立ち上がっていく。ログハウスでは普通のことだが、一般住宅ではありえない工法だ。ところがここにきて、ログハウスにも無いやり方が目に付き始めた。何にも無い空間にドアと窓が現れたのだ。

天文台を作ろうと思い始めていたとき、会社の人が教えてくれた。
「うちの離れを取り壊すんですが、使えるものがあったら持って行きませんか。」
早速お邪魔して、その家のサッシの窓をあらかた取り外し、洗ってしまっておいた。それが今役に立ったのだ。それにしても確かに異様な光景ではある。
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木星 太陽系の巨人

2008年10月07日 18時46分13秒 | Weblog
今、夕方の空を見上げると、薄雲をついて光り輝く星がある。
木星。質量地球の318倍、64個の衛星を従え3つ輪を身にまとうこの星は太陽系の惑星の中でも飛びぬけて大きい。その表面の縞模様の中に赤い目を見つけたのはイタリア生まれの天文学者カッシーニだった。初めてそれを見た時の、彼の気持ちを思う。
木星の縞は激しい渦巻き。乱気流。天文台の建設をする傍ら、何とか写せないかと筒先を向けたが、口径15センチの当時の機材ではこれが精一杯だった。かぐや姫の稼働を待ち望む。
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みかんの丘の生き物達③

2008年10月06日 11時23分02秒 | Weblog
みかんの丘はおじさんたちが世話をしている果樹園だ。だから土が出来ている。それだけに栄養分が多く、長雨が続くとあちこちからキノコが顔を出す。中でもこの白いキノコは梅雨のさなかによく見かける。
調べてみるとシロオニタケという種類に良く似ているが少し様子が違う。いずれにしてもテングタケの仲間らしい。テングタケということは毒キノコである。毒が有るとは言え、なんとも愛嬌のある姿をしている。採るのは可愛そうだと思い、そのままにしておいたら毎年増えていった。
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みかんの丘の生き物達②

2008年10月04日 11時11分30秒 | Weblog
みかんの葉も肉厚。アゲハの幼虫の大好物だ。
おじさんたちと立てた柱の上に、なぜ上がったのか、一匹のあおむし君がいた。遊びに来たのかってたずねたけれども、体を大きくして背中の目玉模様を見せるだけ。

季節は初夏から夏へ。このあおむし君もやがてアゲハになる。
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みかんの丘の生き物達①

2008年10月04日 10時30分02秒 | Weblog
みかんの丘には、文字通りみかんがたくさん植えられている。
初夏には白い花が咲き、丘いっぱいに甘酸っぱい香りが漂う。その香りに誘われて、と言うわけでもあるまいが、丘にはたくさんの生き物達が住んでいる。
動物も、植物も。

くちなしを小さくしたようなみかんの花は、香りだけでなく肉厚の花びらもみかんの味がするらしい。この花びらを好んで食べに来る昆虫もいる。
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緑のトンネル

2008年10月02日 09時56分27秒 | Weblog
僕らが普段暮らしている下界から、天文台建設現場のあるみかんの丘に行くには、山の中の道路を延々走らなければならない。ところがふもとのやぶの中に、木々に隠れて丘まで登れる細い道が1本だけある。

「緑のトンネル」。 軽トラックがやっと登れるその道を、僕はそう名付けた。
長さわずか100メートルほどの、簡易舗装のその道は、覆い茂る樹木の緑の中を辿る。晴れた日には木漏れ日が美しい。季節々々にはユキノシタなど湿地の花が咲き乱れる。
地区の人しか知らない「緑のトンネル」は、この世界から宇宙(そら)への扉みかんの丘に通じるワームホールだ。
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