星の撮影が全くできないうちに、みかんの丘は梅雨入りしてしまった。接近中の台風2号が連れてきた前線のおかげで、いつもよりずいぶん早い梅雨入りだ。家の用事を済ませて午後も遅く訪れたみかんの丘。雨に煙って遠くが見えない。ただ、そんな中でも甘い香りだけはいつも通り漂っていた。
この雨では農薬を使う訳にはいかない。割り箸を使って毛虫を一匹ずつ取って行く。いる木には何匹も。みんな少しずつ大きくなっていて、激しい勢いで葉や花を食べている。冗談じゃない。
箸を休めて空を見上げる。星はいつ見えるのだろう。ここは天文台のはずなのに…
竹取庵の周りの木の毛虫を取り終えて大工仕事を少し進め、帰りにおばさんのうちに寄ってみた。どうやらこのあたりの農家の人も、みんな毛虫取りで忙しいらしい。昔ならきつい農薬を大量に振り撒くところだろうが、今はそんなことは出来ない。毎日何十匹も毛虫を取り、それが終わると実を間引く。みかんを作るのは大変だ。