宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

燃え盛る炎と馬の頭

2009年12月22日 20時55分28秒 | 宇宙

いくら待っても風は止まない。諦めて帰ろうと荷物をまとめて外に出た。しかし、外は降るような星空。しばらく悩んだが、ここで帰っては後できっと後悔する。思い直して竹取庵に戻り、望遠鏡にカメラを取り付けて屋根を開けた。
確かに風は幾分収まっていた。しかし、時折たたき付ける突風に、モニターに写るガイド星が、まるでバネで吊ったボールのように震える。カメラ感度5000で12分露出した初めの2枚は見るも無残。星の像が広がって何が写っているのかさえ定かではない。そこで、屋根を望遠鏡に触れるぎりぎりまで閉め、露出を半分の6分としてもう2回シャッターを開いた。その2枚を重ね合わせたのがこれ。
画像の中心で炎を噴いているのがNGC2024。本当にFlame Nebula=炎星雲の名を持っている。また三ツ星の一つアルニタクの脇でシルエットになっているのが、有名な馬頭星雲IC434だ。この二つの星雲の淡い光のあちこちで、星が生まれようとしていた。そう言えばオリオンの大星雲も生まれたての星の光で光っている。

そう、厳しい寒さの中、冴え渡る冬星座は恒星誕生というホットなドラマの舞台でもある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雄牛のいる風景

2009年12月21日 12時24分33秒 | 

ここ数日晴れた日が続いた。しかし季節風が強すぎて写真が撮れない。竹取庵はドームと違って屋根をスライドして全開するタイプの天文台だ。だから望遠鏡が風の圧力をもろに受ける。星の映像がブルブルと震えて、写した写真がピンボケ状態になるのだ。
今日は風が収まると聞いて丘に上がったが、日が暮れても北風は止む気配が無かった。外をのぞくと東の空におうしが昇っている。葉を振るった枯れ木立ちが、まるでクリスマスのイルミネーションを飾り付けた様に美しい。
その木立ちに突き掛かるようにいきり立つ雄牛。木枯らしはこの雄牛が従えているのかも知れない。なんだかそう思えた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

写っていたふたご座流星

2009年12月16日 12時24分37秒 | Weblog
薔薇星雲を撮影しているうち、周囲に明るい流れ星が流れ始めた。そうだ、今夜はふたご座流星群の極大日だ。ついでにこれも撮ってしまおうと欲を出す。
望遠鏡に取り付けていたカメラを外してレンズを付け、ズームをワイドいっぱいにして三脚に載せる。ありきたりだと思ったけれども、オリオンとその二匹の猟犬が作る正三角形をフレームに入れた。どうぞこの中に大きな流れ星が流れますように。
カメラの感度はそのままに、20秒ずつ10回シャッターを開く。その間にカメラが向いている方向以外の空では大きな流れ星が頻繁に流れた。しかし狙った場所にはどうしても流れてくれない。仕方なく機材を片付けて屋根を閉めた。

翌々日パソコンを開き、撮影した画像を調べていて気が付いた。なんと、10枚のうちの1枚に、小さく淡く流星が流れている。普通の流れ星の子供のような、それでもちゃんとふたご座の方向から出ている正真正銘のふたご座流星。分かりますか。画面の中央やや左。ああ、もっと大きければと欲を言うのはやめた。神様、どうもありがとう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宝石箱に浮かぶ薔薇

2009年12月14日 12時20分35秒 | 宇宙

昨日は朝からべた曇だった。しかしどうせ作業に行くのだし、たいした荷物でもない。そう思って持って出掛けた大きい方のカメラ。
竹取庵に到着したのは午後も3時を回っていた。出迎えたみかんの丘の番犬、太郎と話をしてからレンガ貼りに掛かる。ほぼ6時間の作業で貼れたレンガはわずか26個。何でこんなに手が遅いのだろう。そう思いながら後片付けをして外に出ると西の空の雲が切れ掛かっていた。
もしやと思って二階の観測床に上がり、カメラとフィルターをセットして屋根を開ける。その間に雲はすべて東に去り、満天の星が僕を迎えてくれた。
以前から晴れていたら撮影したいものがあった。NGC2237、通称「薔薇星雲」。冬の天の川の真ん中にあって、きらびやかな散開星団と重なる赤くぼんやりとした散光星雲だ。それはまさに、宝石箱に咲く1輪の薔薇の花だ。
目で見てもそれがどこにあるのか分からない。近くの輝星ベテルギウスを基準に、導入はコンピューター任せ。僕はカチカチという赤道儀の修正音を聞きながら、すぐそばに広げたやぐら炬燵にもぐった。寝転がって見上げると素晴らしい星空が覆いかぶさってくる。目の脇を大きな流れ星がひとつ流れた。そうだ。今日はふたご座流星群の極大日だ。夢のような時が流れていった。

(カメラの感度は4000、光害カットのLPS-P2フィルターに赤色強調フィルターを組み合わせて15分ずつの露出6回。このうちの3枚を重ね合わせました。ガイド鏡のロックが甘かったのか、星が少し流れました。)

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

寒さの置きみやげ

2009年12月11日 01時01分06秒 | Weblog
プレアデスの撮影成功で気を良くした僕が次に狙ったのは、狩人オリオンの帯の上に淡く光る散光星雲M78だった。M78、そうウルトラマンの故郷だ。M78はオリオン座を取り巻くガス雲のひとつで、中心にいくつかある星の光を受けてぼんやりと光っている。目で見ただけでは分からない。パソコンによる自動導入を頼りに望遠鏡を向け、カメラのシャッターを開いた。
露出すること17分。もういいだろうとシャッターを閉じ、モニター画面に画像が浮かび上がるのを待った。そして10分後、現れた画像を見て思う。あれ、星がぽってりと大きい。そう。ピントがずれているのだ。フォーカスはプレアデスを撮影するときにきちんと合わせておいた。しかしそれから2時間が経ち、比較的暖かかった周囲の気温は氷点下に近いところまで下がっていた。鉄で出来た鏡筒が縮んだのだ。
この望遠鏡は焦点距離を口径で割ったF値が4。わずかなピントのずれが大きな失敗を招く。
横着をしてはいけない。フォーカスは毎回あわせなければ。いい教訓となった。次の日も仕事。もう1枚撮影する時間は無い。後ろ髪を引かれる思いで丘を下りた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

光の公害

2009年12月10日 08時40分36秒 | Weblog
夜道は明るいほうがいい。街の明かりは高いビルから眺めると美しい。
それはそれでいい。でも、その明かりはすべて空に向かって流れていく。流れた明かりは大気やチリに反射して返ってくる。お陰で街の夜空は明るくなって、彼方からようやくたどり着いた星の明かりを隠してしまう。それが光の公害、「光害」
この光害は、街から車で1時間近く掛かるみかんの丘にも届く。淡い星を写し撮ろうと少し長く露出すると、モニターに現れるのは真っ白いだけの画面だ。
その街明かりの一部をカットしてくれる「LPS-P2」というフィルターを注文してみた。届いたのは平日だったが、澄み渡る青空に我慢が出来ず、仕事が終わってみかんの丘に登った。
これがその成果だ。カメラの感度を2500に設定、口径200ミリの反射望遠鏡に取り付けて露出すること15分。撮影したデーターに画像処理を加えることで現れてきた若い星たちを包む光のベール。
今年の3月にここに載せたすばると比べてみてほしい。無理無くベールのディテールが捕らえられたと思う。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする