宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

はじめの一歩

2009年05月25日 00時42分04秒 | Weblog
今週末も天気が悪かった。毎度カメラを車に積んで丘に登ってくるのに使えたためしがない。20センチの反射望遠鏡にはエクステンダーレンズが取り付けてある。バランスも取ってある。なのに雨が降るから屋根を開けることすら出来ない。
僕が恨めしそうに空を見上げている間に、みかんの木は花びらを散らし、丘を満たしていた甘酸っぱい香りも次第に薄れていった。花びらが落ちると、後に付け根が緑色に膨らんだめしべが残る。そのめしべの先がポロリと落ちると、残った緑の玉はもう立派なみかんの実だ。直径が5ミリに満たない小さな小さなみかんの実。これがあの花の数だけ付いている。
そうだ、おじさんが言っていた。「こう付いとっても木が自分で間引くから、みんなは生りゃあせん。」そして自然落果した後、人の手で摘果するのだ。
試しに一枝やってみた。葉っぱ20枚に実が一個。ほとんど落とさなくてはいけないのにもったいなくて落とせない。やっぱり自然落果の後にしよう。今年はみかん作りの元年。はじめの一歩。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

みかんの香りの中で

2009年05月19日 01時13分35秒 | Weblog
前日から降り続いていた雨も夕方には何とかやんだ。雨粒で押さえられていた甘い香りがまた漂い始める。予算の都合で何ばかりも進まない日が多いが、それでも竹取庵の工事は、はっきりと決まっていない完成形に向けて少しずつ進んでいる。
丸鋸で材料を切りながら、僕はふと古代エジプトの王ファラオを思った。ファラオはその位に就くと同時に自分のピラミッドを思い描き、死期の近づく遥か前から建設にかかったと言う。それは、ピラミッドが単に王の墓ではなく、むしろ大きな目標だったことを示している。
竹取庵は僕のピラミッド。どこかに僕の遺骨を納める場所を作ろうか、みんな迷惑するだろうな。それに僕には国民も奴隷も居ない。ひとりだ。そこまで思い至って苦笑する。

みかんの丘は夕凪。風の止まった丘で、香りがいっそう強くなる。明日は晴れるだろうか。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

苗たちの芽吹き

2009年05月18日 00時37分00秒 | Weblog
今週末もまた天気が悪い。月がだんだん痩せて、昇る時刻も遅くなっていると言うのに、これでは写真が撮れない。そう思いながらいつものようにみかんの丘に登った。
登って最初に訪ねるのはみかんの苗木。元気になったかと話し掛け、水が欲しいと言えばポリタンクを持ち回って水遣りをする。3月に植え付けた後、元の大きな葉っぱを付けたままの木もあれば、葉を振るって幹だけになってしまった木もある。それでも幹が緑色をしているので、みんな何とかやっているようだった。
その苗たちにとって幸いしたのは今月に入ってからの悪天候。適度な雨とそこそこの気温で、今日行ってみるとみんなびっくりするほど新芽を伸ばしていた。

春にこの丘にやってきて、ここで大きくなるんだと、そう意気込んでいるような苗たちの芽吹き。このまま枝を張ってくれれば、来年は花を付けるかな。頑張れ、みかんの木。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お月様に誘われて…

2009年05月11日 01時33分36秒 | Weblog
翌日は曇り空。夕方近く、大工仕事をしていると星仲間がかぐや姫に会いに来た。仕事を止め、観測デッキに上がって屋根を開く。思ったより雲が無い。日暮れを待ち、120倍のアイピースで土星を眺める。
ただ、姫はまだ仮の玉座。しかも天頂あたりは足継ぎが必要で、フラフラと安定が悪い。それでも彼は堪能したと言いながら帰っていった。
屋根を閉め、後片付けをして帰ろうと外に出たら、昨日と同じ位置に満月を少し過ぎた月が掛かっていた。
どうしよう、迷っている僕にお月様が微笑み掛ける。
「せっかく昇ってきたのに…」
そうだね、ごめん。僕はそう答えると、もう一度竹取庵の鍵を開けて屋根を開いた。姫を固定していたひもを外して南東に低く傾ける。高度17度。姫の主鏡が転倒する寸前の危険高度だ。観測デッキの壁が邪魔をしてファインダーも使えない。副鏡に映る明かりを頼りに何とかカメラに月を入れてシャッターを切った。

メモリーカードに収まったのは、もやに赤く染まり、上のほうが少し欠けたお月様のポートレート。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おぼろ月夜

2009年05月10日 01時14分11秒 | Weblog
今日は朝から晴れていた。初夏を思わせるさわやかな風も吹いていた。今夜は星が見える。そう思うと心がおどる。
あれこれと用事を済ませてみかんの丘に登ったのは午後も3時を回っていた。遅く行った罰で大工仕事は4時間余りしか出来なかった。ま、いいか。と気楽に決めて、早々に観測デッキに上がる。鼻歌交じりに南の妻を開けると…

三角形の青い空に、えっ、薄雲。うそ、朝あんなに晴れてたのに。
どうぞこれ以上雲が出ませんように、との願いもむなしく、雲はだんだん厚くなっていった。午後8時、しびれを切らして屋根を全開にする。ううっ、星が一つも見えない。月齢14の月すらおぼろだ。
仕方なくカメラを三脚に取り付けて風景を写す。おぼろ月に照らされて海が光っていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

炬燵をしまう

2009年05月06日 00時54分32秒 | Weblog
ゴールデンウィークには写真を撮ってやろうと思っていた。でも、本当に晴れたと言えるのは土星と月を撮影した「昭和の日」だけ。後は曇りか、星が見えていてももやの向こうだ。そのうち月が膨らんできて、かろうじて見えていたその星すらぼやけてしまった。そして今日は雨だ。もう嫌になってしまう。
仕方が無いから、観測デッキのやぐら炬燵を片付けて掃除をすることにした。天板を外してみると随分なホコリ。強風の日に屋根の隙間から入ってきたようだ。やれやれ。きれいに拭いて仕舞った後、布団も掃除機を掛けてからたたむ。後にデッキチェアを置いた。おっ、夏が来たみたいだ。
赤道儀から8センチを下ろして代わりに20センチを載せる。来週にはこの望遠鏡のエクステンダーレンズが手に入る。その頃には晴れるだろうか。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年はみかんが花盛り

2009年05月04日 15時49分45秒 | Weblog
みかんの丘の初夏。今年はみかんの木がたくさん花を付けた。去年はほとんど花の無かった畑が、今年は真っ白になっていい香りを漂わせはじめる。
この花が終わるとその後に、緑色でまん丸なあずき粒くらいの実が出来る。普通農家では、一つの実に葉っぱが20枚くらいになるようこの実を摘み取る。そうすると大きくて見栄えのいいみかんが毎年同じ量実る。おじさんがそう教えてくれた。
昔はこの畑でもそうしていたが、おじさんとおばさんの収入源が別の作物に移ってからは、手が無いので放ったらかしなのだそうだ。僕がやろうかと言うと、「あんたも時間が無いのに。放っときゃあええ。」そう言って笑った。
摘果しなくなった畑は作物の出来に裏と表が生まれる。今年は表の年だ。秋には小さな実が葡萄の房のように実るだろう。

花のいっぱい付いたみかんの木を見て思う。おじさんごめんね、今年は竹取庵の近くの木だけでも僕がやってみる。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さざなみの向こうの土星

2009年05月02日 00時28分41秒 | Weblog
月の撮影を終えてかぐや姫の筒先を東に振った。次のターゲットは土星だ。薄いかすみのベールをまとった空では沈みかけた4日月でも存在感充分だ。淡い星雲はベールに埋もれている。こんな時ははっきりした天体を見るに限るのだ。
それに応えるように大きな輪を持ったこの惑星は姫の120倍の視野の中に入ってきた。こんな真上でも大気の乱れはひどい。まるでさざなみを通して眺めているようだ。
さすがに土星の写真は今のかぐや姫では撮れない。赤道儀に載せたままになっている8センチの屈折望遠鏡にカメラを取り付けた。かぐや姫に比べると細かいところを見分ける分解能は5分の1以下、明るさは30分の1しかない。
カメラの設定をISO感度5000、シャッタースピード5秒とする。立て続けに撮影。さざなみの中では下手な鉄砲だ。74枚撮影した画像の中からきれいなものを8枚より出し、それを重ね合わせて画像処理する。この日衛星は片方に固まっていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

月こそファーストショット

2009年05月01日 00時11分35秒 | Weblog
かぐや姫は山のようなプロポーズを振り切って月に帰る。姫と月は切っても切れない関係。だからという訳でもないが、かぐや姫を最初に向けたのは西に傾いた月だった。
視野の中に4日を少し過ぎた月の、ほぼ全景が入る。さすがに45センチは明るい。いや、眩しい。F値は5.5だからそれほど短焦点でもないが、やはり大口径はF値だけでは表せないものがある。
思ったより気流の悪い月を眺めているうちに写真を撮りたくなった。赤道儀が完成するまで諦めていた写真だが、これ程明るいのなら高速シャッターを切れるだろう。それにかぐや姫のファーストショットはやはり月だ。月こそファーストショットの被写体だ。と、ひとり納得する。
延長チューブを外してカメラにスリーブを取り付け、ドロチューブにそっと差し込む。カメラの設定はISO感度1000、シャッタースピードは400分の1。立て続けに何枚か撮った。手持ちの感覚。この写真は記念すべきファーストショットだ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする