宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

手の中の宇宙・今年の天文教室

2023年08月27日 16時06分10秒 | Weblog

岡山県吉備中央町大和。吉備高原のど真ん中にあるそこの公民館で今年も天文教室を開いた。
昼の部の工作は長い間僕の夢だった、両手の中でぼんやり光る宇宙だ。本当は宙に浮いて、どこからでも見ることのできるパンケーキ型の星の集まりを再現したかったが、無重力でもない限りそれは難しい。なので卓上の丸鏡に貼り付ける平らな宇宙という事で手を打った。モデルとなるのは僕らが住んでいるこの天の川銀河だ。とは言うものの、その姿を外から見たものは居ない。最近の観測を元に作られた画像の中から、鮮明でかつ使っていい物をえらび、太陽系の位置をプロットした。

僕のスケジュールと月齢の関係で、開催日を今月26日と言う夏休みも明ける寸前の土曜日に持って行ったが、残念ながらこの町のお祭りとかち合って参加者が少なくなってしまった。公民館側がそれでは申し訳ないと思って頂いたのか、会場は公民館OBら年配の方が目立った。


かなり手の込んだ工作の多いこの教室だが、今年は天の川銀河を印刷した透明シールを、夜光塗料を吹きかけた丸い板に貼り付けて、それを鏡に取り付けるだけの作業。

あっという間に終わるだろうと思っていたのだが、シールの中心と円板の中心を合わせるのにかなり手間取っていた。本当はガイド板を作っておけば良かったかも知れないが、コストの面でそれは見送っていた。

それでも始めてから40分ほどでみんな上手にシールを張り付けて、出来上がった作品を窓際に持って行ってお日様に当てる。

そして当てた後はホールのステージの緞帳裏に持って行き、薄暗がりの中でぼんやり光る僕らの住む宇宙、天の川銀河を確認していた。

あまりに簡単でこんなの手抜きだと思われないか、少し心配したけれども、暗がりで光ると言う事に満足してもらったのか、まずまず好評で昼の部を終えられた。もちろん、手抜きなどはしていない。この銀河の元画像を探し当てて加工し、透過に一番適したシールを探すためにあれこれ試して、それを貼り付ける円板に夜光塗料をスプレーするのにずいぶん時間と手間を喰ってしまった。
もっともそんな事情はこちらの言い分で、工作をする人たちには関係の無い話だ。

休憩を挟んだ夜の天体観望会では、近くの大和小学校校庭に移動して、10日を数える月や「はくちょう」「さそり」などの星座を楽しんでもらうつもりだった。ただ、町の祭りで行われる花火大会に人を取られて子供の参加者は居らず、ちょっと寂しいイベントになってしまった。

寂しいと言えば、この立派な小学校も来年度を最後に閉校となる。過疎による児童数の減少で、遠くの地区に出来る新設校に統合されるのだ。このため、1997年から26年続いてきたこの天文教室も来年で終わりとなる。星の綺麗なこの場所で、星空を愛する人たちを育てようと始めた教室だった。しかしいくら星を愛していても、そこに住める条件が整わなければ地区から出ていく以外にない。つらい現実だ。

 

宇宙(そら)に続く丘ホームページ :http://taketorian.org/

 

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みかんの丘、もうひとつの再会

2023年08月13日 02時06分28秒 | 

今日は星の写真を撮ろう。そう決めて墓参りなどの用事を済ませ、一休みして準備に取り掛かった。予報ではほぼ曇りということだったが、気象庁の天気図もひまわり画像も、大丈夫だよ行っておいでとささやいてくれる。ヨシ!と意気込んだものの、え、星を撮るのに何が必要だったっけ。久しぶり、本当に久しぶりにみかんの丘で星を撮る。細かい機材を思い出せない。まあいいや。カメラボディーとレリーズ、それにレンズが有れば事が足りるだろうと適当にかき集めてデッキに上がってきた。
しかし望遠鏡のビニールカバーを外して気付く。あれ、望遠鏡とカメラを繋ぐアダプターは?赤道儀にカメラを載せる雲台は?だいたい赤道儀を動かすためのパソコンに繋ぐケーブルも無い。と言う訳で、今夜はワイドレンズだけを使っての固定撮影になってしまった。

まず初めに前から撮りたかった新しい対角線魚眼レンズでの撮影だ。日暮れを待って待って、8時前にようやく星が見え始めた。ボディーにレンズを取り付けて三脚に載せ、ほぼ真上を向ける。接近中の台風のせいで少し靄が有るものの、何とか天の川を捉えることができた。

写真右の明かりは岡山の街灯りと黄昏の名残り。下に見える明かりは瀬戸内海対岸の高松の街灯り。そして左側が姫路や神戸など関西の都市の明かりだ。その上にはかなり厚い雲も掛かっている。仕方が無いか。

せっかく天の川が川下まで見えているので、レンズを換えて南天の星座たちを狙ってみた。

いて座、さそり座、みなみのかんむり座の星の並びがはっきりとわかる。東の地平には土星も見えていたが、アダプターが無くては撮影出来ないし、くっきり撮ろうと高度が上がるのを待っていたら真夜中になってしまう。と言う訳で今日はここまで。これから時々来ることにしたし、間もなく公民館の天文教室も有るので丘を降りることにした。

天文台として再び働き始めた竹取庵。次は赤道儀にカメラを載せて撮影しよう。そのためには撮影機材全部をちゃんと書き出しておかなくては。そして、出来れば深夜まで時間を掛けて撮って行こう。以前の様に。

そう思いながら竹取庵のドアに鍵を掛けていて、ふと丘の番犬太郎がそこに居るような気がした。そうだ。丘によく通っていた頃、太郎は撮影が終わるのを見計らうようにこのドアの前まで来て僕を呼びながら尻尾を振っていた。
太郎。その様子が目に浮かんで涙が出た。あいつの墓は少し離れた畑の傍にある。今夜もきっと来てくれた。そしてこの時刻にこの場所で僕に思い出させたんだ。

観測デッキの星空との再会。そしてもうひとつ、太郎との再会。太郎が眠る畑の近くを車で通りながら手を振った。太郎、待っといて。またすぐに来るからね。

 

太郎の話はここにあります。
太郎が逝った - 宇宙(そら)に続く丘 (goo.ne.jp)

宇宙(そら)に続く丘ホームページ :http://taketorian.org/

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久々のデッキ工事

2023年08月05日 23時56分45秒 | Weblog

お客さまを招いて一週間たった竹取庵。継続して整備を続けなければ劣化が起こる。改めて感じながら上がった今日のみかんの丘は青空が広がっていた。海を挟んで小豆島がきれいだ。この写真を撮るために竹取庵の北側に上がってみると、以前切り倒された杉の木の切り株が、さらに切られて低くなっていた。娘さんに聞くと、切株を足場にして鹿が柵の内外を行ったり来たりするので、娘さんのご主人がもう一度切ったと言う。

そうか、鹿がここで飛び跳ねるのか。鹿が。ふふ。想像してしまい、娘さんご夫婦には申し訳ないがちょっと楽しくなった。ここに入るという事は竹取庵の傍にも来るという事だ。いつか会えるかな。ただ、鹿たちはみかんを食べに来る。それも食べるとなると根こそぎだ。それは勘弁してもらいたい。
今年のみかんたちは、この猛暑の中で頑張って沢山実を付けている。

どうかそのまま色付かせて欲しい。過去にはせっかく色付いたみかんをイノシシにすっかり食べられて、しかも地面まで掘り起こされた事がある。
この丘のみかんは甘い。おそらく元々の土壌と、おじさんおばさん、そして娘さんご夫婦の土づくりの努力の賜物だ。それだけに動物たちに狙われやすい。おじさんに知り合った当時、みかんを狙うカラスを撃退するためにおじさんが百均の手鏡をあちこちにぶら下げていたのを思い出す。

そんな動物たちが来にくくするためにも、竹取庵に灯りを灯さなくては。と言う訳で今日も観測デッキの工事を進めることにした。
そう、デッキは来客のためにここまで床を張っていた。

これを今日はさらに進めようと、来る途中で買い込んだ材料をデッキに運んだが、海風を受けるはずの観測デッキも予想を超える暑さ。仕事を終えた翌日の体にはかなり堪えた。そこで床貼りは一枚だけにして、前から気になっていたデッキ北側の照明の取り付けをすることにする。と言っても、40Wの蛍光灯を屋根裏に取り付けるだけ。配線工事は後ほどという事で、不甲斐無いが午後の5時前には終わってしまった。本当は赤道儀に新しいシステムを取り付けるつもりだったが、こちらの方は準備不足で手が付けられない。まあ良いか。これからはかなり頻繁に来られると思う。みんな待ってろよ。と機材に言い聞かせて、開いた妻から外を見た。

絶好の撮影日和にみえるが、今日はカメラを持って来ていないし、作業的にもそこまで辿り着けない。悔しい思いで傍にある双眼鏡に目を遣った。せめてこれで海でも撮るか。双眼鏡の接眼部にスマホのレンズを重ねて撮ったのがこれ。

この写真が今日の唯一の成果だ。そして、今日はここまでとした。

西日に照らされた竹取庵は、作業の復活を喜んでいるように思える。

本当に長い間放置していた竹取庵。次は外装の防虫防腐処理もしなくては。スズメバチに巣を作られるとこちらの命に関わる。頑張って通おうと思いながら丘を後にした。

宇宙(そら)に続く丘ホームページ :http://taketorian.org/

 

 

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