宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

予想通りの夕暮れ

2013年09月28日 23時10分49秒 | Weblog

分かっていた。大陸から張り出している高気圧がいつまでもそのままのはずがない。しかし、何も木曜日に千切れて移動し始める事は無いと思う。おかげで僕が動けない金曜日の夜は最高の星空となり、土曜日は夕方から曇りになってしまった。そう、本当に夕方から。明らかに嫌がらせだ。

今日は昼過ぎからみかんの丘に上がった。朝は一時雲が広がったものの、すぐに青空に変わり、丘に着いた頃にはかなりいい感じの空になっていた。

これならひょっとすると午後9時頃までならいけるかな、そう期待しながら始めた大工仕事。柱の加工はまだ残っていたが、それより先にする事が有る。土台の追加だ。これを作らなければ物置代わりのテントが引っ越せない。短い松材を差し込むだけなのですぐに出来ると思っていたが、これが意外に手間取った。ようやく入ったころにはふもとのミュージックサイレンが5時を告げる。

やれやれと思いながらほぞ穴を一つ開けて空を見上げたら西のほうから雲が攻めて来ていた。やっぱり。今日は撮影道具一式持ってきたのに。これから一週間は多分曇りがち。晴れ間が多くなるのはきっと再来週の月曜日あたりからだ。

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後ろ髪を引かれながら

2013年09月26日 23時25分25秒 | Weblog

道具を片づけてドアに鍵をかけ、竹取庵を後にした。車をバックさせて坂を下りながら空を見る。
今夜はけっして透明度が高くない。けれども月の出は昨日よりさらに50分遅い。星空くらいなら撮れるかな。でも明日は仕事。それに持ってきた小さい方のカメラには標準ズームしか付いていない。それでも…

坂を下りた車の屋根の真ん中あたりにカメラを置き、レンズの下に財布を挟んで狙ってみた。カメラ感度1600露出20秒絞り解放。アングル当てずっぽう。指でカメラを抑えてシャッターを切った。

さよならみかんの丘。また来週来るね。

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自ら撒いた種

2013年09月25日 22時13分10秒 | Weblog

三連休の中日は仕事。それもかなり夜が遅かった。そのせいと言う訳でも無いが、最後の休みの23日に丘に上がった時にはすでに午後2時半になっていた。これからどこまで出来るかな。
この天文台は最初ブロックを積んで作るはずだった。それも簡単な観測施設だけ。休憩や食事は車の中でするつもりで、当時の設計図には天文台とワゴン車の横の出入り口を繋ぐ渡り廊下まで描いてある。しかしおじさんが古い電柱を指さして言った「これを使うたらええ」という一言で、天文台は掘立柱のログハウスへと方針転換した。いや、おじさんはそこまでのつもりは無く、余った電柱を使えば材料代が安くつくだろうという提案だったそうだ。

あれから13年。そのおじさんは肺がんで帰らぬ人となり、僕もリウマチを患って一時は再起不能だと思われた。そんな悲しみや災難を刻み込みながら、天文台は少しずつ少しずつ出来上がっていった。竹取庵の名前を思いついたのは月明りに照らされたこの丘の上だったことを思い出す。そして今、寝室を作るために新たな工事が始まった。あの時の様な古い電柱はもう無い。やむなく松や桧の角材を使っているが、元がログハウスだけに増築部分も出来るだけデザインを合わせたい。そんな思いが柱を複雑な形にした。
本職の大工が見たら噴飯ものだ。こんな柱で梁を支えられるのか。そう笑われるだろう。もちろん僕もそう思う。まあ、だからこそいろいろな工夫を僕なりに組み込んでいるつもりなのだが。それにしてもこの加工には本当に手間が掛かる。それも使えるアイテムは中型の丸鋸とノミと金槌だけ。1本作るのにほぼ3時間掛かる。ここまで凝らなくてもと人には言われるが、仕方が無い自ら撒いた種だ。ただ始めたからには出来上がりだけを夢見て進む事にした。

今日もこの柱を土台のほぞ穴に差し込み、倒れないように壁板を2枚取り付けている間に日がとっぷり暮れてしまった。クレオソートを塗って写真を撮る頃には頭の上で星が瞬いている。これで5本目が立った。体を包む幸福感。こうしてものを作っていくのは本当に楽しい。いつもそう思う。

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十六夜

2013年09月24日 21時19分53秒 | 

金星を撮影した後、デッキの椅子に腰掛けてしばらく空を見上げていた。今年はここでこうして星を眺めるチャンスがずいぶん少ない。ジェット気流が蛇行していて、真夏なのに寒気が大陸の上に有ったという。不順な天候に一つ一つ理由は有ると思うが、それがいろんな形で連続すると何かもっと大きな仕組みが働いていると考えたくなる。温暖化という一言では済まされない別の理由。

そんな事をぼーっと考えているうちに、天の川が少しずつはっきりしてきた。あれ、星雲の撮影も出来るのかな?それなら準備しなくては。しかし椅子から立ち上がって東を見ると、梢の間から十六夜がその名の通りためらいながら昇って来ていた。そうだよね、昨日が満月だもの。今日の月の出は昨日より50分ほど遅いだけのはずだ。仕方無いそろそろ終おう。3連休だけど明日は仕事が有る。帰らなくては。
デッキの機材を片付け、屋根を動かすモーターのスイッチを入れた。全部閉じる前に記念の一枚。十六夜を取り囲む光りのベールが、空が完全に透明でなかったことを教えてくれた。

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沈むビーナス

2013年09月23日 23時09分05秒 | 

日が暮れる。丘を渡る風が冷たい。仲秋の名月を過ぎたのだから秋本番は当たり前なのだが、こうして風を肌に感じると季節の移り変わりを改めて実感する。キツツキの穴ぼこはまたいずれ処理するとして、撮影するなら準備をしなければ。

階段を上がって屋根を開けると、秋の星空が広がっていった。頭の真上には天の川も見える。宵の明るさが残っているせいか淡いのが残念だ。西に目をやると空低く宵の明星が輝いていた。これでも撮ってみるかな。ただデッキの反射望遠鏡はどれもメンテナンス不良。今撮影できるのは8センチフローライト屈折しか無い。ただこう低くては大気のプリズム効果であの位置の星はまともに見えないだろう。

 

撮影してカメラのモニターで拡大してみると、案の定ビーナスは虹色に色分解していた。話にならないな。そう思いながら持って帰ったこの写真。家のパソコンでじっと見ていて気が付いた。そうか。屈折率の違いで色が上下にずれているのだから、三色分解して改めて重ね合わせてみてはどうだろう。
と言う訳でやってみた結果がこれだ。

あ、この方法はいける。これからはプリズム効果が出てしまったらこの手を使おう。なんだか得をした気分になった。画像処理は奥が深いと思う。これまでにも沢山の手法を使ってきたが、まだまだ知らない事、開発されていないやり方が沢山あると思う。ただ、あまりいじりすぎるとそれは天体写真では無くお絵かき画像になってしまう。その兼ね合いが難しい。

 

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やられた!

2013年09月22日 23時11分00秒 | Weblog

大工道具を片付けて竹取庵の階段を上がる。当然だが明かりを付けていない観測デッキは薄暗い。そこに一か所外の明かりが漏れている場所が有った。デッキを覆う屋根の南側、妻の部分に丸く穴が開いている。えっ。初め目を疑ったが確かに穴だ。直径は8センチくらいか。前の台風で何かが飛んできたのかと思ったが、板の他の部分は無傷だ。だとすれば弾丸ほどのスピードが無い限りこうはならない。キツネにつままれた様な気がして振り返るとなんと北の妻にも穴が開いていた。
なに!? 何かがここを高速で通過したのか?そんな馬鹿な。よく見ると穴の下に木屑が落ちている。それを見てやっと頭が働きだした。キツツキだ。以前どこかの高原に別荘を持つ人が、この世で一番恐ろしいのはキツツキだと話していたのを思い出した。その人は別荘全体を穴ぼこだらけにされたと言っていた。


やれやれ。夜になって気が付いたものも含めて穴は3つ。なんでこんなことを。中に虫がいるとでも思ったのだろうか。そう言えばキツツキは少し叩いて中が空洞だと知ると、虫がいると思って必死で穴を開けるらしい。どいつだろう。この辺りに居るのはコゲラかアカゲラくらいだ。アカゲラが竹取庵の妻を叩いて穴を開けているところ想像してみた。悔しいけれども可愛い。そうか、よしよし。仕方無いなあ。と言う気になる。彼が僕に「この世で一番恐ろしい」と言った理由はここだ。犯人はかわいいキツツキ。穴ぼこだらけにされたのに誰も同情しない。そればかりか、みんなにキツツキに建物を譲ってやれと言われたと言っていた。

確かにこれでは巣箱だ。雨が降る前に修理しなくては。それにしても板と板の境目をつつくから、一か所に付き2枚ずつ板を換えなければならない。この外壁は普通の板じゃないんだ。樹脂で固めた特殊な板。ああ、当面応急修理しておいて空気抜きの窓でも作るかな。いずれにしてもまた手間が増えた。

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猛暑を乗り越えて

2013年09月21日 22時27分22秒 | Weblog

前の連休は台風でほとんど作業が出来なかったが、今週はなんとか天気が持ってくれた。遅れている増築の工事を進めなければ冬になってしまう。

と言う訳で昼過ぎから上がった丘ではみかんが色付き始めていた。例年より少し早い気がする。表となる今年はどの木も鈴生り。久しぶりに丘が黄色に染まりそうだ。今年の夏は無茶苦茶だった。猛暑に続く猛暑。みかんの丘は陽射しが強いほど海風が強くなる。だから竹取庵の中や日陰に居ると何とかしのげるが、みかんの木はそうはいかない。おばさんの家族は今年、水遣りにずいぶん苦労したようだ。そのお蔭でみかんはどれもはじける事無く大きくなっている。農家の苦労は消費者には分からないと思う。安ければいいと言うものではない。


そんなみかんの木々に囲まれて作業は始まった。北側の土台にほぞ穴を開け、そこに立てる三寸柱を刻んでゆく。取り回しが良いからとやや小ぶりな丸鋸を買ったのが今になって悔やまれる。午後1時半に作業を始めて夕方までにようやく柱1本。全部で8本ある柱のうち5本が立った。すべて立ち上がったら梁に移る。梁が出来ると棟に掛かる。さて、いつになるやら。まあ、命が尽きるまでに仕上がればよしとしよう。

本職では無いので作業工程が有る訳じゃない。休憩しながらのんびりと作業するうちに海の近くの集落で5時のミュージックサイレンが鳴り始めた。そろそろ日が暮れる。今日は思ったより天気が持った。この分なら星も撮れるかもしれない。だったらいい加減にやめてデッキで準備をしなければ。

そして上がった観測デッキでとんでもないものを見つける事になる。

 

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