宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

1億キロかなたのお隣さん

2010年02月25日 12時53分24秒 | 

月面を撮影しているうちに、月はどんどん沈んで行く。頭の上で火星が、撮らないの、行っちゃうよと笑う。気流は一向に静まらないが、しばらく考えて筒先を再びいくさ星に向けることにした。
カメラのモニターを10倍に拡大すると、赤い星はまるでクラゲのようにふにゃふにゃと揺れる。まあいいか、駄目で元々。モニターを見ながら30回ほどシャッターを切った。その中から選び出したたった5枚のショット。それを処理して重ね合わせ、切り出したのがこの写真だ。
地球に最も近づいたのは先月28日、その距離は9900万キロだった。僕がカメラを向けたこの日の、地球と火星との距離は1億926万キロ。これが地球の外側のお隣さんとの距離だ。火星はこれからしばらくは毎日平均63万キロずつ遠ざかってゆく。二年後には一度地球に少し近づくが、その距離は今よりも遠い。このショットが次の大接近2018年までの、思い出のブロマイドになる。

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アルタイの壁

2010年02月24日 20時41分59秒 | 

満月のときに現れる餅つき兎。その兎の二つの耳のうち内側の小さい耳は、月の地図では神酒(みき)の海と名付けられている。上の画像の右下に見える薄暗いところだ。そこを取り囲むようにそそり立つ絶壁にはアルタイの壁という名がある。
朝から良く晴れた日曜日、今日こそは撮影をとカメラを持って丘に登る。レンガ積みもそこそこに8センチの屈折望遠鏡に5ミリのアイピースを差込んで、それにカメラを接続した。拡大法という撮り方だ。ターゲットは火星のつもりだった。ところが…
思ったより気流が悪い。丘を渡る風はそれほどでもないが、上空がだめだ。この気流の乱れは、望遠鏡の口径が大きいほどよく拾う。仕方なく8センチをそのまま傾きかけている月に向けた。
ファインダーをのぞくと、アルタイの壁が下からの太陽の光を受けて輝いていた。長さが480キロもあるこの絶壁がなぜ出来たのかはっきりとは分かっていないという。
月にはクレーターと海のほかにも複雑な地形がたくさんある。その生い立ちがすべて分かるのはまだ先のことかも知れない。

(この写真は肉眼で見た上をそのまま上にしています。)

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おおいぬのペンダント

2010年02月22日 20時38分08秒 | 宇宙

南天を撮影した画像を眺めていて思いついた。そうだ。M41を撮ろう。
M41はシリウスの右下に見える散開星団で、月明かりさえなければ肉眼でもはっきり分かる。うっすらと掛かるもや。それに加えてこの月明かり。どこまで写しだせるか分からないが、余り露出をを掛けないに限る。カメラの感度を1600に落とし、シャッタースピードは90秒に抑えた。その設定で3枚撮影し、さらに60秒の露出画像を1枚加えて重ね合わせたものがこれだ。

星座絵では、M41は後足で立ち上がったおおいぬの胸の辺りに来る。古代ギリシャで猟犬にそんなものを付けたのかどうか知らないが、この散開星団は言わば忠実な猟犬の胸に輝くペンダントだ。

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垣間見る南天

2010年02月21日 10時54分04秒 | 

昨日は昼からべた曇。これはだめだと諦めて、煉瓦を積むためだけにみかんの丘に上がる。そして、ようやく作業が一段落して外を見ると日が暮れかかっていた。
西の空の雲が切れ始めている。あれ、晴れるのかな。そう思いながら後片付けをして二階に上がり、屋根を開けると見渡せる範囲の半分近くが星空に代わっていた。五日月がまぶしい。このまま晴れるのだろうか。そう思いながら服を着込んで時を待つ。
やがてあれほど有った雲はすっかり東に去り、南の空、島影の上に、普段あまり目を向けない星座が煌く。おおいぬの足元から、「とも」「らしんばん」「ほ」。もともとは「ガリオン船」という壮大な星座だったらしいが、あまりに大きすぎて使いにくい為にそれぞれのパーツに分けられたと、昔何かで読んだ気がする。見ると長生きが出来るといわれる南極老人星カノープスは、残念ながら地平線近くの雲にさえぎられて見えなかった。
何を撮影しようか。月明かりがあるので星雲は無理かもしれない。そう思いながら時が過ぎていった。

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いくさ星と飼い葉桶

2010年02月09日 19時49分35秒 | 

竹取庵にはこれまで使ったことの無い望遠鏡がある。口径12センチの屈折アクロマートだ。
アクロマートというのはレンズが光を集めるとき、プリズム効果で出来る色のにじみを、屈折率が違う2枚のレンズを使ってかなり抑えるように設計された望遠鏡。超高性能とは言えないが、焦点距離が短くて星が明るく見えるので、ガイド鏡にでもと以前買って置いたものだった。
反射望遠鏡でおおぐま座の星雲を撮っていてふと目にとまった。僕も使って欲しい。そう言っている様だった。よしよし、今夜は君も使おう。
この望遠鏡は幸い移動用の赤道儀に載っていた。そのままカメラを取り付けて電源を入れ、今接近中の火星に向ける。近くにいるどでかい散開星団プレセペとツーショットで撮ろうと思ったのだ。ところが、結構視野の広いこの望遠鏡でも、さすがに一緒には写らない。全部で9枚撮ってつなぎ合わせたのがこの写真だ。アクロマート特有の青色のにじみは許して欲しい。プレセペはラテン語で飼い葉桶。同じ散開星団でも、青く輝く昴(すばる)とは趣きが違う。いくさ星火星が飼い葉桶に近づくということは戦いの準備でもするつもりなのだろうか。ただ、この飼い葉桶はロバのものなのだが…

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宇宙のアクシデント

2010年02月07日 23時31分42秒 | 宇宙

冬型の気圧配置が緩む気配は無い。しかし、せっかく月の出が遅くなった週末、竹取庵一階居間の煉瓦積みをひと段落させて二階の観測床に上がった。
屋根を開けると肌を刺す強風。いつもの20センチ反射望遠鏡から鏡の収差を打ち消すレンズをはずして、焦点距離を伸ばすレンズと取り替えた。天体が少し大きく写るはずだ。
カメラを取り付けて筒先を北に向ける。北斗の柄を尾に持つおおぐまが昇り始めていた。その首元に双眼鏡でも見える二つの銀河がある。葉巻銀河とも呼ばれる左側のM82は、渦巻銀河を真横から見たものだが、よく見ると複雑な形と色をしている。右側の大きな渦巻き星雲M81が接近したときに重力によって形が崩れ、新しい星が爆発的に生まれているのだそうだ。加害者のM81は澄ました顔で通り過ぎている。これは一種の人身事故。広いはずの宇宙でもこうしたアクシデントはよく起こる。
それはさて置き、収差を打ち消すためのレンズをはずすとこれほど周辺の星が細長く変形するのか。これでは使えない。それにいつも思うがこの望遠鏡は星が大きく写り過ぎる。改造しなければ。宇宙(そら)を撮影するのも簡単ではない。

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