宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

天文教室

2015年07月26日 12時27分11秒 | Weblog

山あいの公民館に今年も何組かの家族連れが集まった。ほうき星や新星の探索家として知られる本田実さんが晩年観測所を置いたこの場所で天文教室を始めたのは1997年のことだ。初めは夜の観望会だけだったが、天気が悪いと空振りに終わってしまう。そこでいつの頃からか、昼間に天文工作をして夜晴れたら観望会をする事になった。工作もミニ望遠鏡から始まって今では惑星儀が定番になっている。

発泡スチロールの球に、合成ゴム系のシートに印刷した惑星表面の画像を貼り付けていく。この画像はNASAの画像を元に、僕が家のパソコンで作ったものだ。天文教育が目的で、かつ利益を求めない。その上で元画像の出典元を明記する。そうすればNASAの画像が使えるという話を聞いた事でこの作業が実現した。
工作には子供だけでなく、かなりご高齢の方も参加して下さる。今までに火星、地球、月、土星の4種類を作ってきた。今年は木星だ。NASAから探査機の撮影画像として発表される写真はみんな鮮やかで赤みが強い。しかし地上から望遠鏡で見た木星はもっと穏やかで地味なものだ。見た目の通り。このコンセプトに従って、僕が笹の葉と呼んでいる惑星画像は比較的おとなしいものになった。

いつものことだが、女の子たちはきちんと丁寧に作っていく。男の子は途中で飽きて作成途中の惑星儀でボール遊びを始める。笹の葉の切り方も貼り方もいい加減だ。それでも1時間半もすれば出来の良し悪しは別として全員がソフトボールより少し大きい惑星を手にする事が出来る。その嬉しそうな顔を見ると、忙しい中で画像処理をした大変さを今年も忘れることが出来た。ただ気になるのは、毎年少しずつ子供の数が減ってゆく。ここで星を教えた子供たちも、進学期を迎えると地区から出て行ってしまった。

日が暮れると公民館前に並べた観測器具で観望会が始まった。いつもなら星仲間が望遠鏡を持ち寄るのだが、今年は日程が合わなくて僕一人だ。28センチシュミットカセグレンと10センチの双眼鏡が出番を迎える。観望の対象は月齢9辺りの月と、輪がいっぱいに開いた土星。工作教室には姿を見せなかった地区の人たちも現れて、楽しんでくれた。

二つの機器に星を導入しながら解説をしてゆく。記録としてこの一枚を手持ちで撮影するのがやっとだった。特に今年は、28センチの望遠鏡に携帯やスマホを近づけての月面撮影が人気。みんなには喜んでもらったものの、僕自身が一枚も撮っていなかった事に気付いたのは、午後9時半を回って帰路に就いた車の中だった。

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さそり南中

2015年07月21日 00時13分40秒 | 

今日みかんの丘に上がったのにはもう一つ理由が有った。来週末の25日、山あいの公民館で天文教室をしなくてはならない。そこで使う観望用のシステムを持って帰らなければならなかったのだ。赤道儀は普段太陽撮影用に使っているミザールのEX。望遠鏡は僕が黒姫と呼んでいる28センチのシュミットカセグレン。それに10センチの双眼鏡セット。これだけの機材を観測デッキから下に降ろしてデッキに戻ると、ちょうどさそり座が真南に来ていた。星仲間の用語では真南に天体が来ることを「南中」と呼ぶ。そう、現在さそり座南中。
さそりのハサミの前には最接近を過ぎた土星が居る。まるで農耕神を襲おうと、さそりが天の川から飛び出しているようだ。たださそりにとって残念な事に、この神様は西隣のてんびん座に居て、まるでサソリをあざ笑うようにハサミの直前をゆっくりと回っている。

以前さざ波に揺れる泥だらけの土星を撮影したことを思い出してリベンジを試みることにした。金星の撮影では四苦八苦したが、そのおかげで撮影の方法をかなり思い出している。8センチを南に向け直してファインダーに土星を入れた。ところがなんとなく望遠鏡が指示通りに動かない。望遠鏡と赤道儀を繋ぐプレートが緩んでいるのだ。全く。何の準備もせずにいきなり撮影に入ったためにこの始末。それでも騙しながら10枚ばかり撮影して、そのうちの5枚を重ねたのがこの画像だ。

そう。黄砂の影響はすっかり無くなっている。もう少しピントが良くなるはずだが、フォーカスを合わせようとして望遠鏡に触るとガタッと筒が動いて星がどこかに行ってしまう。準備不足による敗北。このところ星の撮影は負けが込んでいる。

ところで、開けっ放しになっていた東の掃出し窓の網戸にニイニイゼミがとまっていた。昔は夏になるとこのセミが一番に鳴きだしていた。今はクマゼミが一番手だ。温暖化で天気がおかしくなっているように、生き物の生態にも変化が出ている。

この連休は3日あるが、おそらくあと2日は来られないだろう。家にも色々と用事が有るし、天文教室の準備もしなくてはならない。仕事を辞めればもっとここに来られるのに、とふと思った。

 

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三神そろい踏み

2015年07月20日 00時01分53秒 | 

天気予報は晴れを予測していなかった。実際の空も朝から雲の比率が多かった。だから今日は星を撮る気などさらさら無く、丘に向かう車には修理を終えた小さいほうのカメラをテスト用に載せているだけだった。なのに、草刈りの後大工仕事をしようと準備を進めながら、ふと窓の向こうの西の空を見ると細い月が掛かっている。雲も少なくなっていた。
あれ、今日は撮れるのかな。カメラを持ってデッキに上がる。なんだこれは。どこを触ってもペタペタしている。隙間から海水交じりの雨水が吹き込んだのだ。やれやれ、かつてのデッキは見る影もない。ちゃんと掃除しなくては。

そう思いながら水を含んでずっしりと重くなった屋根の妻を開くと、西の空には月だけでなく明るい星が二つ輝いていた。明るいほうが最大光期を迎えた金星。暗いほうが遠ざかりゆく木星だ。そう、美の女神ビーナスと大神ゼウス、それに月神アルテミスのそろい踏み。美しい光景だ。
え、撮れそうじゃないか。でも何も準備していない。カメラは一つ。そしてレリーズも持って来ていない。仕方無い。セルフタイマーを使おう。そう思いながらとりあえず三脚を出して西の空の3人の神様を捉えた。

次に何を撮ろう。先に沈む月かな、えっと、使える望遠鏡は今8センチしか無い。あわてて屈折望遠鏡に付いていたウェブカメラを外してアダプターと取り換え、小さいほうのカメラCANON EOSkissX4を取り付ける。そうして撮ったのが一番上の写真だ。月齢は2.4。以前「細月」と名付けた時の月、月齢1.5には及ばないがなかなか美しい。

さて次はやっぱり金星かな、高度が下がると大気のメラメラでまた撮れなくなる。そう思いながらファインダーに金星を入れてカメラのモニターを覗いた。そして…

あれ、惑星はどんなふうに撮るんだっけ。長い間撮影をしていない。細かな作業をすっかり忘れていた。どこがジャストフォーカスかもつかめないながら、グニャグニャ揺らめく美の女神を十数枚撮影して重ね合わせたのがこれ

だめだ、大気プリズムの補正すら忘れている。そう、もうずいぶん前から天文ファンではなくなっている。被写体の導入方法も、一眼レフのモニター画面の使い方も、すっかりどこかに置いてきていた。悪戦苦闘しながら無駄な時を過ごすうちに、月は山陰に隠れようとしていた。これはまずい。拡大投影法で接眼鏡の前に取り付けていたカメラをいったん外してTリングと呼ばれるカメラのアダプターを接眼鏡と取り換え、改めて直焦点法で月を狙う。

ああ、もう少し早く気付けば。臍を噛みながらシャッターを切った。ああ、カメラが二つあれば一つは三脚の上に載せたままで風景を撮り、もう一つのカメラを望遠鏡に繋げる事が出来るのに。

 

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台風11号の被害

2015年07月19日 01時56分27秒 | Weblog

4年ぶりの直撃だった。しかも今回は台風の足が異常に遅い。すぐにでも丘に上がりたかったが、仕事が有るのでそうもいかない。どうぞ無事でと、激しい風音を自宅の寝床で聞きながら一夜を過ごしたのが昨日の未明。やっと連休を迎えて丘に上がったら、竹取庵の周辺は雑草に覆われていた。

これも刈らなければと思いながら建物の様子を見てみたが、外から見たところでは増築部分の屋根のルーフィングが一部めくれているだけだった。早く屋根を葺かない報い。秋の台風シーズンまでには何とかしなくては。
そう思いながらドアの鍵を開けて驚いた。一階居間の東側の掃出し窓が開きっぱなしだったのだ。

台風はみかんの丘の真上やや西を通過している。上の雨雲レーダー(気象庁ホームページより引用)でも分かる通り、風雨は南東から叩きつけていた。もろだ。窓の近くに置いていた合板のちゃぶ台が水を吸って膨れ上がっていた。天板の上にはまだ水が残っている。すぐ横のオーディオは大丈夫だろうかと思ったが、湿っている状態では動作を確認する勇気が無かった。床板も水を吸って膨らんでいた。

仕方が無い。毎日の仕事に追われて気がそぞろだったとは言い訳にしかならない。気を紛らわすためも有って外の草を刈る事にした。日曜日に買った電動の草刈り機が威力を発揮する。およそ2時間で竹取庵の周囲の雑草は何とか片付いた。

 

 

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