宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

埋もれてゆく天の川

2014年09月30日 00時13分31秒 | 

西から迫る雲は次第に厚みを増していった。ははは、やっぱり僕はくじ運が悪い。今日狙うはずだったおおぐま座の天体は厚い雲の向こうに隠れてしまっている。僅かな期待を持ちながら西の彼方を眺めたが、そこに写真の撮れる晴れの領域は有りそうになかった。まあいいか。たとえ星が撮れなくても、観測デッキで星空を見上げる事が出来た。満タンとはいかないが、心がチャージされてゆくのが感じられる。

頭の上を夏の名残りの天の川が流れていた。羽を広げるおおとり。ここに今日の次のターゲットが有ったが、無理だろう。でもいい。出会えたのだから。 そうだ、せっかく赤道儀に火を入れているのだし、今夜はこの鳥を撮って終わりにしよう。魚眼を付けた小さいほうのカメラをピギーバックの雲台から外し、8センチにつけていた大きいほうのカメラと取り換えた。カメラ感度を1600に設定。焦点距離28ミリ、絞り解放の5.6。雲が本当にすぐそこに来ている。ファインダーを覗いてフレームを決める暇が無い。あてずっぽうで筒先を夏の大三角に向けてシャッターを開いた。

視野の端を小さな人工衛星が渡ってゆく。雲はもうそこまで来ていた。露出85秒。それが限界。短い露出だが天の川と白鳥が分かるだろうか。大三角のうち、織り姫星はあと少しで外れてしまった。次のショットを撮る間もなく雲が流れて、天の川は埋もれていった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

迫り来る雲

2014年09月29日 00時08分17秒 | 

空の透明度はそれほど良くなかった。それでも星雲や星団が撮れないほどでは無い。今夜は頑張ろう。そう思って竹取庵の屋根を開けた。西の空に綺麗な三日月が掛かっていたが、その向こう。西から北に掛けて嫌な雲が姿を見せていた。まさか。あれが来るのかな。そう思いながらカメラを8センチに取り付けて月に向ける。肉眼では晴れて見える空も、望遠鏡を通すとうす雲が広がっているのが分かる。ピントと露出を決めているうちにそれが次第に濃くなった。

やっぱり来たか。そう思いながらシャッターを切る。この時点の月齢は3.2。「細月」よりは少し太っている。雲のほとんどない写真も何枚か撮れたが、たなびく薄雲の向こうの三日月も面白い。なんだか物語に出て来そうな情景だ。

などと悦に入っているうちに、雲はどんどん迫って、晴れの区域を縮めていった。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

そろそろ色づく

2014年09月28日 01時39分52秒 | Weblog

しばらくぶりに上ったみかんの丘。風はすっかり秋だ。今年の夏の天候は悲惨だった。米の作況指数がマイナスだと言う。昔なら飢饉になるところだ。丘のみかんも虫や病気にずいぶん傷められたが、それでも早生の木がそろそろ色付き始めていた。畑を見回ってみると、また何本か駄目になりそうな木が有る。いつも世話をしてくれるおばさんの娘さん夫婦も、今年はブドウのハウスが忙しい。それにこの天候だ。自然に抗うのは並大抵ではない。

大工仕事を一段落させて外に出てみると、期待した通り晴れ間が広がっていた。

今月は大切なチャンスを二度逃している。今夜こそ撮らなければ。長い間ちゃんとした星の写真を撮れていない。もうずいぶん前から僕は本来の自分らしさを失くしていた。イライラもピークだ。星が撮れないと言うと、運も有りますからね、と同情してくれる人が居る。でも違う。もちろんいい写真は撮りたい。ただ、僕が撮る天体写真なんかよりはるかにきれいな写真はネットでいくらでも見られる。そうじゃない、僕はこの丘で星と繋がっていたい。僕が星の写真を撮るのは、ここで星と繋がっている、その証拠が欲しいだけなのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

十六夜の満月

2014年09月10日 00時35分25秒 | 

昨日は仲秋の名月。お天気が気になったが、雲間の名月が楽しめた。ただ、やっぱり月齢14と言うのは引っかかる。そこで今日の夕方、満月の出を撮るために少し早めに職場を抜け出してみかんの丘に向かった。座席にはかねて用意の大きいカメラ。取り回しは小さいほうが良いけれども、どんなシチュエーションになるか分からないのでこちらを選んだ。

竹取庵から8センチと6センチの屈折を運び出したところで、丘の番犬太郎に見つかる。逃がしてはくれない。太郎を相手にしているうちにおばさんも現れた。黄昏時の撮影はあきらめて竹取庵に戻り、屋根の上から昇って来る十六夜を撮る事にした。そう、昨日が仲秋の名月だから今夜の月は十六夜というわけだ。しかし月齢は今夜の午後10時から午前2時ごろまでが15.0。満月と言う事になる。

なぜこんな事になるのか。何度か書いたが、月は二つある焦点の片方に地球を置いた楕円軌道を回っている。その地球が太陽を中心としたほぼ真円の軌道を回っている。この為に地上から見た月の満ち欠けに、暦との誤差が生まれるのだ。言葉では分かりにくいが模型を使うと意外に簡単に理解できる。

ところで、月が楕円軌道を描いているので地球から見ると月は遠くなったり近くなったりする。このところ満月は地球の近くにいる。ちょうど一か月前、「台風一過のスーパームーン」と言うタイトルで書き込みをしたが、この時の月が今年一番近かった。今夜の月はこれよりもおよそ6000キロ遠い36万キロだ。それでも平均距離は38万キロだと言うから今夜もスーパームーンには違いない。

そう思って丘の月を撮った後、8センチ屈折を持ち帰って家で撮って見た。比較するものが無いからスーパーだかノーマルだか分からないが、これが今夜の満月。暦の上の十六夜だ。満月と言いながら右側が少し欠けているのを許してあげて欲しい。本当に欠けていない満月。僕が「正満月」と名付けた月は月食の前後にしか現れない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

仲秋の小望月

2014年09月08日 19時13分16秒 | 

外の様子を気にしながら夕暮れを待つ。月の出は午後4時50分。観測デッキの屋根を開ける頃には月がかなり高いところまで昇っていた。秋晴れと言うには少し濁りが有るが贅沢は言えない。本当に久々の青空だった。日暮れとともに周りで虫が鳴き始める。本格的な秋がすぐそこに来ていると、風景が告げていた。

赤道儀のカバーを外して8センチ屈折に大きいほうのカメラを取り付ける。あれこれ試してカメラ感度を160に設定。露出を160分の1としてみた。

杵を持ったうさぎはやや前のめりだがそれでもせっせと餅を搗いている。旧暦では7月から9月までを秋と言う。そのちょうど真ん中、旧暦の8月15日、今年で言えば明日8日の月が仲秋の月と呼ばれてお月見をすることになっている。だから今夜は仲秋の小望月だ。クレーターを楽しむには少し膨らみ過ぎているが、それでもこの小望月は月齢が12.9とやや細め。そう。この数字に1を足しても15にならない。本当の満月は明後日9日の午後10時半頃になる。暦の上の十五夜と月齢15が同じではないと言う見本のようなものだ。

明後日か。晴れるかな。この写真を撮って帰宅した頃、空には雲がぎっしり詰まっていた。やっぱり今年の天気は信用ならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋の気配

2014年09月07日 22時35分31秒 | Weblog

最近星仲間に会うと、話題は決まってお天気。今年の天候不順は、悲しいと言うよりももう呆れ返る。前に天の川を撮ってから一カ月半。一度もちゃんとした星空に出逢っていない。だから今日の天気図を見てもあまり期待はしなかった。期待はしなかったが、それでもと、車にカメラバッグ一式を積んで丘に上がった。

白雲をいっぱいに散りばめた空。その白が時間とともに青空に置き換わってゆく。あれ、晴れるのかな。大工仕事の途中、時折外に出て首を傾る。そして夕方近くにはとうとう地平線を除いて秋晴れに換わってしまった。そう、秋だ。丘のみかんの実もずいぶん大きくなった。おかしな天気が災いして病気や害虫にやられた実も多いが、それでもしっかり太っている。つまんでみると弾力が感じられた。なんだか頼もしさを感じる。

明日は中秋の名月だと言う。晴れるだろうか。仕事が有るので晴れても丘には上がれないだろう。もし今夜晴れたら撮ってみよう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする