宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

本番前に退場

2013年08月14日 08時00分07秒 | 

空全体に薄いベールは掛かっているものの、天の川は依然として美しい流れを見せていた。時折流星群の星屑が見事な尾を引いて流れてゆく。しかし観測デッキの赤道儀に取り付けたカメラの写野には相変わらず一つも入って来なかった。

まあいいか、久々にこうしてデッキで寛ぎながら満天の星空を見上げることが出来ている。それだけで十分だった。竹取庵の東には土地の境を示す大きな木立の列が有る。だから月も星も、みかんの丘まで昇るのに時間が掛かってしまう。その木立の上にカシオペアの姿が見えた。アンドロメダも昇っている。
海岸の岩に鎖で繋がれ、お化けクジラの餌食にされようとしていたアンドロメダ姫を救ったのがペルセウスだ。秋の北天の星座は、その勇者ペルセウスが、妻として娶ったアンドロメダと共に義母カシオペアと義父ケフェウスの元に参じている姿だと、僕が勝手に思っている。

木立の上にペルセウスが見えてきた。ペルセウス座流星群は、すべての流れ星がこの星座の中から出て来ている様に見える事からその名が有る。流星群の出現もそろそろクライマックスを迎えようとしていた。しかし時計は午後11時半を指している。今帰っても画像処理して寝るのは2時を過ぎるだろう。もちろん明日も仕事。帰らなければ。
機材を片付けたあと、閉じてゆく屋根を止めて端から星空をのぞいた。最後に一つでも流れてくれるかな。その願いも空しく静かな空。竹取庵に鍵を掛け、荷物を車に積もうと歩き出した時、目の前を小さめの流星が流れた。ありがとう。また来年。

 

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くじ運

2013年08月13日 01時54分49秒 | 

白い玉と赤い玉が同じ数だけ入っている箱から目をつむって玉を取り出せば、赤を手にする確率は50パーセントだ。でも現実はそうでもない。赤をたくさん採れる人。白を多くつかむ人。

今夜はペルセウス座流星群の極大日。今年は条件が良い。しかも朝からそれなりの青空が広がっている。一週間が始まったばかりだが、なんとしても丘に上がらなければ心が病んでしまう。そう思ってカメラを2台携えて車に乗った。丘に向かう道中、あそこからああ撮って、その後は観測デッキからこうして…

丘に着いたのは午後10時前だった。天の川が美しい。この夏初めて見る鮮やかな星屑の流れだ。その流れを横切る光りの矢を捉えよう。そう決めて三脚にカメラを載せる。レンズをワイドに換えて天の川に向けると、空のあちこちに見事な流れ星が現れ始めた。ただ、なぜかカメラの写野の中は飛ばない。レンズは超広角。写野は全天のほぼ8分の1をカバーしている。それなのにどうしてもカメラの前を飛んでくれない。

僕は「くじ運」が悪い。といつも思う。赤い玉が当たりなら、僕がつかむ玉は3分の2以上が白だ。蜜柑の苗木の横で撮影した22枚の写真のうち、流れ星が写っていたのはたったの一枚。その流星も、ペルセウス座とは関係の無い散在流星だった。

 

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