宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

今年で最後、天文教室

2024年08月11日 12時26分27秒 | 

 1997年以来毎年続いていた岡山県吉備中央町大和公民館の天文教室が今年で最後となった。スタート当時沢山いた吉備中央町の子供の数が減っていったのと経費節減のため、それほど児童数が減っていない大和小学校もあおりを食らって廃校。6.5キロ離れた吉川小学校に統合されて、60人いる子供たちはスクールバスで通うそうだ。

 大和小学校の校庭では毎年天文観望会を開いていた。だから今年の天文工作は、その校庭から見た北の星空を作る。厚紙に貼った夜の校舎をカッターで切り抜く作業が今年の工作の山場だ。

 それでも工作開始からおよそ1時間半でみんな完成。あと半年で消えるみんなの母校の美しい星空を手元に残すことが出来た。

 工作が終わって外が薄暗くなると、いつものように小学校校庭で観望会が始まる。最後となる観望会を惜しむように、昨夜の空は今まで無かったような快晴で、夜が更けるとともに月や星が輝きはじめた。子供たちも少しずつ集まって来る。

あまりにも美しい星空。すぐ南の、一足早く廃校になった大和中学校の校舎の上にさそり座が昇っていた。その尾の先には天の川も見える。体調がすぐれないためカメラを持って来なかった僕だが、最後の星空をなんとか写真に収めたくなった。しかし持っているのはスマホだけ。でもやってみるか。
 スマホのカメラをマニュアルに設定し、車の屋根にスマホを押し付ける。露出4秒、絞り1.7、ISO感度3200でシャッターを切った。レンズが小さいために星像はぽってりしているが、さそり座も天の川も何とか捉えることが出来た。

もうきっとここで星空を見る事は無いだろう。本当に見納めの、そして信じられないような美しい星空だった。

さようなら大和小学校。さようなら大和公民館天文教室。いままでありがとう。

 

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みかんの丘、もうひとつの再会

2023年08月13日 02時06分28秒 | 

今日は星の写真を撮ろう。そう決めて墓参りなどの用事を済ませ、一休みして準備に取り掛かった。予報ではほぼ曇りということだったが、気象庁の天気図もひまわり画像も、大丈夫だよ行っておいでとささやいてくれる。ヨシ!と意気込んだものの、え、星を撮るのに何が必要だったっけ。久しぶり、本当に久しぶりにみかんの丘で星を撮る。細かい機材を思い出せない。まあいいや。カメラボディーとレリーズ、それにレンズが有れば事が足りるだろうと適当にかき集めてデッキに上がってきた。
しかし望遠鏡のビニールカバーを外して気付く。あれ、望遠鏡とカメラを繋ぐアダプターは?赤道儀にカメラを載せる雲台は?だいたい赤道儀を動かすためのパソコンに繋ぐケーブルも無い。と言う訳で、今夜はワイドレンズだけを使っての固定撮影になってしまった。

まず初めに前から撮りたかった新しい対角線魚眼レンズでの撮影だ。日暮れを待って待って、8時前にようやく星が見え始めた。ボディーにレンズを取り付けて三脚に載せ、ほぼ真上を向ける。接近中の台風のせいで少し靄が有るものの、何とか天の川を捉えることができた。

写真右の明かりは岡山の街灯りと黄昏の名残り。下に見える明かりは瀬戸内海対岸の高松の街灯り。そして左側が姫路や神戸など関西の都市の明かりだ。その上にはかなり厚い雲も掛かっている。仕方が無いか。

せっかく天の川が川下まで見えているので、レンズを換えて南天の星座たちを狙ってみた。

いて座、さそり座、みなみのかんむり座の星の並びがはっきりとわかる。東の地平には土星も見えていたが、アダプターが無くては撮影出来ないし、くっきり撮ろうと高度が上がるのを待っていたら真夜中になってしまう。と言う訳で今日はここまで。これから時々来ることにしたし、間もなく公民館の天文教室も有るので丘を降りることにした。

天文台として再び働き始めた竹取庵。次は赤道儀にカメラを載せて撮影しよう。そのためには撮影機材全部をちゃんと書き出しておかなくては。そして、出来れば深夜まで時間を掛けて撮って行こう。以前の様に。

そう思いながら竹取庵のドアに鍵を掛けていて、ふと丘の番犬太郎がそこに居るような気がした。そうだ。丘によく通っていた頃、太郎は撮影が終わるのを見計らうようにこのドアの前まで来て僕を呼びながら尻尾を振っていた。
太郎。その様子が目に浮かんで涙が出た。あいつの墓は少し離れた畑の傍にある。今夜もきっと来てくれた。そしてこの時刻にこの場所で僕に思い出させたんだ。

観測デッキの星空との再会。そしてもうひとつ、太郎との再会。太郎が眠る畑の近くを車で通りながら手を振った。太郎、待っといて。またすぐに来るからね。

 

太郎の話はここにあります。
太郎が逝った - 宇宙(そら)に続く丘 (goo.ne.jp)

宇宙(そら)に続く丘ホームページ :http://taketorian.org/

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西の空のランデブー

2023年05月28日 13時06分57秒 | 

(ここに掲載した記録は5月23日のものです)

会社のパソコンに届いた天体ソフトメーカーからのお知らせ、今夜西の空で月と金星が接近するという。

月と金星か。以前も撮った覚えがある。いろんな理由で今はみかんの丘に上がれていない。仕方無いか、家から撮ろう。そう思いながら帰宅して駐車場から空を見上げた。今夜は快晴。まだ明るさの残る空にひときわ輝く二人の女神の姿が有った。月の女神アルテミスと金星の神ヴィーナスだ。

家に入って最近買ったカメラと三脚を持ちだすと、家の近くの駐車場に戻った。大丈夫。ギリシャ神話の二人の神はまだ西の空に見える。そこでふと思いついた。近頃のスマホのカメラは性能が良い。どこまで撮れるんだろうと、そのスマホを車の屋根に載せてシャッターを押したのが上の写真だ。設定を変えると長時間露光や絞りの変更、感度の調節など、ちゃんとしたカメラと変わらない撮影ができる。スマホだと言わなければ気付かないかも知れない。

結果にそこそこ満足して、今度はカメラを一眼レフに換えた。一眼レフと言いながら、このカメラにファインダー用の鏡は無い。いわゆるミラーレスだ。そのEOS‐Rに40年近く前に買ったおもちゃのTOMYの6センチ望遠鏡を取り付けて空に向けた。それがこれ。

金星と共に写る月の影の部分がかなりはっきり写っている。本来は真っ暗なはずの月の影の部分が地球の反射光に照らされて見える「地球照」と呼ばれる現象だ。この地球照の明るさが3年前から急に暗くなってきたという観測データをアメリカの観測チームが発表した。このチームは過去20年にわたって地球照の明かるさを測っていたが、3年ほど前からそれが大きく変化したと言うのだ。
地球の反射光の大部分は白い雲が原因だ。その雲の量が3年前から急に減った。地球の温暖化によって大陸中央部の砂漠化が進み、蒸発する水蒸気の量が減って雲が湧かなくなったのが原因のようだ。地球の温暖化が夜空の風景にも影響を及ぼす。考えれば空恐ろしい話だ。

地球照を撮ったのと同じシステムで露出を変えて撮影した。地球照は消えて、代わりに月の表面が見えいている。

月の右の丸い模様は豊かの海だ。
レンズを家にしまっているフローライトの8センチと取り換えようかとも思ったが、その気力は残っていない。夜風に吹かれながら、西に沈みゆく二人の女神のランデブーをただボーっと眺めていた。

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超多忙の中の天体ショー

2021年11月20日 23時43分47秒 | 

今週は本当に忙しかった。一週間の中に三つの大きなイベント。その中で予告された今月19日の部分月食だ。部分というからパスしようかと直前に調べてみたら、月が地球の影にほとんど入るという。え、それなら皆既月食に近いではないか。赤い月が見られるかもしれない。

翌日の出張の準備をする傍ら、何とか撮影をと思い立って機材をひっかき集めた。竹取庵はメンテナンスを始めたまま多忙で止まっている。機材のほとんどが岡山の我が家に山積みにされていた。その中からカメラと三脚、それに時々僕のブログに登場する、おもちゃ会社のトミーが昔作ったあの名機ファミスコ60を持って家の近くの旭川土手に急行したのだが・・・

有ろう事かレリーズを忘れてしまっていた。ならばセルフタイマーをとカメラをいじってみたが、長い間使わないうちにカメラの操作方法を忘れている。仕方が無いからブレを覚悟で指で押したシャッター。うまくいったのは上のアップとこの全景の写真だけだ。ただ、幸いなことに全景の写真にはちゃんとプレイアデスも写っている。まあなんとかブログアップには漕ぎ着けることが出来た。

そろそろ仕事はおろそかにしても星の撮影に力を入れなくては。と思いながらもなかなか丘に足が向かないのが悲しい。

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397年ぶりの会合

2020年12月22日 00時33分40秒 | 

空の上で大物が会合をするという。それも397年ぶり。これを撮影しないわけにはいかない。そう思って公私ともに忙しい中を1カ月近く前から無理やり準備してきた。ただ、竹取庵の観測デッキはあのスズメバチ騒動以来放置。望遠鏡もすべて外して、メンテナンスの名目で岡山の家に転がしたままだった。かなり考えて、撮影する望遠鏡を口径8センチのフローライト屈折と決め、手持ちのカメラを全部持ってみかんの丘に上がった。デッキの中はゴミだらけ、埃だらけ。昼過ぎから掃除機と雑巾を使って何とか撮影が出来るところまで漕ぎ着けた。みかんの丘の娘さん夫婦にも見せたいので双眼鏡も準備する。

 

 

久しぶりだ。なんだかワクワクする。そうだ、屋根が開いたところを撮っておこうと竹取庵の外に出た。みかんの色に染まった丘。今年はみかんが豊作で、すでに普通のみかんは収穫をほとんど終え、残っているのはネーブルなどだ。

 

ああ、この風景を撮影するのも何年かぶりだと思いながらデッキに戻って撮影の準備をする。と、南の空に月の姿を見かけた。

今日の会合は大物惑星の木星と土星だが、月の撮影もしてみようか。カメラを東に振って撮ったのがこれ。月齢6.8の幽月だ。

 

幽月とは昼間に見える月。僕が勝手に名付けたものだ。この月も数日前に西の空で土星や木星と立ち話をしているところが話題になっていた。月をとらえて満足し、望遠鏡をもう一度木星と土星に向けなおして空が暗くなるのを待つ。
撮影は屈折望遠鏡の接眼部に焦点距離12ミリのアイピースを取り付け、その後ろにレンズを外したカメラを取り付ける「拡大撮影」という方法だ。西の空の高度20度ほどのところに二つの星がほぼ縦に並んでいるのが見え始めた。カメラをセットしてモニターを見ると、これまで個々に撮影していた巨星が、なんと同じフレームの中に一緒に見える。ピントを合わせ直していくつもシャッターを切った。この季節、気流が悪いのは仕方が無い。しかも高度が低い。沢山撮ったコマの中から選んで画像処理したのがこれだ。

木星の縞を写そうとしたが、そうすると露出不足となって衛星が消えてしまう。と言う訳で、ここは木星の子供たちを優先することにした。
空が暗くなるにつれて星の数が増え始める。雲がほとんどない。素晴らしい眺めだ。ああ、本当に久しぶり。ただ、モニターの中の巨星たちの映像は、低高度で気流を拾い、グニャグニャとクラゲのようだ。仕方が無い。ここで終わろう。次に巨星たちがここまで近づくのは2080年だという。さすがに生きていないだろう。ふふふ。と言う訳でこれがデッキからの最後のショット。

おやすみ、星たち。きっとまた戻ってくるからね。

地平線すれすれの木立の上に輝いているのが木星と土星。よくよく見ると二つが分かれています。

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恒例の天文教室

2020年08月23日 16時24分42秒 | 

今年も天文教室の時期がやってきた。スケジュール前半の天文工作。今年は「アンティーク天球儀」を作る。去年の秋に国立科学博物館で目にした明治時代の天球儀の、ロマンチックな雰囲気が僕を誘ったのだ。ただ、博物館の天球儀は明るい主な星と太陽の通る道だけを示していたため、球面に張り付ける画像も作り易い。しかし今はそれから一世紀以上経った令和の御世。どうせ作るのなら画像だけは出来るだけ精密にしかもカッコ良くと思ったが、毎度のことながらそれが苦難の道の始まりだった。

天球儀の星の並びは、空の星の配列をそのまま球面に落とし込むために左右が逆になっている。その画像をどうすれば作れるのか。著作権保護期間の切れている大昔のノルトン星図を原図に使い、いったん図面を読み取ってそれを左右逆にした後、全部で672のブロックに分けて形を整え「笹の葉原図」の所定の位置にはめ込んでゆく。しかし星の配置を左右逆にすると文字までが逆になってしまう。このためいったんはめ込んだ画像の中から文字だけを一つ一つ取り出して、左右を元に戻してゆく作業。時間が掛かると思って今年の2月に始めたのだが、仕上がったのは5か月半後の6月末。途中からこんなことを思い付いた自分を呪った。

半年以上掛けて出来上がった画像をのびるラベル(A-ONE社製)に印刷し、切り抜いてプラスチックの球に貼り付ける。そして出来た天球を木にニスを塗ってアンティーク感を出した架台にはめ込む。この架台もみんなに組み立ててもらうのは難しいので完成させておく必要が有った。これを作るのにも1か月半の時間を要した。僕は馬鹿だ。そうして出来上がったのが今回作る「超精密天球儀」。オーダーのあった19個に予備を含めた22個を用意できたのは天文教室の2週間前だった。

今年は新型コロナウイルスの影響でいつものような円卓は組めない。学校の教室のように並べられた机の上に材料を並べて工作に掛かったが、精密と銘打っただけに画像を切り抜くのも球面に貼り付けるのもみんな苦労していた。もちろん小学生だけでは無理。親子で一生懸命作る姿は見ていて美しい。これを見るのもこの教室の醍醐味だと思う。

参加者の中には小学校の教頭先生や町役場の広報誌担当の人もいて、例年より大人の雰囲気の格調の高いワークショップになった。

(指導を手伝ってくれた教頭先生)

(この人は吉備中央町企画課の広報誌担当の職員)

 

細かい作業が不得手な子供たちも当然居る。始めてからおよそ2時間半。悪戦苦闘の末、何とか出来上がった現代版超精密天球儀がこれ。

実はこの天球儀の極軸の傾きは、この大和公民館の位置に合わせてある。なので架台に張り付けてあるプレートに書かれているのは「Armillary Sphere by NORTON for YAMATO」。
子供たちに故郷の空を誇りに思ってほしいという願いからだ。

このイベントはもともと彗星探索の第一人者本田実さんが晩年に観測所を構えていた岡山県吉備中央町大和地区で、星の世界の後継者を養成しようと1997年に始めたものだ。初めは夜の観望会だけだったが、あまりにも天候に左右され中止を余儀なくされる年も有ったため、雨が降っても大丈夫なようにと昼間の工作教室が加わったのが2001年。それ以来ずっとこうして続いている。ただ初めはかなりいた大和小学校の子供たちも年を追って少なくなり、今年はとうとう全校児童が60人を割ったと聞いた。かろうじて複式学級は免れているが、それも時間の問題なのかもしれない。
この教室を経験した子供たちも大半が町外に出てしまった。ここから街に出るには車で1時間以上掛かる。近くにはスーパーマーケットはおろかコンビニも無い。外に出たがるのは無理ないと思う。それでもいい。街で働いてひと歳経った時、この天文教室で憶えた故郷の星空の美しさを思い出して、人生の後半を星に囲まれて過ごしてもらえれば。

天文教室の後半はいつもの星空観望会だ。

天気予報には「曇りで所により雷雨」とあったが、天が味方をしてくれたのか、遠くでゴロゴロと音はしていたものの日暮れと共に雲が切れ、三日月が沈むころには木星、土星のほかヘルクレス座の球状星団やこと座のドーナツ星雲、白鳥のくちばし、アルビレオなども楽しむ事が出来た。みんな喜んでくれていた。今年もやった甲斐が有ったというものだ。片付けて別れ際に教頭先生が「来年は何を作るんですか。」と問う。

それだ。来年は何を作ろう。

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巨星に会いに行く

2020年02月24日 21時55分13秒 | 

日が暮れた。竹取庵に灯りがつくのは久しぶりだ。観測デッキの屋根が開けないのは残念だが、これも一つの新しい歴史。乗り越えればいいだけだ。
そう思いながら大きいカメラとコンパクトデジカメ、それに三脚を持ってみかん畑に出た。赤道儀が使えないので高感度で固定撮影するほかない。そう思いながら大きいカメラを三脚に取り付けて空に向けた。

カメラ感度を6400にして撮影する、つもりで操作を始めて唖然とした。カメラの使い方を忘れている。しばらくいじりまわってようやく感度を設定し、ノイズリダクションを設定。レンズの焦点距離を56ミリ、露出5秒で撮影してみた。それがこれ。11年前のオリオンと比べてみる。感度も露出も違うので一概には言えないが、確かにあれだけ威容を誇っていた巨星ベテルギウスが少し寂しげだ。

使い方を忘れたカメラと格闘するうちに空がさらに暗くなってきた。三脚をコンデジに譲って竹取庵の屋根越しで撮影してみる。焦点距離9ミリ、カメラ感度2500、絞り1.8、露出1秒。アクセントにと思ってミニライトを点けてみたが、要らない世話だったかな。

もっと長時間露光したかったが、星が増えすぎるのとノイズでベテルギウスが埋もれてしまう。コンデジでは限界がある。実はこの夜は魚眼も持ってきていた。せっかくだ。竹取庵入れ込みで撮ってみよう。まだ街の明かりが目立つけれども、この一枚が今夜みかんの丘で巨星と過ごした証だ。

 

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台風一過で撮ってみた

2017年09月19日 05時30分14秒 | 

日本列島を縦断して各地に被害をもたらした台風18号は今夜やっと温帯低気圧になった。なのに低気圧としてはまだ一級の勢力を保っていると言う。その悪天候下の人たちには申し訳ないが、昨日の夜台風が通過した岡山は今朝から穏やかな空が広がった。日中は多かった雲も日が暮れて気温が下がるとともに少なくなっていく。

実は梅雨明け以来撮りたかった星空があった。みかんの丘からではなく僕のふるさと岡山の市街地の上に広がる星空だ。そのために撮影に適した場所を探していろんな道を何日も車で巡り、標高は50メートルと低いものの、市街地北側の墓地が広がる丘の一角を撮影地と決めた。ここは子供の頃望遠鏡を持ち込んで天体観測をしていた思い出の場所でもある。昼間竹取庵で大工仕事をした後早々に家に帰って時を待った。持って行くのはワイドレンズを付けたEOS5DmarkⅡと三脚、それにレリーズだけだ。

墓地の一角に陣取ってカメラ感度2500で20秒露出してみる。しかしモニターに浮かび上がったのは昼間のような景色だった。駄目だ。街が明るすぎる。そこで試行錯誤した後採用したのがカメラ感度1000、露出4秒。上の写真だ。

本当に撮りたかったのは真夏。天の川がこの街の空を貫いている星景だった。秋の空では寂しすぎるが、自然が与えてくれた台風一過の星空だ。贅沢は言えない。次はこの場所に対角線魚眼を持ち込んで冬の星空を狙おう。

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さようなら冬星座

2017年04月25日 22時35分24秒 | 

大工仕事をしているうちに日がとっぷりと暮れた。観測デッキの屋根を開けてみると、西の空に冬の星座たちが沈もうとしている。さようなら、ごめんね、忙しくて逢いに来ることが出来なかった。バーナードループももっとかっちりと撮りたかったけれども、今年の冬までのこれも宿題。それよりも、この観測デッキでゆっくりと満天の星を楽しむ幸せを感じていたかった。本当に年々忙しくなってゆく。この先どうなるんだろう。

目を東に向けると春の星座のうしかい座やおとめ座が昇ってきている。 「春の大曲線」 今の季節プラネタリウムに行くと必ずこの言葉を聞く。
明るい星が形作る幾何学模様はそれぞれの季節にある。もっとも有名なのが冬の大三角。夏にはこと座とわし座、はくちょう座のアルファ星が作る三角形がある。アンドロメダとペガサスが形作るのは秋の四辺形だ。これに対して春はめぼしい星の連なりがほとんど見当たらない。そこで思いついたのが、北斗七星のひしゃくの柄の曲がりをそのまま伸ばしていく方法だった。

対角線魚眼のレンズでは少しひずんでいるが、北斗の柄はかなり美しいカーブをなしている。このカーブをそのまま伸ばしていくと行き当たる二つの星。うしかい座のアークトゥールスとおとめ座のスピカ。この線を春の大曲線と呼ぶ。これは少し無理じゃないかと、思うのは僕だけだろうか。スピカの上で輝いているのは木星。曲線の焦点あたりにみえる星の塊はかに座の泡ぶくだ。

それはともかく、今夜は望遠鏡を使うつもりが無かったから敢えてセッティングはしなかったが、いい加減に望遠鏡とPCの接続もやり替えなければそのうち動かなくなる。だいたい観測デッキのPCのOSは二台ともWindowsXPのままだ。今の増築部分の工事が一段落したらここの工事にもかからなければ、そのうち望遠鏡で星が撮れなくなってしまう。増築部分と言えば今日の昼間までに壁が三分の一と屋根裏の一部の断熱材貼りを終えた。はは、まだまだだ。

まあ、いつかは出来るだろう。出来なくても仕上がりは頭の中にある。それを思うだけでも幸せな気持ちになれる。

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ひそやかな天体ショー

2017年01月10日 08時10分20秒 | 

冬の代表的な星座のひとつ「おうし座」の中の最も明るい星アルデバランが月に隠される。この「星食」と呼ばれる現象は、ネットなどでかなり前から話題になっていた。もちろん天文関係の仲間たちの間での話だ。
地球が自転しているため、空の星たちは太陽も含めてすべて東から西へと動いていく。これを「日周運動」と呼ぶが、月は地球の周りを回っているために、この日周運動に抗うように少しずつ東向きに移動する。と言っても日周運動の速さには及ばないが。これを地上から見ると月が星々の上をゆっくりと滑って行くように見える。空には星が無数にあるため月が星を隠す現象は珍しい物では無いが、肉眼でも見える星、まして0.9等と明るく、名前まで付いている星の星食となると比較的珍しい。

このアルデバランの食は岡山では9日深夜の23時54分頃始まり、翌10日の1時3分頃終わる。昨日はみかんの丘に大工仕事に上がったが、空が雲に覆われていたためそのまま帰ってしまった。しかし午後10時過ぎ、気になって空を見上げると雲の切れ間から月が見え隠れしている。あれ、見えるのかな。そこで撮ってみようと家に入った。ただ撮ると言ってもろくな機材が無い。大昔に3,600円で買ったファミスコ60を大きいほうの一眼レフに繋ぎ、三脚を使わず手持ちで撮影する事にした。星食を手持ち撮影する。このためカメラの感度を800としてみた。月だけならシャッタースピード1200分の1くらいで撮れる。しかし、その露出ではたしてアルデバランが写るだろうか。
不安に思いながら食の始まりを待ったが、時刻が近づくにつれて雲が増え、23時40分頃には全くの曇り空になってしまった。やっぱりだめか。がっかりしたものの、諦めて寝ることも出来ない。そこで食が終わる午前1時の10分ほど前に外に出てみると、え、雲がほとんど無い。よしよしと家の中に取って返してカメラを持ち出し月に向けた。シャッタースピード1250分の1とは言うものの焦点距離は400ミリある。やたら沢山シャッターを切って、その中からカメラブレの少ないものを選び出したのが上の写真だ。

判るだろうか。月のほぼ真下に小さくぽつんと浮かぶ白い点が。さすが光度0.9等のアルデバランだ。あれほど明るい月のすぐそばでちゃんと存在を主張している。撮影時刻は2016年01月10日01時04分30秒。月の後ろから抜け出して30秒ほど経ったときの写真だ。

ただ、一般の人にしてみるとこの星食は大変に地味だ。空に有る小さな光る点があるときフッと消えて、やがて月の裏から出てくる。日食や月食の、あのドラマチックさに比べると本当にひそやかなショー。翌日の新聞もテレビも、取り上げている社はどこにも無かった。

 

ところで、仕事が忙しくてちっとも上がれないみかんの丘だが、それでも竹取庵の大工仕事は少しずつ進んでいる。昨日は午後3時頃から3時間ばかりの作業で増設中の寝室の壁の一部に化粧材を貼り付け、天井の一部に断熱材を取り付けた。

ここまで遅くなった工事だが、仕事がそろそろ軌道に乗ってきたため、これまでより少し進むことになるだろう。と、いつもの楽観的な見通し論。まあ、いつかは出来るだろう。

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動画のテスト

2016年11月25日 22時14分24秒 | 

これは昨日の我が家からの星空。以前みかんの丘で撮影した動画は操作ミスで削除されてしまった。だからこれが初めてのyoutube動画。
少し圧縮が強すぎて美しくない。次回はもっと画面を小さくしてみよう。

<iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/7y0rhteOgfo" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

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赤外線テスト

2016年11月12日 23時00分19秒 | 

畑仕事に疲れて居間でコーヒーを飲んでいるうちに時計は午後6時を回った。11月も半ばとなればさすがに日暮れが早い。真っ暗な空に月齢11の月がぽっかりと浮かんでいる。雲は約束通り東に去って、大きな晴れ間が西から広がっていた。ただ空全体にわずかだが靄が有る。まあ仕方が無いか。赤外線改造のEOSkissX6iを取り出し、対角線魚眼のレンズを付けて空に向けた。現れた撮影画像を見るが、ホワイトバランスをオートにしているのでそれほど赤いという感じは無い。わずかにピントが甘いのと月のゴーストがかなり出ている。

このレンズで何枚か撮った後、普通のズームレンズに取り換えてホワイトバランスをデイライトに変える。買って1年にもなるがこのモードにしたのは初めてだった。それがこの写真。

画面全体が赤く変わり、靄にうずもれ掛けていた星が写っている。これならいけるかな。ただゴーストはよりはっきりと映り込んでいた。もっとテスト撮影を続けたかったが月明りでこれ以上は無理。仕方なく丘を下りた。

もう一つのテスト撮影、コンデジのG7Xの動画のほうだがこちらは撮影中にバッテリー切れを起こしてしまい、機器の操作ミスもあって失敗に終わった。家に帰ってバッテリーをチャージし、改めて家の星空で何度かテストをし、思った以上の成果を得ることを確認した。ただ、カードに記録される動画はMP4で、そのままではこのブログにアップできない。YOU TUBE のアカウントを取ってからアップの方法を考える。小さな野望の実現まであと一歩だ。

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待ちぼうけの冬星座

2016年10月25日 00時33分31秒 | 

大きな仕事の山を昨日やっと越えた。それまで休みもろくに無いまま、帰宅中に空しく見上げてきた夜空。今日は比較的早く家に帰って一息ついて、深夜に車に荷物を取りに行こうと裏の戸を開けて見上げると…

家の前にあるゴルフ練習場の上に冬の星座が顔を出している。「何してるのかなあ、待ってるのに。」オリオンがそう呼びかけているように思えた。そう、ちょうど1年前、この星座を取り囲む水素のガス雲を撮りたいと赤外線撮影用のカメラを買った。それ以来押し寄せる仕事に休みがどんどん潰されて星空にカメラを向けるチャンスを持てず、時ばかりが過ぎて行く。そんな中での冬星座との鉢合わせだった。

待っていて欲しい。もう少しだから。この冬こそは念願のバーナードループを撮りに丘に上がる。上の写真を撮ったコンデジで全天周の日周運動も撮りに行く。心の中でオリオンたちに約束をした。

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縦じまの星空

2015年10月05日 00時21分34秒 | 

夕方一度晴れの区域が広がった後は、まるで渚に波が打ち寄せるように縦じまの雲が次々に丘の上を通過していった。本来なら星の撮れる空じゃない。それでも久々の観測デッキの居心地は悪くなかった。思わぬ寒さに毛糸のジャケットを羽織ると、季節が中秋から晩秋に移っていくのが肌で判る。時とともに丘の周辺でオス鹿のメスを呼ぶ声がし始めた。

今日用意してきたのは上の写真を写したCANONのコンデジG7Xだけではない。赤外線改造したEOSkiss X6i の実力も試したかった。このカメラは半月ほど前に手に入れたのだが、なかなか星空で試す機会が無かったのだ。それだけに初めは星雲を撮ろうと思ったのだが、狙っている最中に雲が現れてピントを合わす事がままならず断念。望遠鏡での直焦点撮影を諦めて、白鳥座のデネブ付近を望遠レンズで狙う事にした。それでも3分足らずの露出の間に雲が押し寄せる。なんとか写せたのが下の写真だ。これでも画面右側に雲が迫っている。

デネブの辺りを狙ったのには訳が有る。ちょうど2年前、小さいほうのカメラEOSkiss X4でこの辺りを撮っていた。それが下の写真だ。

この時は空に恵まれてシャッターも8分近く開くことが出来た。それに比べると今夜の空は透明度が悪い。雲に阻まれるだけでなく、3分も露出すると画面が白くなってしまう。ただそうした悪条件の中で赤外線新改造と呼ばれるX6i-IRはかなり頑張ってくれた。

これなら透明度の良い冬の空で懸案だった天体を色々撮る事が出来そうだ。
それにしても今夜はっきりしたのは、長い間機材を放置していた為にあちこちが傷んでいたこと。そして何よりも僕自身が体で憶えていたはずの撮影手順をすっかり忘れていた事だ。これではあまりにも悲しい。観測デッキの掃除に加えて、僕自身も含めたメンテナンスが必要だ。

 

 

 

 

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怪しげな夕暮れ

2015年10月04日 11時13分56秒 | 

綺麗な青空が朝から広がっていた。雲もほとんど無かった。こんな日は夜まで晴れるかと言うと、そうは行かない事くらい分かっていた。それでも、今日行かなければもう星を撮ろうという思いが薄らいでしまう。そんな強迫観念にも似た気持ちでカメラバッグを持った。家を出たのは午後4時半。丘に着くと、目の前は確かに青空だが、西の方からゆっくりと薄雲が迫っていた。気象衛星の画像によると大陸から雲の細い触手がこちらに向かって延びようとしている。

観測デッキの蜂の巣騒動はまだ収まっていなかったが、蜂そのものはもう居ない。床に転がっている死骸に注意しながらデッキの南端に辿りついて屋根を開けた。思ったより雲が少ない。しばらく待っているとぼんやりと天の川も見え始めた。

透明度が今一つなだけに左程期待はしていないが、それでも星を撮りに丘に上がったのは7月下旬以来。3か月近くも前の話だ。なんとか星らしいものを撮らなくては。それに今日は新しいカメラも持って来ている。そのテストも兼ねていた。

上の写真はあのコンデジ、CANON G7Xの上に魚眼アタッチメントを載せて撮っている。冗談のようなものだが、それにしても周辺の収差が激しすぎる。暮れまでには何とか本物の円周魚眼を手に入れたいものだ。

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