実は、アンドロメダ星雲の写真は全部で9枚撮って貼り合せるつもりでいた。星雲の周囲の様子まで高精細で写し取りたかったのだ。しかし、自動追尾のコントロールが途中でどうしても言う事を聞かなくなった。何とかだましながら後2枚は撮影したが、そこから先はシステムがコンピューターからの指示を拒否してしまう。長い間放っておいた報い。少し時間が出来たら、赤道儀を外して持って帰ろう。掃除をして油も注そう。ごめんね。
時刻は午後10時だ。空はまだ晴れ渡っていた。これで帰るのは余りにも勿体無い。かぐや姫に目を向けたが、メンテナンスは終わっているものの、簡易経緯台に載っている姫の撮影対象は、昇って来るのにまだまだ時間が有った。明日は休みだし。そうだ、日周運動を撮影しよう。観測デッキからはまだ撮っていない。そうしよう。そう決めて小さいほうのカメラにワイドレンズを付け、三脚に載せた。
何分露出できるかな。今日は空が少し明るい。カメラ感度1600、絞り6.3で10分、絞り9.0で15分露出してみる。
さらにカメラ感度を半分の800に落とし、絞り9.0で20分の露出を始めたとき、南西のほうから薄雲が湧き始めた。雲は10分もするとワイドレンズの写野に左のほうから侵入してくる。そう、一番上の写真だ。時刻は11時前。ショーも終わりかな。夕方の6時過ぎから5時間。ずいぶん楽しませてもらった。ありがとう、秋の星座たち。次はいつ来られるだろう。