1997年以来毎年続いていた岡山県吉備中央町大和公民館の天文教室が今年で最後となった。スタート当時沢山いた吉備中央町の子供の数が減っていったのと経費節減のため、それほど児童数が減っていない大和小学校もあおりを食らって廃校。6.5キロ離れた吉川小学校に統合されて、60人いる子供たちはスクールバスで通うそうだ。
大和小学校の校庭では毎年天文観望会を開いていた。だから今年の天文工作は、その校庭から見た北の星空を作る。厚紙に貼った夜の校舎をカッターで切り抜く作業が今年の工作の山場だ。
それでも工作開始からおよそ1時間半でみんな完成。あと半年で消えるみんなの母校の美しい星空を手元に残すことが出来た。
工作が終わって外が薄暗くなると、いつものように小学校校庭で観望会が始まる。最後となる観望会を惜しむように、昨夜の空は今まで無かったような快晴で、夜が更けるとともに月や星が輝きはじめた。子供たちも少しずつ集まって来る。
あまりにも美しい星空。すぐ南の、一足早く廃校になった大和中学校の校舎の上にさそり座が昇っていた。その尾の先には天の川も見える。体調がすぐれないためカメラを持って来なかった僕だが、最後の星空をなんとか写真に収めたくなった。しかし持っているのはスマホだけ。でもやってみるか。
スマホのカメラをマニュアルに設定し、車の屋根にスマホを押し付ける。露出4秒、絞り1.7、ISO感度3200でシャッターを切った。レンズが小さいために星像はぽってりしているが、さそり座も天の川も何とか捉えることが出来た。
もうきっとここで星空を見る事は無いだろう。本当に見納めの、そして信じられないような美しい星空だった。
さようなら大和小学校。さようなら大和公民館天文教室。いままでありがとう。
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