宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

もう初夏の星座が

2013年02月18日 00時11分20秒 | 

小惑星はおおぐま座の方向に向かいながら少しずつ光度を落としていった。僕は追尾を止めてデッキの星空を堪能することにした。これほど透明度の高い星空は久々だ。先週来た時は赤茶けた靄に覆われていたが、今は空気が透き通っていた。南の空にさそり座が昇っている。その上にはへびつかい座が、長い蛇を手に足を踏ん張っている。夏の天の川もそろそろ身を起こそうとしていた。午前5時半。こんな時刻にみかんの丘に居るのは本当に久しぶりだ。「夜通し起きていると1年の3分の2の星座を眺める事ができます。」そんな子供向けの解説書の一文を思い出した。目を天の川の上流にやると、そこには織り姫も彦星もいる。

穏やかに見えるこの星空に潜む脅威。直径50メートルの星屑など、太陽系には無数に有る。しかもその太陽系が天の川銀河を回っていれば、たくさんのはぐれた塵にも出会う。大きいものは近づいて来るのが見えるが、小さければ観測網にも掛からない。その一つが15日にロシアに落ちた隕石だった。



夜が白々と明けてくる。観測デッキのテーブルの上に置いたレンズキャップに霜が降りていた。寒いのかな。それなりに着込んでいるうえに風が無いのでそれ程にも思わなかったが、きっと冷えているのだろう。このまま日の出を迎えようとも思ったが、睡魔が隣りで笑っている。撮った写真の画像処理もしなくては。明るくなったデッキを片づけて竹取庵の屋根を閉めた。

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宇宙の猛威

2013年02月17日 00時04分31秒 | 

2012da14 これがその小惑星の名前だ。発見当初は地球に衝突するかもしれないと騒がれた事を記憶している。その後の観測で軌道が確定し、かろうじてぶつからない事が分かってちょっと残念な思いをした。ところがその小惑星が再接近する前日に、何の前触れも無く、まったく無関係の隕石が大気圏に突入した。その大きさは直径が17メートルだと言う。この大きさだと対流圏あたりの風圧に耐えかねて爆発するが、それでもロシアの町で1000人もの人が傷つきビルが壊れた。もし壊れずに地表に達していたら、すさまじい衝撃波でどうなっていたか分からない。小惑星が衝突しないと残念がったことを後悔した。

その2012da14の星空での軌道は上の写真の通りだった。しし座のお尻を通って北斗七星に向かうルートだ。小さいカメラにはワイドレンズを付けて三脚に載せ、大きいカメラには純正のズームレンズをつけて赤道儀に載せた。インターバルタイマーを露出30秒、撮影間隔60秒にセットする。
しし座に差し掛かるのが午前5時だと言うのでそこを目印に4時50分辺りから撮影し始めたが、実際には少し早かったようだ。

その画像を重ね合わせたのがこの動画だ。猛烈な速さで地球の傍を通り過ぎてゆくのが分かる。30秒間露出する間に小惑星が動いて短い線を描く。周りの星の位置からその長さを計算してみた。するとしし座あたりでだいたい30秒間に181キロ動いていることになる。秒速6キロだ。公表されたデータに比べてやや遅い。おそらく、最接近を過ぎた小惑星を斜めに見ているためにこの数字になったのだと思う。それにしてもピストルの弾が秒速約440メートル。新幹線が秒速75メートル。これに対して巨大なビルほどの大きさの岩が1秒間に6000メートルから7000メートルというスピードで飛んでいるのだ。桁が全く違う。
もしこの小惑星が地球にぶつかっていたら怪我だけではすまない。いくつかの町が消え去っていただろう。海に落ちれば大津波が沿岸を襲う。宇宙規模の災害は地表の地震の比ではない。改めて人間の小ささを思い知った。

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観測デッキの午前4時

2013年02月16日 07時38分36秒 | 

目覚ましを3時にセットしたものの、寝られたものでは無い。訳有って、どうしても竹取庵の屋根を開けなくてはならなくなったのだ。撮り落としたら恥をかく。きっと曇りだよ、そう言い聞かせて布団に入ったのだが。

昨日夕方からテレビが騒がしくなった。隕石がロシアの街を襲ったと言う。まるでCGのような隕石の光跡が何度もニュースで紹介された。大気圏突入の時の輝きが映し出され、その後割れたビルの窓ガラス、血だらけの人たち。映画のシーンでは無い。現実だ。
その惨事の直後に、今度はもっと大きい小惑星が地球の傍をすり抜ける。それを撮影して欲しいという依頼を受けたのが昨日の午後6時だった。小惑星の大きさは直径45メートル。地球から見た明るさは7等級だ。肉眼では見えない。それが地球からわずか2万7700キロ、静止衛星よりも内側を午前4時から6時までの間にすり抜けると言う。

きっと猛烈な速さだろう。望遠鏡で拡大していては追いつかない。大きいカメラのズームレンズで捉える事にした。

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にじむオリオン

2013年02月11日 00時10分45秒 | 

西の空から雲がやって来るのが見える。状況は悪くなる一方だった。望遠鏡のカメラを大きい方に取り換えてズームレンズを付ける。焦点距離はいっぱいの135ミリ、感度2000、露出40秒。絞りは5.6としてみた。

モニターに現れる画像が一面赤い。おまけに筋状のうす雲が掛かって、オリオン座二番目の輝星リゲルがにじんでいる。赤い靄は地上の明かりを反射しているためだろうか。それとも元々赤い靄なのだろうか。最近は中国からとんでもないものがやって来ていると言う。日本も40年ほど前までは大気汚染で空が茶色く濁っていた。先進国イギリスでは20世紀の初め、煙で太陽が見えないのが誇りだったと言う。
人は歴史から何も学ばない。いや、学ばないのではなく、分かっていても修正が効かないのだと思う。国民を養って行くほうが優先だから。そして気が付くと森が消え湖が枯れ、星が見えなくなっている。そこまで来てやっと舵を切ることにみんなが同意してくれる。それの繰り返し。

そんな事を考えているうちに空は赤い雲でいっぱいになってしまった。体が冷えてくる。もう帰ろう。うまくすれば連休中にもう一度丘に戻れるかもしれない。それに期待して屋根を閉めた。

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待ち受けるが…

2013年02月10日 06時42分44秒 | 

ブロックを並べる作業を止めて観測デッキに上がり、久々に屋根を開ける。思ったより寒い。下ろしていた20センチ反射を赤道儀に載せて動作をチェックするが、光軸が動いていて像がボケる。それを何とか調整してバランスを取り、コンピューターと繋いだ。
さて、雲は少なくなったが果たしてこのまま晴れてくれるのだろうか。不安な思いで待ち受けるデッキの気温がどんどん下がる。しかし風はそれほどでもない。うまくいけば星雲も狙えるかなと期待するうちに星が現れ始めた。ただ、何となくスカッとしない。天の川も有るのか無いのか判然としない。とりあえず小さい方のカメラを望遠鏡の上に取り付けてワイドレンズで大三角あたりを狙ってみた。

 

 

モニターに現れた星空は全体に黄色っぽく、しかも靄っていた。やっぱりそうか。これでは星雲は無理だな。少しがっかりはしたが、ここでこうして星空を見るのは3か月ぶりだ。我慢しなければ空に叱られるかも知れない。ここに居られることそのものが幸せなのだから。

 

 

 

 









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まだら模様の夕暮れ

2013年02月09日 22時02分02秒 | Weblog

久しぶりだった。本当に久しぶりだった。挨拶に行ったらおばさんに、
「あんた病気にでもなったんか思うて今日来られんかったら電話しょう思うとったんよ。」と言われた。いや、病気になどなる暇は無かった。それに、今年92歳になるおばさんに体の心配を掛けるようでは申し訳ない。事情を説明した後しばらく世間話をして竹取庵に入った。

そう、少しは仕事もしなければ。竹取庵は北側に寝室の建て増しをもくろんでいる。そこで、上手からの雨と土砂の流れ込みを食い止める役割りも兼ねた地業をブロックで作る。春までにこれが出来れば、材木を買ってきて上屋を建てられるのだが。今日のみかんの丘は気温がまだ低いものの陽射しはうらうらとしていた。少し霞んでいるが島影もはっきりと分かった。

今夜はどうだろう、天気予報は晴れとはなってはいるが、一般の感覚の晴れと僕らの晴れはまた違う。そう思いながら作業を進めるうちに日が西の丘に沈む。暮れなずむ空はまだらだった。

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長い間放置していたら…

2013年02月05日 19時57分21秒 | Weblog

ある日ブログを開いたらテンプレートが居なくなっていた。
そうか、60日以上アップしないとこうなるんだ。

これって、「見せしめ」

でも悪いのは僕だから何も言えない。ただ、本当に忙しかった。これほど長期にわたって何も出来ない日が続いたのは初めてかも知れない。それでも今月30日にやっと一区切りついて、今は残務処理。もちろん次のしごとは目白押しだけれど。
今週末には丘に上がろう。もうかなり前から僕が僕で無くなっている。

今まで何をしていたか。上の写真に関係がある。これはトルコ中央高原にあるキュルテペという遺跡。4000年前に栄えた古代都市だ。ここから出土した一通のラブレター。それが僕を暇無しにした。手紙の主は「イナ・スエン」どんな人なんだろう。妄想だけが膨らむ。
今週末竹取庵の星空がきっとその妄想を払ってくれる。

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