2004年12月2日 22:27
カリフォルニア州における水鳥と共生した冬期湛水水田取組み紹介
…… 水鳥と農業の共生を励ます ……日本雁を保護する会 呉地正行
水鳥と農業の共生を励ますプログラム(AWIP)(The Agricultural Waterfowl Incentlve program)は、Centtral Valley Project Improvement Act of1992(CVPIA)の事業の-つとして、米国内務省魚類野生生物局及び干拓局の共同事業で、農家が水鳥に生息地を提供するために農地に水を張ること等を支援するものである。
農地の所有者は、この生息地を作るために責やした費用(用水またはポンプでの地下水汲み上げ、必要な施設建設責)の50%までの支払いを受けることができる。
このプログラムは,1997年に始まり、2002年に終了した。
この支援を受けるためには、農地所有者は最近の農地への潅がいの記録、水源への接続方法、その水源への水利権を有すること、カリフォルニア州のセントラル・バレー地区の対象地域内に農地を有すること、最低基準の面積を満たしていること、提供された農地を所有していることが必要である。
多くの穀物を作っている農地がその資格を持つが、水鳥にとって役に立つ炭水化物を多く含んだ麦、米、その他の小粒の穀類が好ましい。特に米はこの事業の要求と目的から最も理想的である。
収穫後に耕地に残された穀物は、北の繁殖地へ渡る水鳥にとって優れた炭水化物源となる。水鳥が最も集中して利用するのは、耕地に水が張られた直後で、それは穀物が最も得やすいからである。その後冬の間に、落ちモミなどの穀類は少なくなり、稲ワラの分解が進むと、その結果生じた腐食性の有機質の「シチュー」が、渡り性水鳥が利用できる食物の高タンパクの要素となる様々な無脊樵動物の住みかとなる。湛水した農地は、優れた水鳥への食物提供源として始まることに加え、ガンやカモの休息環境も提供する。
耕作技術にもよるが、米を収穫すると1エーカー当たり4トン以上のワラと切り株が田んぽに残されるが、その大半は次の春に穀類を植える準備をするまでに取り除かなければならない。稲作農家はワラ焼きの規制が強化されそれに変わる稲ワラ処理の方法を求めてきたにもかかわらず、伝統的にワラ焼きを続けてきた。収穫後のワラが残った水田に水を張る方法はワラ焼きに変わって大量の稲ワラを処理する実現可能な方法である。農家にとって、ワラを分解することが必要であることが、結果として水鳥の生息地を生み出すという付加的な恩恵を生み出し、CVP水供給にとっても恩恵を与えている。
初年度は申請した80軒の農家のうち41軒が採択され、21,503エーカーの水鳥の生息地を創出し、$904,508がCVPIAから支払われた。1軒の農家を除き他の農家は11月初めから2月末まで水を張った。1軒の農場(Hansen Ranch)では、8月から10月にかけ早く渡ってくる水鳥のために晩夏から秋にかけての環境を提供した。ここではアルファルフアの牧草地や小麦畑に8月末に水を入れるが、Black R00t Rot病対策として、10月中旬に水を抜いた。ここでは40,000羽以上の水鳥が3000エーカーの湛水農地を利用したがそのうち30.000羽はオナガガモだった。この付近にはかつてTulare湖という湖があり、多くの水鳥が生息していたが、その後農地化され水路整備もされたため水鳥は姿を消した。かつては一年中水があり何百万羽もの水鳥のオアシスであったところが、いまでは一時的な湿地となった。湖はずっと昔に干拓され、今では農地に変わっている。この地域では90%の自然の湿地が消滅しているので、かつての姿に戻そうという取り組みが行われている。Krn国設保護区(NWR〉では10月中旬にボツリヌス菌により40000羽のうち600羽の水鳥が死亡した。このような病気が起きた場合でも。この事業により現存する湿地を中心とした生活圏の外側に新たな水域をつくることにより、病気を防ぐことができる。
サクラメントバレーの保護区ではマガン、ハクガンは日中は保護区におり、夕方にカモより少し早く周辺の収穫後の湛水水田へ向かう。赤外線スコープや電波発信機を用いることにより、夜間のガン類の湛水水田利用状況を正確に調査することが、部分的にAWIPの資金を得ることにより行うことができた。
米国魚類野生生物局(USFWS)はダックス・アンリミティド(Ducks Unllmlted〉と共同で冬期間2週間ごとに地上と空中から調査を行った。
野生生物保護分野での恩恵、価値そして精紳は、AWIPの成功のまさに中核となる。AWIPは農業と水鳥の共同社会が、農家が日々の作業とともに水鳥の生息地の創造に協力しながら、同じ目的を達成するために協働することができる優れた事業の提供を続ける。
1997/1998越冬期にはサクラメント・バリー(500,000エーカー)の内、5-8%がこの事菓に参加した。20,000エーカー以上の水鳥の生息地が昨年度創出され、今年度は40,000エーカー以上となった。
AWIPによる優先順位が高い恩恵
(1) 自然の湿地の90%が農業や商業開発で消滅してしまったカリフォルニア州で、水鳥の越冬環境を創造する。
(2) 良質の食物資源の提供
(3) 伝染病等の減少(トリコレラ、ボツリヌス菌)
(4) 刈り取り後の稲ワラの分解
(5) ガンカモ以外の鳥にとっても良い生息地
長期的な目標;
農家がこの事業の助けを借りることなく、彼ら自身で水鳥の生息地を創造すること
2つの湛水オプション
秋/冬 湛水:最低80エーカーを渡り性水鳥の生息地として提供する。
春/夏 湛水:最低3エーカーを留鳥性の水鳥の繁殖地として提供する。
以上
カリフォルニア州における水鳥と共生した冬期湛水水田取組み紹介
…… 水鳥と農業の共生を励ます ……日本雁を保護する会 呉地正行
水鳥と農業の共生を励ますプログラム(AWIP)(The Agricultural Waterfowl Incentlve program)は、Centtral Valley Project Improvement Act of1992(CVPIA)の事業の-つとして、米国内務省魚類野生生物局及び干拓局の共同事業で、農家が水鳥に生息地を提供するために農地に水を張ること等を支援するものである。
農地の所有者は、この生息地を作るために責やした費用(用水またはポンプでの地下水汲み上げ、必要な施設建設責)の50%までの支払いを受けることができる。
このプログラムは,1997年に始まり、2002年に終了した。
この支援を受けるためには、農地所有者は最近の農地への潅がいの記録、水源への接続方法、その水源への水利権を有すること、カリフォルニア州のセントラル・バレー地区の対象地域内に農地を有すること、最低基準の面積を満たしていること、提供された農地を所有していることが必要である。
多くの穀物を作っている農地がその資格を持つが、水鳥にとって役に立つ炭水化物を多く含んだ麦、米、その他の小粒の穀類が好ましい。特に米はこの事業の要求と目的から最も理想的である。
収穫後に耕地に残された穀物は、北の繁殖地へ渡る水鳥にとって優れた炭水化物源となる。水鳥が最も集中して利用するのは、耕地に水が張られた直後で、それは穀物が最も得やすいからである。その後冬の間に、落ちモミなどの穀類は少なくなり、稲ワラの分解が進むと、その結果生じた腐食性の有機質の「シチュー」が、渡り性水鳥が利用できる食物の高タンパクの要素となる様々な無脊樵動物の住みかとなる。湛水した農地は、優れた水鳥への食物提供源として始まることに加え、ガンやカモの休息環境も提供する。
耕作技術にもよるが、米を収穫すると1エーカー当たり4トン以上のワラと切り株が田んぽに残されるが、その大半は次の春に穀類を植える準備をするまでに取り除かなければならない。稲作農家はワラ焼きの規制が強化されそれに変わる稲ワラ処理の方法を求めてきたにもかかわらず、伝統的にワラ焼きを続けてきた。収穫後のワラが残った水田に水を張る方法はワラ焼きに変わって大量の稲ワラを処理する実現可能な方法である。農家にとって、ワラを分解することが必要であることが、結果として水鳥の生息地を生み出すという付加的な恩恵を生み出し、CVP水供給にとっても恩恵を与えている。
初年度は申請した80軒の農家のうち41軒が採択され、21,503エーカーの水鳥の生息地を創出し、$904,508がCVPIAから支払われた。1軒の農家を除き他の農家は11月初めから2月末まで水を張った。1軒の農場(Hansen Ranch)では、8月から10月にかけ早く渡ってくる水鳥のために晩夏から秋にかけての環境を提供した。ここではアルファルフアの牧草地や小麦畑に8月末に水を入れるが、Black R00t Rot病対策として、10月中旬に水を抜いた。ここでは40,000羽以上の水鳥が3000エーカーの湛水農地を利用したがそのうち30.000羽はオナガガモだった。この付近にはかつてTulare湖という湖があり、多くの水鳥が生息していたが、その後農地化され水路整備もされたため水鳥は姿を消した。かつては一年中水があり何百万羽もの水鳥のオアシスであったところが、いまでは一時的な湿地となった。湖はずっと昔に干拓され、今では農地に変わっている。この地域では90%の自然の湿地が消滅しているので、かつての姿に戻そうという取り組みが行われている。Krn国設保護区(NWR〉では10月中旬にボツリヌス菌により40000羽のうち600羽の水鳥が死亡した。このような病気が起きた場合でも。この事業により現存する湿地を中心とした生活圏の外側に新たな水域をつくることにより、病気を防ぐことができる。
サクラメントバレーの保護区ではマガン、ハクガンは日中は保護区におり、夕方にカモより少し早く周辺の収穫後の湛水水田へ向かう。赤外線スコープや電波発信機を用いることにより、夜間のガン類の湛水水田利用状況を正確に調査することが、部分的にAWIPの資金を得ることにより行うことができた。
米国魚類野生生物局(USFWS)はダックス・アンリミティド(Ducks Unllmlted〉と共同で冬期間2週間ごとに地上と空中から調査を行った。
野生生物保護分野での恩恵、価値そして精紳は、AWIPの成功のまさに中核となる。AWIPは農業と水鳥の共同社会が、農家が日々の作業とともに水鳥の生息地の創造に協力しながら、同じ目的を達成するために協働することができる優れた事業の提供を続ける。
1997/1998越冬期にはサクラメント・バリー(500,000エーカー)の内、5-8%がこの事菓に参加した。20,000エーカー以上の水鳥の生息地が昨年度創出され、今年度は40,000エーカー以上となった。
AWIPによる優先順位が高い恩恵
(1) 自然の湿地の90%が農業や商業開発で消滅してしまったカリフォルニア州で、水鳥の越冬環境を創造する。
(2) 良質の食物資源の提供
(3) 伝染病等の減少(トリコレラ、ボツリヌス菌)
(4) 刈り取り後の稲ワラの分解
(5) ガンカモ以外の鳥にとっても良い生息地
長期的な目標;
農家がこの事業の助けを借りることなく、彼ら自身で水鳥の生息地を創造すること
2つの湛水オプション
秋/冬 湛水:最低80エーカーを渡り性水鳥の生息地として提供する。
春/夏 湛水:最低3エーカーを留鳥性の水鳥の繁殖地として提供する。
以上
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます