紀伊國屋サザンシアターで上演中の「貧乏物語」です。
井上ひさし作 鵜山仁演出。
大正時代「貧乏物語」というタイトルで、新聞に連載していた
河上肇というマルクス経済学者の評伝劇ですが
ご当人は、登場しない。
彼にゆかりのある6人の女性のお話です。
時代は、昭和9年。
河上肇は、治安維持法違反で拘置中。
その留守宅に、2人の女性が訪ねてくる。
以前、この家で女中奉公をしていた美代と早苗。
さらに、女優志望のクニも加わる。
そこに戻ってきたのが、娘のヨシ(安藤聖)
彼女は、銀行ギャング事件に巻き込まれ、警察で拷問を受け、足を悪くしている。
彼女の世話をしているのが初江。
最後に登場するのが、妻のヒデ(保坂知寿)
肇本人が登場しないどころか、主役の女性までがなかなか登場しない
珍しい舞台。
肝の座っているヒデは、色々問題を抱えている美代たちを
まとめて面倒を見る。
こうして、生活を共にするようになった彼女たちだが
時代の波は、容赦なく6人を襲い•••
国家による弾圧、それに抗う女性たち
井上ひさしさんの筆は、そんな彼女たちの逞しさを
描いてくれました。
ウクライナ問題が、連日報道されるなか、色々考えさせられる作品でした。