知人の女性が子育てについて、次のように語っていた。「大学時代、教育学担当の教授が、子供を社会人にすれば親の役割は終わりです」と言っていたそうである。確かに一般的に、子供が社会人になり、その子供が結婚して子宝に恵まれる。そして、その子供が大人になり、また親になるというのが、人間社会の循環だろう。
22世紀の日本の人口が“少子化”により、今の半分程度になるとの予想である。1人当たりの生産性が大きく変わらなければ、日本のGDPは下がり続け、国力は低下するだろう。世界の先進国では、例を見ない国債残高比率や社会保障費などを考慮すれば、近い将来が心配なのは、私だけではないだろう。
それではどのようにすれば、日本の再生は可能なのだろうか。様々な方策が考えられるが、安心して子育てができる環境づくりに加えて、共生社会の実現や人々の連携だろう。例えば、ボランティア、町内会の加入率、選挙の投票率アップ、様々な会の会員数の増加など、人と人とのつながりの強化である。
かつての日本は、「向こう三軒両隣」といった言葉があったように、何か困ったことがあれば「明日は我が身」として、地域社会で助け合って生きることが当然であった。
こうした社会的なつながりは、戦後の経済発展によって失われてしまったようだが、それは過度の競争社会の進展等によって、自分中心的になったのが原因だろう。
菅義偉首相も言っていたように、自助、共助、公助が大切だと思う。日本は相互の信頼関係を構築していくことで、世界に類のない安心・安全の社会を創り、日本株式会社の名のもとに、世界に向けて日本製品の信頼を産み出してきたのである。御かげで私が使っているテレビ・冷蔵庫・洗濯機は、買ってから15年が経つが一度も故障したことがない。
新型コロナ禍の現在、日本を再生させるためには、地域コミュ二ティの再構築が必要不可欠だろう。しかし、日本は資本主義国であり、個人の自由やプライバシーを重んじており、再生するためには、各自が“火事場のバカ力”を発揮するような相当の自覚が必要である。
グローバル資本主義がこのまま進んでいけば格差拡大などにより、日本はますます貧富の拡大により住みにくい国になっていくだろう。それを踏まえて日本を再生させるためには、まず“塊より始めよ”で、自分、地域、組織の見直しが必要である。
地域には、町内会から市町村、都道府県までいろいろあるが、地方分権による小さな政府が前提になるだろう。これからの時代のキーワードは、「共生社会」、「環境立国」になると思っている。
「十勝の活性化を考える会」会長
注) 隗 より始めよ
隗より始めよとは、「大事業などの遠大な計画は手近なところから行うとよい」という意味の表現、あるいは、「物事に挑戦するに当たっては最初に言い出した者がまずは取り組むべきだ」という意味の表現。中国の史書「戦国策」に由来する故事成語である。
(出典:実用日本語表現辞典 )