営業とは心なり・・・その1
今回は、「営業とは何か?」について、私のつたない営業経験から考え感じたことを書きます。
そもそも「組織」とは何か?
もともと社会においては、一人で出来る仕事は、ごく限られた範囲にしか存在しません。そのために、一人では出来ない仕事を何人かが集まって協力してやろうという考えのもとに生まれたのが、「組織(会社)」です。
即ち、「組織」とは、「共通の目的を達成するために、複数の人間の意識的に調整された行動のシステムである」ということです。
では、「営業」とは何か?
いかなる組織も、外部との関わりをなくしては、その目標を達成することはできません。「営業」とは、「組織が目的を達成するために継続的に行なう諸活動である」と言えます。
社会が大きく変化し、組織の安定的な存続が容易でない現在は、従前にもまして「営業」が重要であり、「営業なくして組織なし」ということを一人一人が想起し、営業とは何かを考える必要があると言えます。
特に、物が溢れお客さま優位の時代にあっては、今まで以上の営業活動が、組織基盤の強化のために不可欠です。では、営業活動をどのようにすべきなのか。もちろん営業活動には金科玉条のものはなく、当然、営業マンによって遣り方(スタイル)は異なります。
然しながら、そこには基本となるもの(スピリッツ)があり、それが「営業の心」です。
お客様は、一人の人間として、物事の損得、善悪、好き嫌い、価値の有無など、様々な判断基準に照らして行動していますので、先ず、そうしたことに敏感になることです。
営業自体は、組織活動ですが、実際の営業行動は「個人と個人との関係」の上に成立するわけですので、無機質な組織であっても、人間性といった「人間の感情」が入り込む余地があり、それが重要ということです。
“松下幸之助氏”が、「商売とは、商品に“人情”をつけて売るものである」と言っているように、人の心、気持ち、感情などを大切にすることによって道は開かれるのです。決して、単ある商品価値だけで勝敗が決まるわけではないのです。
それでは、「営業とは心なり」という場合の心とは何か。
ここでいう「心」とは、人が何かを判断する際の“精神状態のあり様”であり、具体的に言えば、お客の営業マンに対する“気持ち(感情)”です。
では、心の状態としての「気持ち(感情)」とは何か。
心を中心に据えた営業活動は、一言で言えば、「良い感情を形成し、悪い感情を払拭すること」です。
そして、「良い感情」とは、「お客様の会社に対する“親近感・信頼感・安心感・満足感”などが高い水準にあることです。こうした心象形成が、「心の営業活動のゴール」と言えます。
営業とは心なり・・・その2
「営業とは心なり」のことですが、日々の営業活動において、どのようにして「良い感情」を形成するのかは、次のとおりです。
①身なりや言葉使いなどの態度に、注意すること
スカンジナビア航空を再建した若き経営者の“ヤン・カールソン”がその著書『真実の瞬間』で指摘しているように、「最前線の従業員の最初の15秒間の接客態度が、その会社全体の印象を決めてしまう」ことを忘れてはならない。
だから、「清潔な身なり」、「明るい笑顔」で、「誠実且つ自信を持った態度」で接することが重要となります。
②お客様に対して、感謝の気持ちを持つこと
「犬好きは、犬に好かれる」という諺がありますが、先ず、お客様に対して感謝の気持ちを持つことが、必要不可欠となります。
③お客様に対して、心を込めて感謝の気持ちを、さりげなくスマートに伝えること
たとえ自分が誠意を持っているつもりでも、営業活動の視点からいえば、不十分です。「誠意とは、相手に伝わってはじめて誠意になるもの」だからです。
「心」は、相手に伝わらないと意味をなさないのです。
日本人は、「以心伝心」という言葉があるように、自分自身の心を伝えることに無頓着ですが、営業の視点からはそれではダメなのです。
感謝とか誠意・好意・熱意といった気持ちを確実に伝えるために、工夫を凝らして行動することです。また、心を伝えるためには、「ピュア(純粋)」でなければなりません。そうでなければ、逆効果になります。
④自分の望むことを行い、自分の望まないことを行わないこと
自分の心を見つめ直し、自分の望むこと望まないことを明確に意識すること
それには、お客様の気持ちに敏感にならなくてなりません。大事なことは、お客の気持ちの真意を掴みとり、それに「答える」のではなく、「応える」ことです。
最後にひと言
営業活動において心が全てではなく、主要な一部分に過ぎません。商売の三要素である「商品競争力」、「情報」、「人情」のひとつであります。相撲でいえば、体力(商品競争力、情報)だけで横綱になれるのではなく、人格・品格(人情)が伴わなければ、横綱になれないということです。
大切なことは、意義ある人生を生きるために、「涙と汗と血をどれだけ流すか」ということだと思います。
・一日、どれだけ涙を流していますか?
・一月、どれだけ汗を流していますか?
・一年、どれだけ血を流していますか?
「涙を流す」とは、自分自身とお客様の心の微妙な変化に気づくこと、つまり心の琴線に触れ、何事にも感心・感動・感激することです。
「汗を流す」とは、今までと同じことを行なうのではなく、それを超える努力を行ない、相応の成果を上げることです。
「血を流す」とは、ルールを護り自分の生き方を大切にすることです。
一人一人がより良い「涙と汗と血」を流すようになった時、組織は、明るく輝いているハズです。
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