今回、予定変更で農業ネタをUPします。
食品衛生法の改正施行が来週に迫ってきました。
再度整理すると、今回の改正は、食品中に残留する農薬等の成分について、これまでは、規制するものだけを記載するようにしていたのが、今後は、原則一律禁止し、特定の食品中における特定の物質のみ独自の規制値を設ける、というものです。(一律基準は0.01ppmで、その他の基準はこれと同じかこれより大きな値になる・・・はず。確認してませんが)
これまでは、たとえばA農産物で0.1ppmまでの残留と規制されていた物質が、B農産物では規制がなく、何ppm残留していてもOKでした。また、規制値が定められている農薬の種類も多くありませんでした。
それが、今後は、規制値が独自に決められていないものは、一律基準が適用されるため、一気に厳しい制限が課されるようになるのです。
さて、国内の農業者にとっては、農薬の使用について別に「農薬取締法」というものがあり、そちらを遵守して、用量、用法を守った農薬使用をしていれば、別に今回の食品衛生法の改正は怖くありません。(たとえば、ある作物に適用のない農薬をうっかり使ってしまった、というのは、成分検査の結果、食品衛生法ではねられる前に、農薬取締法でアウトになります)ですが、問題なのは、隣接する農地で、違う作物を栽培していて、隣の作物に農薬が飛散してしまった場合です。通称「ドリフト問題」と言われています。現場では、これの対策が急がれています。
というわけで、長々と書きましたが、農業者側では、モノスゴク大きな問題ではありません。これまでどおりきちんとやっていれば、まあよい、ということになります。
さて、消費者側ではどのように思っているのか・・・と探していたら、見つけたのがこのブログ→
「はたともこ」日記 あれ、gooだ。
この方、薬剤師で民主党員(前回衆院選次点)とのことだが、いやはや、薬剤師さんとは思えない主張です。
要するに、農薬は少量でも危ないのだ、と言いたいようですが、とりあえずここにツッコミます。(以下引用)
指定外の農薬に適用される0.01ppmという濃度は、水深1m・幅12m・長さ25mのプールに、塩ひとつまみ(3g)を溶かした程度の濃度だ。僅かなようだが、これで害虫は死滅するのだ。農薬は、体内に蓄積して、人体に様々な悪影響を及ぼす。ポジティブリストの導入は、これまでのザルに近かった規制の相当の強化に違いないが、安心・安全の保障では決してない(引用ここまで)
あの、0.01ppmっていうのは、この濃度でも薬効があるから規制する、っていうふうに決まっているモノじゃないんですけど。ふつうに食べる分には、このくらいの濃度ならヒトに健康被害がないだろうという基準であって、それも相当安全側に振って決められているはずです。(一律基準でないものが0.01ppmより緩やかなのは、実験データ等が整っているから、そのように決められています)そもそも、どのくらいの濃度で薬効があるかってのは、薬剤によって違うでしょうが。「農薬は、体内に蓄積して、人体に様々な悪影響を及ぼす」ってのも、大雑把すぎやしませんか。
あと、これはイクナイ!(以下引用)
農家が最も恐れているのは、「ドリフト被害」と呼ばれる飛散による被害だ。近隣の田畑で使用する農薬が、不幸にも飛び散ってくるケースだ。風向きの関係というよりも、その場合、農薬を散布した農家の杜撰な散布方法に問題があることは明らかだ。加害者である農家は、まさに「生産者は絶対に食べない」出荷専用の農作物を生産しているとみなすべきなのではないか(引用ここまで)
加害者呼ばわりとは、ずいぶん、農家に厳しいですねぇ。大体この場合、加害ー被害関係はドリフトさせた農家とされた農家のことでしょうが、食えなくなるのは被害農家の農産物で、加害農家のそれではないでしょう。なのに、「加害農家は生産者は食べない農産物を出荷してる」のかい?どうしてそういう文章になるの?何より、ドリフトが起こったとして、その原因が「風向きより農家の杜撰さ」だと断言出来る根拠は何なのじゃ。
と思ったら、別の日には
こんなことも書いてます。
ざっくり要約すれば、「直売所に出ている農産物は地域の小規模農家からの出荷が大半だが、こういった農家では、ポジティブリスト制の負担が(過剰に)大きくなる」と。
いや、それはあなたのようなヒトが思い込みと誤った知識をもとに大騒ぎするからでしょうが。おたく、農家を叩きたいの?擁護したいの?どっちなのよ。
で、結論は「無農薬・無化学肥料栽培にシフトせよ。それで問題解決」だそうです。
ところで、無農薬栽培では効率が落ちます。小規模農家は人手も少ないし、作付けも減る、実りも減るでは、続けていけませんが何か?離農しろ、と?
こういうこというヒトは、果物なんかは、農薬使わないと収穫が激減するっていうの、知らないんでしょうね。モモなんか食えなくなりますな。(このヒト岡山のヒトだよね)しかも、果樹消毒に使われるスピードスプレーヤなんかは、ドリフト防止が難しい。つまりあれか、もう国内では果物作るなと。岡山は名産のモモを作りませんと。
民主党さんも、もう少し人材の審査をしっかりした方がいいんでないかなぁ。主義主張の根拠となる事実認識が間違っていたら、選挙演説も説得力皆無でしょうに。
とりあえず、
グレガリナさんのHPを熟読することをおすすめしますです。
(アレルギーとかの問題については、別に思うところがあるので、また後日)