昼行灯(だった)トキの大雑把なひとりごと

クレヨンしんちゃんよりもユルく生きていた(当面過去系)私の備忘録と、大雑把なひとりごと。時々細かく語ることも。

中西裁判個人的備忘録/被告尋問直前対策

2006-11-20 23:48:15 | 裁判
タイトルは適当ですので,内容と一致しないからといって怒らないで下さい。 

 個人的にずーっと疑問なのが,原告は本訴訟での名誉毀損事実をどのような法的根拠で主張しているのか,ということ。
 ここまでの展開で,ある程度は明らかになったものの,まだ不明瞭なところがある。
 そこで,私なりに考えるとこうしかない!というあたりをメモしておこうと思った次第。

 まず,名誉毀損の構成要件ですが,民事の名誉毀損で準用されるのは刑法第230条です。

(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

(公共の利害に同する場合の特例)
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。


 そして判例では以下の通り。被告準備書面(1)から引用します。

 ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、右意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには、人身攻撃に及ぶ意見など意見ないし論評の域を逸脱したものでない限り、右行為は違法性を欠くものである(最高裁第3小法廷9年9月9日集51. 8. 3804)


 つまり,形式的要件としては
a.公然性
b.事実摘示
(b'として「意見の表明」である場合は該当しない。ただし,それが実質上事実摘示である場合を除く)
の二つが必要であり,その例外として
c.公共の利害に関係し公益を図る目的でなされた場合かつ,
d.意見・論評の前提事実が重要な部分について真実である場合で,人格攻撃等の度が過ぎたものでない場合
ということになります。
 そして,このほかに,
e.前提事実が真実ではなかったが,真実であると認めるにつきやむを得ない事由があった場合
というのもあります。

 以上を前提にして,今回の訴訟を検討してみます。

 a,bは当然成り立つものとして,問題はc~eです。原告の主張は,これらに「該当しない」とならなければいけない。
 それで,まずはdからですが,原告の主張は,「意見・論評の重要部分が真実でない」というものです。
(被告の反論は当然この逆で「意見・論評の重要部分は真実であるか,又は重要でない部分に限り真実でない場合がある」です)
 原告が挙げる「真実でない」箇所は,以下のとおり。(記憶で書いているので間違いもあるかもしれません)
1「つぎはナノです」と言った(証拠から判明した真実は「次のチャレンジは,ナノ粒子だと思っています」であった)
2「要するに環境ホルモンは終わった、今度はナノ粒子の有害性を問題にしようという意味である。」という意味のことを言った。
(上記のうち特に名誉毀損に繋がったのは下線部との主張)
3 原論文を(よく)読まないで紹介した
4 新聞報道を鵜呑みにして検証せずに紹介した
5 原告の肩書きを「京都大学工学系研究科教授」とした(正しくは「京都大学地球環境学大学院地球環境学堂教授」)
 他にもあったかもしれませんが、私が覚えているのはこんなところです。
 ここまでがdで,これに基づく原告の論理構成としては,
1)上記の「真実でない事実摘示」があった(ここでいう「事実」とは,真偽を問わないたんなる「出来事」という程度の意味)
2)上記のいずれも重要な部分であり,すべて名誉毀損に直接つながる表現である
3)被告は上記のいずれについても誤解するにやむを得ないと認められる状況ではない(eの部分)
4)したがって,違法性阻却事由を欠くから名誉毀損に当たる

 そして,dが成立しないという主張の故でしょうが,cについては明示されていません。その代わり,dの関係で
5)被告の言説は人格攻撃に当たる
 と主張します。
 もっとも,被告の当該記事には,「ここの部分が人格攻撃だ」という明確な記述は,一見すると見当たりません。(原告は「肩書きの違い」をそうだと思っているフシがありますが,それは措いといて)
 そこで,原告と被告の環境ホルモン問題に対するスタンスが対立しているという「背景」を持ち出したうえで,b'を援用し,
6)背景を考慮すれば,意見表明に見える部分も事実摘示だ
と主張し,さらに,
7)そういった「真実でない事実摘示」全体が,極度の不注意で,あるいはひょっとすると故意になされたものであり,対立する立場の人間をおとしめる意図である
 といった主張になっています。
 さて,上記1)~7)のうち,構成要件として重要なのは1)~4)です。ただし,原告の戦術としては,「主張の一部だけでも認めさせる」ことを目指しますから,第二,第三の防衛ライン(というのもヘンですが)として,5)~7)の「人格攻撃に該当」を入れている,と考えられます。
 あるいは,「人格攻撃を受けた」という原告の被害感情を,こういった形で婉曲的に表現した,ということかもしれません。

 さて,ここで原告の主張に対する意見を述べてもいいのですが,まあ時期も外れているのでやめておきます。
 ただ,少なくとも「真実でない事実摘示」であることを主張するために原告が準備した当日のプレゼンを説明する資料が,録音テープ反訳と比較すると,明らかに当日のプレゼンに含まれると考えられない内容がある,ということは指摘しておきたいと思います。
 これについては,原告証人尋問まで終わった段階でも,原告は厳として「当日のプレゼンは説明資料の通りであった」として譲りません。
 その理由として,
・専門家向けに発表しており,専門家は背景知識を持って聞くからこういう内容であることは分かる。
・被告は「環境ホルモンの専門家」ではないが,研究者として関心があり背景知識も十分である上,原告のことは研究内容も含め旧知であるから,やはり内容は説明資料の通りと分かるはず。(本当はこうは言っていないのだが,たぶんそう言いたいのだと推測する)
・聴衆も優良入場者でありおおむね専門家と推測できる。
等を挙げています(私にはそう読めます)。これをどう考えるか,というところ。
 
 ところで,12月1日には被告の本人尋問ですが,原告からの反対尋問は何を問うつもりなのでしょう。
 本訴訟は,シンポジウムの場で起こった事実と,雑感の記述が事実内容のすべてですから,それは証拠から十分に明らかであり,争う点があるようには思えません。とすると,原告としては,被告の「意図」を問うしかないのではないか,と考えます。すなわち「被告はこう書いていますが,こういう事実があったことを知っていますか。或いはこのときにこういった話をしたことを覚えていますか。では,そうであるにもかかわらずこのように書いたのはなぜですか」といったことです。
(あるいは,心象形成のために「反省しているか」「謝罪の気持ちがあるか」等を質問するかもしれません。もっともこれは,被告の返事がYESでもNOでも使える質問ですから,意味があるとは思えませんが。)

 それとも,また「予想外」となるのでしょうか。

遅れて政治ニ題/言葉が出ない(呆)

2006-11-15 00:04:49 | ものおもい
まずは朝日新聞の11月10日の記事。ウェブサイトで検索したけど出てこないからタイプ打ちで引用します。

減税財源か、国債抑制か 税収増分、綱引き

 国の07年度税収が50兆円台を回復する見通しになり、配分をめぐる攻防が激しくなりそうだ。(中略)
 07年度税収見込は、景気回復に伴う法人税などの増収と、所得税の定率減税の廃止で06年当初比5兆~5.5兆円程度増える見込み。(中略)


 ほほう。で?

 成長重視の安倍首相の意向で、財務相、経済財政相、政府税制調査会長ら税財政関連の主要ポストは「企業減税派」が独占。それを追い風に「(増えた税収から)取れるだけ取る」(経団連幹部)と強気の構えだ。


 また経団連ですか(゜Д゜)

 これに対し、財務省は「景気が悪いときに財政出動した。景気回復の果実は財政再建に回すのが当然」(幹部)として、新規国債発行額の縮減に回すべきだと主張する。増えた税収から、国債の元利払い費の増加分などを差し引いた額を、仮にすべて財政再建に回すと、06年度当初で約30兆円の新規国債は25兆円程度まで減らせる。

 私は、景気回復による税収増を狙うのには賛成ですが、いずれにせよ拙速ではいけない、と思います。
 で、財務省の主張はよく分かりますが、やはり景気拡大局面を維持するための「投資」だって必要になる。
 では企業減税でいいのか?というと、これには反対。なぜなら、いまの企業は増収増益を働き手に還元しないから。企業や投資家にのみ富が蓄積するのは、国全体の経済力回復にならないことは明らかです。なので、

 税収増を財源に企業減税を行うと、所得税の定率減税全廃で個人から吸い上げた約1兆円を、好業績が続く企業に回すことになる。(後略)

 ここに激しく反対。事ここに至って、税制により個人→企業への所得移転なんてする必要がないでしょう。だから、少なくとも企業減税規模は4兆円を超えてはならない。
 この件に関する私の意見は、「正規雇用を進め、労働環境の改善を行う」企業に限り減税する、というもの。「クビにする」ことを盾にとったいまの企業の人件費抑制策は明らかに行き過ぎ。そもそも、かつて苛烈なリストラに耐えた社員は、「業績が回復してくれればまた・・・」との思いがあったはずで、企業はそういった人への忘恩をすべきではない、と強く思います。
 社会全体が「節度を失っている」ような気がしてなりません。バブルの頃からですかね、こういうの。収奪的農法っていうか、あとのことなんて全然考えていない感じで。古来、山の幸も海の幸も「取り過ぎない」という知恵があったと思うのですが。
 ま、「アメリカ型」ってことなんでしょうけど。良くないですよ。刹那的。環境問題みたいな「持続可能性」とかには、ホントあの国(現政権)は興味ないみたいだしね。経済も同じって事でしょう。そもそも、「世界の終わりには死者が復活し、神による最後の審判を受ける」と思っているヒトたちだからなぁ。「世界が終わっていい。その時には、敬虔なキリスト教徒の私だけは天国に行ける。他は知らん」とか本気でで考えてそうだ。そういう国の「そういう側面」に敢えてついて行く必要ってあるのかね?


 つぎは産経Webから。消える可能性があるので全文引用。

自民 公務員にスト権 参院選へ3重点策 リストラ強化も
 自民党は9日、来年夏の参院選に向けて「公務員制度改革」「社会保険庁の解体」「教育再生」の3項目を重点公約に据える方針を決めた。公務員制度改革では、公務員に争議権など労働基本権を付与することを盛り込む。一方では、民間並みの合理化や天下り規制の強化を進める方針で、参院選をにらみ、官公労組に支援を仰ぐ民主党との対立軸を鮮明にする狙いがある。

 ウェブ記事では省略されていますが、紙面ではより詳細な記述があります。以下は抜粋。

 (前略)自民党は(引用者注:公務員への)労働基本権の付与を認める代わりに、行政組織の徹底したスリム化を行い歳出削減を進める考え。中川秀直幹事長と舛添要一参院政審会長が9日、都内で会談し方針を確認した。(中略)
 一方、社会保険庁改革では、職員の身分を民間人とする非公務員型組織に改めることを打ち出す方向だ。社保庁の地方採用者などが傘下に入る自治労から支援を受ける民主党を牽制する狙いがある。教育再生でも、教育現場で改革に反対姿勢をとる日教組と民主党との関係をあぶりだす戦略だ。

 (下線引用者)

 要するに、対民主党という政党間の争いのために改革を名目にするってことかいな。それは本末転倒ではないか。
 公務員の人件費については、バブル期は「低賃金労働者」と蔑みの対象、バブル崩壊後は大幅下落はしなかったことから怨嗟の対象で、極論好きな私からすれば、以前にも書いたように「公務員なんてタダで働け」と、常に言われているという感じがしています。そして、繰り返される不祥事から、公務員不信による厳しい見方もある程度やむをえないとは思います。
 しかし、それを政争の具にするというのは違うでしょう。それでは、感情的対立を煽るだけのプロパガンダ、「世論操作」です。
 例えば社保庁改革について。確かに、側聞する限りにおいて、社保庁は組合活動の激しい組織でしたが、そのことが不祥事に繋がったのかどうかというと、直接の因果関係はどうか?と感じます(組合との合意事項について批判があったことは事実ですが)。また、年金行政の破綻については、労組がどうというレベルではなく、当時のトップが「現役世代還元」を名目に進めてきたツケが出たものと認識しています。
 であれば、社保庁の解体=組合叩き、とするのは、少なくとも年金行政については筋違いでしょう。政策と理由はちゃんと対応していないとおかしい。それをしないのは、つまりこの「対立軸の演出」が「感情に訴える」作戦であると思われても仕方がない。

 タウンミーティングの「やらせ」の件といい、どうも現自民党政権は「とにかく人気が取れればいい」としか思ってないのではないか。そのために「世論操作してもかまわない」と。こういう体質が如実に出ているような記事です。
 民主党でも、社民党でもいいですけど、支援組織がどうとかいうパワー・ポリティクスに捉われない、「理詰めの」対案を、野党には期待したいです。(頼りないんですけどね・・・)

けっこう問題になってるのね。

2006-11-12 03:55:57 | ものおもい
 みっつ前の記事にトラバを頂いたので、覗いてきました。ホワイトカラー・イグゼンプションっていうのね、この制度。
 で、結構多くの方が問題視されているようです。検討過程では、すでに改善案も出ているようで、何やら週休2日を義務づけるとか、医師の診断をさせるとか。いや、小細工する位なら導入しなくていいから。
 まあそれはそれとして、「駄目人間夢日記」さんの記事でちょっと気になった、というか気付いたことが。
 
>まぁお役所様は知らないと思いますが、どこもサービス残業は当たり前にやってますよ 

 お役所様、というか、厚生労働省本省の職員(国1)はたぶん、「サービス残業を当たり前に」やってると思う。国の本省はおそらくどこでも同じ。私の知る限り、国会中はもちろん、そうでない時も深夜残業当たり前。当然残業代満額支給なんてされてないし。
(もっとも、その残業時間中の仕事の「質」は知らない。たぶん効率は低下しているだろうと思う。昼間と同じテンションでずっとはやれないだろうから)
 つまり役所(厚労省)は、民間の実態を知っているかどうかは別に、自分らの労働実態のことでもあるから「サビ残がどこでもある」こと自体は身に沁みて分かっていると思われる。
 で、思ったのは、ひょっとして厚労省は、自らの職場が上記のような実態だからこそ、この制度を入れようとしているのか?ということ。そうして、自分達よりは労働単価の高い民間企業の労働者を「自分達並み」にしようと・・・?いやいや、さすがに妄想が過ぎたようで。
 
 

はらたいらさんの死を悼んで

2006-11-12 02:12:15 | Weblog
はらたいらさんが死去 漫画家、テレビでも人気

 リンク先(エキサイトニュース)では、ニュースを引用したブログ記事が表示されます。
 そこで多く見られる意見が、「昭和、あるいは80年代が遠くなった」というもの。
 一昨年はいかりや長介さんが亡くなっており、土曜7時~9時をTBSを見ながら過ごした世代としては、寂しさもひとしおといった感があります。
 思春期以降って、遠い感じがしないんですよね。特に高校入学以降は、手を伸ばせば届きそうな感じ。でも、数えてみればもう20年も昔のことです。高校生当時の私にしてみれば、20年前は1960年代で、音楽はGSの時代。テレビは下手すりゃ白黒放送です。はらたいらさんやクイズダービーは、今の高校生にとってはそういう感じなのだ、と思うと愕然とします。

人件費抑制の問題点。

2006-11-11 01:07:51 | ものおもい
 前回の続き。
 思いつくままに列挙すると以下のようになりますた。
・購買力の低下→消費低迷
 可処分所得が下がれば、国内消費者の購買力は当然下がります。企業業績が回復してきたとはいえ、こうなってしまっては、「失われた10年」におけるデフレスパイラルの状況と余り変わらないのではないか。これまでは将来への危機感から消費を手控える行動に出る人が多くてそうなっていたのが、今は変わってきた。しかし、増税と労働単価低減が加速すれば、「買い控え」じゃなくて本当に「買えない」人が増える。そうなったらもうどうしようもないのではないか。
 もっぱら輸出により稼いでいる企業と、国内向けに商売をしている企業とどちらが多いのか?という問題はある(いやだから調べろよ自分)が、少なくとも後者にとっては「消費低迷」は大打撃のはず。以前に紹介したフォードの戦略の逆になる。企業は自分で自分の首を絞めているのでは?(金融市場で資金調達さえ出来ればいいのか?本当にそれでいいのか?)
・労働意欲の低下
 もう既になっていますが、「働けど働けど・・・」では、稼ぐ気はしなくなりますわね。心身の故障もずっと増えるでしょう。こういうのも社会的コストを上げる(具体的には医療コストを)と思うのだが、医療費抑制とこれの関係はどう考えているのだろうか?
・自給的生活の限界
 まあ、とりあえず喰って行ければいいというレベルであれば、働き口がないまでも自給自足でやるか、とならざるを得ない訳です(そんな国が近代国家の体を為していられるとは思えませんが(税収とかさ)、それは置いといて)。「銭金」みたいな話ですけどね。私は昔こういうのにあこがれていたことがある(よこしまな動機で)のだが、日本は国土が限られているから、今の人口を自給的農漁業だけで支えるのは難しい。であれば、それなりの産業(具体には高度技術利用の第二次、及び第三次産業)で食っていくしかないわけで、それでカネがちゃんと回るようにしてないといかんでしょう。
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 ふた昔前位のステレオタイプな日本人像に「出っ歯、細目、首からカメラ、メガネ」っつーのがありましたが、いまの企業の近視眼っぷりを見るに付け、「自虐コスプレかよ!」とツッコみたくなります。こんなにも個人の所得を下げて下げて、この国は何をしようとしているのか?
 あるいはあれか、知らぬ間に「199X年」が過ぎていて(いや過ぎたことは確かだが、)本当は「核の炎につつまれた!」後に来る筈の社会が、いつの間にか来てたってことか。弱肉強食でやだなぁ、あんな人やこんな人がみんな『北斗の拳』のザコキャラに見えるよ。(当然、オラはそいつらに怯える側ですがな)
 「まとめる」とか言いながら単なる思いつきと言いっぱなしだな・・・まあいいや、「大雑把」だし。

企業性悪説(我流)

2006-11-11 00:56:38 | ものおもい
 というものがある(と思うんだけど、あるよね?)。企業は自己の私的利益のために力のない個人を食い物にするというアレである。たとえば問題を認識しつつ、対策にかかるコストを惜しんで公害を垂れ流す。自らの企業活動の規制又は禁止につながる事実は隠蔽する。粗悪品を不当に高い値段で販売する。建設業の談合なんていうのも広い意味ではこれに当たるかもしれない。結果、弱い立場の者は犠牲にされる。こういう見方は、環境ホルモン問題に関心の高い層にはいまだに根強いと思う。が、私がいいたいのはソレではない。そう、労働者低賃金の問題。

 新小児科医さんのブログ経由で知った記事がこちら→毎日インタラクティブ 自律的労働時間制:残業代11兆6千億円不払いも

 「労働運動総合研究所」(代表理事・牧野富夫日大教授)は8日、厚生労働省が導入を検討している「自律的労働時間制度(日本版ホワイトカラー・イグゼンプション)」が導入されれば、約11兆6000億円の残業代が支払われなくなる可能性があるとする推計を発表した。
 同制度は、管理職手前の労働者を対象に、年収や休日確保などを条件に、労働基準法の週40時間の労働時間規制を除外するもの。労働者の判断で労働時間を管理する制度で残業代は支払われない。厚労省は来年の通常国会に労基法改正案を提出する方向で検討している。
 推計は、条件となる年収を、導入を強く推奨してきた日本経団連が提案していた400万円以上のホワイトカラー労働者で計算した。厚労省や総務省の労働データをもとにした計算では、管理・監督職をのぞいた対象者は約1013万人。これらの労働者の年収総額からボーナスを除き、残業時間の割合などから残業代と不払い残業代分を推計した結果、約11兆6000億円(残業代約4・5兆円、不払い残業代約7兆円)とした。厚労省の試案は、対象者の年収を1000万円以上と想定しているため、これより低額になるとみられる。同研究所は「残業代を横取りし、長時間労働で過労死など健康被害を招く制度であり、到底容認できない」と話している。【東海林智】
  毎日新聞 2006年11月8日 18時45分
  (アンダーラインは引用者)

 ええ加減にせえよ経団連と厚労省!

 はあはあ、ガラにもなく怒ってしまった。

 えーと、記事を見ると、厚生省案は年収1000万円以上で、管理職でない(オラの会社では管理職は残業代出ないけど、どこも一緒なのかな?まあそうなんだろう)層の残業代を合法的に減らせる(払わなくてよい)ようにする案のようです。要するに、こういった層の労働単価は高いため、残業代も必然的に高くなる。ここを不払いでいいよ、とすれば、人件費が激しく浮いてウマーということなのでしょう。
 年収400万だと、旧来の大手・中堅企業の正社員なら30代以上なら当てはまるのではないか、となんとなく思います(現在の実態は不明)。バブル期であれば大手の大卒初任給って30万くらいだった記憶があるけど、今はどうなんでしょう?
 パート・派遣の方々と正社員との格差が語られていますが、経団連のような所が考えるのは結局、条件が悪いほうに足並みをそろえようということらしい。

 ホンマええ加減にせえよ経団連!(゜Д゜)

 ぜえぜえ、すみません、取り乱してしまいました。

 結局、労働条件なんていうのは経営者にイニシアチブを握られてしまっているから、こんな風に「法的に保護しないと」となれば、どんどん悪くなるだけだと思うのだが。(「人件費抑制」で足並みを揃えている現状からして、労働力供給不足で単価が上がるってのは考えづらい。労働集約型の産業は少なくなっているし、多くは高付加価値産業ではない、と思う。なんとなく)
 この、「人件費はゼロにすべきコスト」って考え、何とかならんのかね。正気とは思えない。
 ここらで少し、人件費抑制の問題点を整理しようかな。それは次回。