<川は流れる>

Reiの好きなこと、ここだけの話

「善き人のためのソナタ」ネタバレあり

2011年02月26日 |  映画
ときは1984年の東ベルリン。

国家保安省の大尉ヴィースラーは忠実な社会主義の権化だった。
芸術家ドライマンの監視を命じられ、24時間の盗聴と監視を開始した。

盗聴を続けていくうちに、ヴィースラーには自分のかすかな変化が感じられるようになった。
そしてそれが決定的になったのは
ドライマンが弾いたベートーベンの「情熱のソナタ」だった。
ドライマンが恋人に言う。
「この曲を深く聞く人は悪人にはなれない」

ヴィースラーは激しく心が揺すぶられる。
自分のしていることはなんだろう。
愛する芸術の未来をことごとくつぶしているこの仕事はなんだろう。
そういう疑問が心に湧いてきたに違いない。

そしてやがてドライマンが西側に発表しようとしている記事の件で
仲間と相談していることを知る。

ヴィースラーはやってはいけないことをした。
それを隠蔽したのだ。
虚偽の報告書を書き、国家保安省を欺いた。

それが自分の身の破滅になることは明らかだった。

・・・・・・・・・

1989年ベルリンの壁が崩壊し、社会主義国家は終わりを告げ、
言論の自由とともにドライマンは一冊の本を書く。
「善き人のためのソナタ」
ヴィースラーに捧げる一冊の本を・・。

・・・・・・・・・・・・・


なんとも感動的な佳作でした。
ジュリーが以前に「良かった」とインタビューで言っていたので、
どうにかして見たいと思っていたのですが、田舎で上映もなく
今になってしまいました。

当時の東ドイツにもヴィースラー大尉のような人がたくさんいたに違いありません。
民衆となんら変わりのない心を持った人たちが・・。


コメント (2)
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