美しい笑顔

大切に想っている先輩がいる。
彼女は６０を越したばかりだが、８年ほど前乳がんになった。
すぐに切除し、元気にリハビリし、退院した。

その前向きさはみんなが＠＠）驚くほど。
入院中もにこにこしてみんなを楽しませ、
切っちゃったんだから安心よ、とみんなをなごませた。

すごいなー、って内心舌を巻いていた。
自分が同じ目にあったらこんな笑顔ができるだろうか、と。

そして５年が過ぎた。

医者からもう大丈夫ですよ！と言われ
喜びのメールを送ってきて共に喜んだ。

それが、その直後再発。

本当に束の間の喜びだった。

その時、すでに転移していて、そこからつらい治療が始まったのだ。

どんどん衰弱していく彼女。
ついに放射線治療に肺がつぶれた。
上半分は死んだと言う。
そしてその影響と、あらゆる所に飛んだ癌で片手が使えなくなった。
自力で腕を持ち上げることができない。
腕を吊る毎日が始まった。

人の助けがいるということだ・・。

それでも彼女は前向きで、
泣き言を言わない。
そんなに強くなくてもいいのに、と思うのに
会えば微笑み、笑ってしゃべる。
こんなになっちゃったー、と言う。

髪も抜け、しばらくかつらをかぶっていたりしたが
そういう姿を人に隠そうとしなかった。

何度ももう駄目かな、と思ったことがある。
げっそりと痩せて、いつまで生きられる？
私たちにはもうそれしかなかった。

彼女はいついなくなってしまうんだ？！
それが怖くて仕方ない。
治療も終わった。
もうしない、ということだ。

それでもいつもいつも彼女はあたたかい。
そして幸せの微笑みをくれる。

何故、急にこんなことを書くかと言うと、
今朝夢を見たからだ。

いつもの極上の笑みをうかべながら
「秋までかな～・・・」とぽつんと言った。

その瞬間の笑顔が私の脳裏に張り付いて離れない。