私には憧れがある。
オホーツク海に帰りたい、という憧れ。
北国の、灰色に光る海に帰りたい。
こんな想いはいつから抱くようになったのか、まったく覚えていないのだが、
北海道へ旅行したとき、どうしてもオホーツク海を見たくて、網走から知床半島を走った。
私は明るくPOPなものが好きだ。
絵も、暗い絵は好きではない。
沈んだ文章だって好きではない。
マイナーなことばかり考える人も好きではない。
こんな素敵な世の中に生きていて、なんの不足があるかと思う。
だけど、私の憧れは南の島でもなく、太平洋でもなく、
暗く希望がないように見えるオホーツク海なのだ。
たぶん、私はそこから生まれてきたのだ。
川を見ても、海を見ても、同じことを感じる。
水から生まれてきたことを。
そして、同じ水でも私の心を捉えて離さないオホーツクの魅力。
それを説明してくれる人はいるだろうか。
私はそれは自分では説明できないのだ。
ただオホーツク海を眺めていると、すべての出来事が無に還っていくような気がする。
神がいるのかな。
海の神が呼んでいるのか。
果たして、もう二度と見られない海かと思うと、よけい憧れが強くなる。
私が死んだら誰か連れていってくれるかな。
これは決して悲観して言ってるわけではない、本当に憧れの海へ還っていきたいと思っているのだ。
希望の生まれる海へ還っていきたいと思っているのだ。