T☆ROCKSのライブの録音音源は評判がいい。
ま、オンマイクが主だし、EQ、コンプで整えているので、オフマイクよりは
綺麗に録れるよね。
でもこれだけならどこのライブハウスでも大体同じなはず。
特別って言ってもらえるのは主に、「各楽器、Voのバランスがいい」と
言うことらしい。
これね、自分も以前、色んなライブハウスに出演していたときに、必ず
録音は頼むんだけど、バランスがいい場合もあれば、そうでないときもある。
また、バンドによっても違ったりする。
色々鑑みた結果、そして、この仕事をやるにあたって理由がよくわかった。
ま、みんなも薄々気づいているんじゃないかと思うけど、つまりはこう言うことなんだ。
まずその前に、ライブハウスレベルでのライブ録音と言うのは、ライブレコーディングと
言うより、”その日の記録”程度に考えないといけない。
販売するプロのライブ盤とは少し意味合いが違う。
ミキサー卓も、一台で、外音も中音も録音する信号も全てそこで補っているし、何より
マルチで録ってはいない。一発録音だ。あとでバランスを変える事は出来ない。
なので、ライブ時は当然、”外音”を最優先にミキサー卓でフェーダー処理が行われる。
そして、なぜかライブハウスで録音されたライブ音源は、”ギターが奥に引っ込んでいて、
ボーカルばかり大きく、バスドラもやけに目だっている、またキーボードもやたらデカイ・・・”
みたいな各楽器のバランスになっていたりする。
どうしてかと言うと、前途したように”外音を優先に音量のレベル処理がされるから”。
ロックバンドにありがちなバランスとして、まずギターはアンプからの音がとても大きい。
卓で音量を上げなくてもアンプからの出音でお客さんの耳に聞こえる場合もよくある。
それに対して、ボーカルはアンプと言うものがないし、爆音ギターに比べれば、人間の
声なんて小さく聞こえてしまう。
そしてキーボード類もキーボードアンプが無い場合は、ステージ上に再生する装置が
ないわけだから、100%PAに頼らざるを得なくなる。
このような事柄から当然、”小さい音量のものは卓でフェーダーを上げて、他の楽器に
負けないようにしなければいけない”。
また昨今の低域ブームでバスドラもやたらと強調されて外音に加える場合も多い。
このような事柄から、ミキサー卓でフェーダーをこれでもかっ!と上げなくては、外音に
追いつかない場合が多く、その結果、ギターなどステージ上に増幅装置がある場合は
それほどフェーダーを上げなくても良くなり、音量がそれほどでもない楽器や声は、
フェーダーを目一杯上げないと外音のバランスが取れなくなってしまう。
そして、”このフェーダー位置のまま”録音されるから、帰ってから録音されたものを聞くと、
ステージ上で聞いていたバランスとかけ離れたバランスで録音されているってわけ。
T☆ROCKSではそれを回避するために、企業秘密の方法で、”外音もバランスがよく、
録音も最適なバランス”で記録されるように工夫しているから、評判がいいと
言うわけ(笑)。物凄い手前味噌だけど!
企業秘密ってほどでもないけどさ。少し手を加えればさほど難しいことでもない。
まあ、これを逆手に取れば、T☆ROCKS以外のライブハウスでライブ録音する際には
ステージ上で小さな音量にすれば、卓でフェーダーを上げてくれるから、録音には大きな音で
記録される・・・ってことも可能だと思うけどね。
ちなみにモニターとの関係はどうなのか?例えばモニターに流れている楽器や歌の音量を
上げてくれてって言ったらそれも録音に反映されるのか?
これはライブハウスによる。モニターへ流す信号は通常AUXの経路を使うんだけど、それを
プリフェーダーかポストフェーダーのどちらかで処理するんだけど、もしポストに設定すると、
フェーダー処理を通ったあとの信号が流れるので、「モニターを上げてくれ」って言われて、
フェーダーを上げればそれが録音に反映される。
T☆ROCKSではプリに設定してあるので、フェーダー操作は録音に反映されない。
ま、通常、プリフェーダーだと思うよ。フェーダーと切り離されていた方が色々都合がいい
場合が多いからね。
ま、自分はバンドをやっていた頃は家に帰ってから録音された音源を聞くのが楽しみで、
毎回録音していた。今もきっとそう思っているアーティストさんも多いと思ったので、
ライブ録音もいい感じで録音されるように工夫したってわけ。