教えて!TOSHIさん:ブログ版

ライブハウス<T☆ROCKS>のオーナーTOSHIによる、音楽や音楽以外・・のお話!

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小田急相模原ライブハウス <T☆ROCKS>のオーナー「TOSHI」です。 音楽の話、音楽以外の話・・などなど色々!HPの 「教えて!TOSHIさん」も更新中! t-rocks@jcom.home.ne.jp

日本的アーティスト高評価事情

2018-02-01 | 音楽的アドバイス

SNSの投稿で興味深いものがあったので、それに便乗して

書いてみたいと思う

 

「声量がありますね」

これだけで褒められるとは何事か。

「元気があってよろしい」

せいぜい小学生までの褒め言葉だ。

 

概ね、こういうことが言いたかった内容である。

 

自分も常々、日本の音楽業界やエンターテイメント、芸術などの

分野は欧米に比べて劣っていると感じていて(今さらでもないですが)

日本独自な素晴らしい部分も認めるけど、概ね、幼稚で稚拙、大衆は騙されやすいと

感じている。

 

以前も書いた気がするけど、特に歌の部分に関して、乱暴な表現になってしまうが、

ごく単純に言えば、”元気いっぱい、出来れば高いキー”で歌えば、評価される傾向に

あるように思う。

 

元気いっぱいだがとてもうまいとは言えない自称ソウルシンガー、超音波のような

高音、しかしフラット気味に歌う歌姫、情感たっぷりあるいはヒステリックな歌唱法、

いくらガレージロック系とは言えそこまでノンビブラートで歌っていいのか疑問に

感じるロックバンド、なんでもツービートにすりゃいいってもんじゃないだろ青春

パンクバンド・・・あ、歌唱法じゃなかった。枚挙にいとまがない。

 

相当乱暴な言い方で申し訳ないけど、日本のプロデビューしている人たちの中で

このように感じるアーティストが相当数いる。個人的見解だけど。

ロックバンドは割と幅が広いとはいえ、それでも欧米のエンタテイメント界で

日本でプロでやっている人で通用する人、いやその前に「うん、そのくらい歌えれば

デビューしても恥ずかしくないね」と言われる人がいったいどれだけいるか。

アメリカってどんなにデビューしたての小娘でも相当歌はうまいよね。

たどたどしい小娘が重宝されるのは日本だけだよなあ。まあ、それはそれでそれを

好む人々がいるので成り立っているのでいいんだけど。

 

欧米に負けない、否、肩を並べるほどの日本のアーティスト独自の素晴らしい歌や楽曲、

表現方法があるのももちろん認める。

また演奏技術の高さも世界的に通用すると思う。

 

しかし”センス”の部分だとどうかなー。ちょっとこれは稚拙だなと思われる部分も

多々ある気がするんだけどなあ。

”そこでそんな小難しいセクション必要ないでしょ”とか、”かっこ悪い転調”とか、

”かっこ悪い変拍子”とか、”無理な高音域まで飛んでいくボーカルライン”とか

”無駄な速弾き”とか、変なこだわりが楽曲をかっこ悪くさせているときも

あると思うんだよねえ。

まあ、元が西洋音楽なんでね。まだまだ日本人が咀嚼し切れていないんだよねえ。

成熟しきっていないと言うか。元も子もないけど。

自分も多分にその傾向はあるんだけど、今の若い作曲家たちは、60年代70年代

あたりのなるべく音楽理論に基づいた良質なメロディ、コード進行などを

構築しようとしていたアメリカンポップスなどをすっ飛ばして、音楽を

作ろうとしてる感があって、よくそんなデタラメでメチャクチャでセンスが無い

コード進行で楽曲を構築しようとしたなってびっくりするときがある。

これを聞いて育っちゃったらこれが基準になっちゃうなって思う。

特にコンピューター上で作ったメロディは危険なことが多いと思う。

理論的には合っているかもしれないけど、とても人間が歌えるメロで

無いことも多いし。ただ、それを無理くり歌って、PC上でエディットして

音程を合わせちゃう、なんてことも今は出来るので、もう歌じゃない気がする。

 

ロックバンドとは少し定義が違ってくるのでここでは言及を避けるが、

良質なアメリカンポップスを通過することは損にはならないと言うか必須だと

思うんだけどなあ。一応西洋音楽と言う形式をとっている限り。

あるいはそれこそ本当に一切聞かずにそう言った情報をシャットダウンして

まったく人類の聴いたことのない音楽を紡ぎ出すか・・・。

 

ごくごく簡単に紹介するが、あまり馴染みがないなあと言う方は以下の

アーティストのベスト盤で良いので聞いてみることをお勧めする。

 

(ちょっとアメリカンポップスではなくバンドサウンドになっちゃうけど)

ビートルズ(ビートルズ初心者の方は青盤、赤盤の2枚がオススメ)

ジャクソン5

カーペンターズ

アバ

キャロルキング、等々。

R&B系だと、ダイアナロス&シュープリームス、スリーディグリーズなんか

聴きやすいですね。

 

話を元に戻すと、そうなのよ、日本人ってイメージに非常に左右されやすくって、

政治家を選ぶ時もそうなんだけど芸能人だったりすると中身をあまり見ずに

表を入れちゃうとかね。

音楽も似た傾向があって、そういう”うまい風に見える人たち”の中身をしっかり

見ずにイメージだけで評価しちゃう大衆が多いなあって感じている。

 

とは言え、かくいう私もイメージ戦略は大好きで(笑)、”人間はかっこからでしょ”

って浅はかな人間なんですが、それでも、”で、中身はどうなの?”って部分は

一番大事にしている。

 

問題は一番初めに言った”声がでかく元気がいい”だけでのしあがれちゃう日本の

音楽業界はどうなの?ってことなんだ。

もちろんそれプラス音楽的才能がなければさすがになかなか評価はされないだろうけど、

その”でかい&元気”あるいは”度を越した情感、度を越したヒステリックな歌唱法”などが

音楽的才能にすり替えられて変換されちゃって勘違いされてアーティストとしての

高評価になるって言う日本的な稚拙さが我慢がならないのだ。

(もちろんそればかりじゃない良心的な意味で評価の高いヒット曲も残っているので

半分は安心している)

 

 

最後にSNSに投稿した元ネタのアーティストさん、これを見ているかはわからないけど

君の言いたいことは凄く良く分かるよ。