ニーチェは言った。「神は死んだ」
今までの価値観が崩れニヒリズムが台頭することを
予見して言った。
またロックは死んだとも散々言われている。
確かに。
神も仏もありゃしない・・・って気もしないでもない
今日この頃。
果たして「音楽は死んだ」のか。
う~ん、どんどん商業的にはなっているよねえ。
芸術性が高くても売れなくては意味がない。
お金を生まないものは価値がないのだ。とみに
その傾向は大きくなってゆく。
なんでもね、世界的に。
ただ個人的には商業的でもいいと思っている。
エンターテイメントの世界と言う側面もあるからね。
ビートルズやキッスのように才能のあるアーティスト
なら商業的に売り出すためにイメージ戦略をしても
なんら不愉快には感じない。
そうじゃないのが売れているのは我慢ならないけど。
音楽そのものは現代は今までで一番価値が下がっていると
思う。おそらく。
単純に言ってしまえば、地球がダイヤモンドがたくさん
あるような星だったら今みたいにダイヤに価値はないのと
一緒。
今日日、いつでもどこでも音楽が聴ける。
しかも結構な音楽が無料で聴ける。
苦労して手に入れる必要が無い。
そりゃ価値的には下がっていくでしょう。
楽器も安いものがたくさん作られたので珍しくもなくなって
いるし、楽器専門店でなくとも腐るほど置いてある。
なんとかオフとか。
天下のギブソンも破産したし。
まあ、だからと言って昔のように音楽全般を簡単には
触れることが出来ませんよ、と言う立ち位置に戻せってのも
難しい話で、今は今でいい時代なんだろうけど。
でもYoutubeで音楽が聴けたり、演奏シーンが見られたり
してもやっぱり目の前での生演奏、生歌の感動は味わえない
わけで、唯一そこだけが残された最後の砦かなと思うね。
TVで、あるいはスマホ越しにスピーカーで、あるいは
ヘッドフォンでいくら爆音で聴いても目の前で実際に
演奏して歌っている迫力にはかなわないだろう。
たとえポップスやバラードをやっていても。
ただもう一つ、懸念していることがあって(自分ごときが
心配する案件でもないんだけど)ミュージシャン人口が
減っているのかそこまで気にする人が減っているのか、
全体的にクオリティが下がっている気がしてならない。
いや、とてもうまい人と目も当てられない人に分かれると
言うか両極端な印象を受ける。
上手い人は本当にうまい。昨今便利な教則本やネット動画
などがあるので昔より格段に上達は早くなるだろうし、
底上げも凄いと思う。かなりのテクニックを持った人が
ゴロゴロいる。
その反面、ステージに上がるうえでの最低限のテクニックや
それまでの練習、人前に立つと言う意味などのレベルが随分と
下がってきているようにも感じるのだ。
うん、やっぱり絶対数が少なくなって来ているので、ふるいに
かけられる数が減っているんだろう、きっと。
音楽人口が少ないので”その程度で十分”ってなっているんだと思う。
そしてやっぱり個人的に一番恐怖に感じていることが、
”音楽にパワーがなくなった”ことかな。
文字通り「音楽は死んだ」。魔法は解けたって思う。
いや、自分が老けただけかも知れん(苦笑
若者の絶対王者として音楽ってのはあったんだよ、その昔。
本気で”音楽は世界を変えるんじゃないか”と思えた時代も
あった。さすがに自分のときはそこまでは思っていなくとも
このつらい状況から救ってくれる救世主のようなそんな
存在だったんだが、今はそこまである種宗教的な意味合いは
持っていないだろう。
当時は男の子ならバイク、あとはマンガなんかも力を持っていたかも。
あるいはスポーツ。
前途したようにありふれちゃっているからね、そこら中に。
キリストがそこら中に歩いているようなもんだ。
アガペーも何もあったもんじゃない。
また音楽そのものもPCでエディットして作った人工物的な
物が多いとやはり機械っぽくてね。
3番のサビで声がかすれちゃったみたいなレコードは
皆無だよね(笑)。ま、それはいいけど。
ありふれていることだけが原因ではないだろうけど、
なぜか音楽にパワーを感じない。魔法を感じない。
今の若い人たちは感じているのか?
救われているのか?
バンドではなくアイドルの方により感じているかも知れない。
また、昔より多くの娯楽が人々の手にあふれているからね。
スマホの中にもたくさんある。ゲームも手の中にある。
映画もすぐレンタルできる。マンガもスマホで見られる。
あとあれかな、楽器を弾く姿がもはやかっこよくないのか?(笑)
歌ったり楽器を弾くことはもはやイケていないのか?
まあ、メタルの風貌は若者からしたらイケてないだろうな(苦笑
いまどき長髪なんて流行らんよな。ごめんよ。
かっこつけないかっこよさが今は主流だよね。
とにかくだ。
若者よ、
「書を捨てよ町へ出よう」と寺山修司は言ったが、
TOSHI的には「スマホを捨てよ楽器を持とう」だ。