食器用洗剤をママレモンと呼んでしまう、昭和の男、トシちゃん感激ー!永遠の25歳です。
「ナオミあ・ら・かると」著:弓月光
1974年、少女雑誌「りぼん」7月号から連載。
普通に少年ジャンプだのチャンピオンだのマガジンなども読んでいたと思うけど、
少女マンガも凄く好きでねえ。と言っても「りぼん」しか読んでなかったけど。
特に「一条ゆかり」「弓月光」「大矢ちき」「睦奥A子」なんかが好きだっだなあ。
で、その辺の話はまた今度にするとして、これね、少女マンガなんだけど、
ちょっと大げさに言うとハレンチなナンセンスマンガって感じなんだけど、
実は凄く深いテーマを扱ってる。途中までは普通に大笑いしながら読めるんだけど、
後半になるにしたがって子ども心にも何か違和感のような心に引っ掛かるものが
出て来て、読後、非常に複雑な心境になる。
ま、とは言え、もちろん少女向けギャクマンガなんで、サラっとは読めるんだけど。
何を扱っているかと言うと、「精神病」。
冒頭で主人公(ナオミ)が自分のことを「人格分裂症、早く言えばキ〇ガイかな」という
自己紹介から始まる。(もちろん伏字なし)。今だと多分、表現的にマズイし、ちょっと
この手の症状を笑いにしちゃうのはタブーとされてる気がする。
当時は今よりもっともっとおおらかだったからねえ。
で、ネタバレになるけど、ハチャメチャな性格の「ナオミ」と、180度逆のおとなしい
性格の「奈美」が同一人物なんだけど、通常はナオミが勝っていてほぼナオミが
身体を支配しているんだけど、最終的に手術で「ナオミ」を消して「奈美」だけに
しようとするんだけど、最後に言うナオミのセリフがなかなか切ない。
「あたしはどこへ行っても嫌われものね」
当時は自分も小学生だし、ギャグマンガの要素の方が強かったし、
何か深いテーマが潜んでる・・・のはおぼろげにはわかったけど、
大人になって読み返してみると、ちょっと凄いテーマだなと思う。
一本の映画が作れるかも。でも着地点が難しい。
まさかどっちの人格も共存してめでたしめでたしってわけにもいかないだろうし。
ま、多分作者もそこまで深く考えて描いたわけでもないとは思うけどさ。
この漫画の着地点は、興味があれば読んでみてね。
でもどうやら結構人気があった作品みたいで、別の話で続編が描かれている。
そっちは「無作法な関係」と言う題名。
まあ、40代以上の女性の方は知ってるかなあ・・・。
一条ゆかりの「砂の城」だの「デザイナー」なんかと同じような時期だったかな。
いや、もうちょい後かも。
弓月光は初期の頃は大好きで、単行本もたくさん持ってたな。
でも捨てちゃったんで、大人になってまた買った。当時の物を取っておけば
良かったと思うよ。
そうそう、このマンガ、途中でバキュームカーが出てくる。
知ってる?バキュームカー。水洗トイレではない、いわゆるボットン便所がまだ多かった
時代は一週間に一度くらい、たまった「ンコ」をバキュームで吸い出すんだよ。
当然かなりの悪臭が漂う。家々を回って「ンコ」を回収するなんて今考えると
凄い仕事だな。