コミュニケルーム通信 あののFU

講演・執筆活動中のカウンセラー&仏教者・米沢豊穂が送る四季報のIN版です。

季(とき)移ろいで・・・<近況・心境>

2009-08-23 | Weblog


幼き日 祖母のいませし野の畑に
     食(は)みしトマトの 香り懐かし (筆者近詠)

ひと時を畑で過してきた。
きゅーりも、トマトも、もう晩期である。
黄ばみかけた葉の間から、トマトをひとつ、ふたつ採って、
葉の生い茂った柿ノ木の下で頬張った。

この香り、懐かしさは、今は亡き祖母の想い出につながる。
それはもう半世紀も前のことになってしまった。

10年前にカウンセリング研究会の創立10周年記念として
大手の出版社から拙著を上梓した。
やや専門書に近い著書だが平易で読みやすいと好評を頂いた。
そのはじめに、祖母の想い出を記した。
「受け入れられて育つ」と・・・。

それは、今の私のカウンセラーとしての原点でもあるからだ。

祖母は、丹精して作った野菜を惜し気もなく周囲の人たちに
あげていた。いつも粗末なものを着て、笑顔の人であった。
お念仏の聞こえてくるような人であった。
祖母逝ってからもう何年になるのだろう。

拙著は初版も重版も完売で、もう流通在庫はないという。
今でも全国から問い合わせがあるという。
出版社から3版をと言って下さった。
でも・・・、これで十分。

今度書くなら別のものをと思う。
でも・・・もう書けないかもしれないと思うこの頃。

気がつけば、降りしきる蝉時雨。
往く夏を惜しむかのように。

頬をかすめる風は、もう秋の気配。
こうして季(とき)は移ろいでゆく。
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