奥越前 桃源郷
桜が散り、桃の花が咲き、そして若葉へと、季(とき)は徐に移ろいでゆく。
ふと、思い立って奥越前へと車を駆った。何となく感じていた憂鬱からの脱却のひと時だった。
【閑話休題】
カウンセリングを講ずるようになって四半世紀。いつの頃からか「文学にふれずしてカウンセリングを語るなかれ」
と言うようになった。幾つかの研究会での学習やワークショップで、色々な文学作品を教材に使ってきた。
また、短歌、俳句、詩などにも触れてきた。その根底にあるものは豊かな感性の醸成にある。
歌や句としての良さも大事だが、日々の生活(くらし)の中で見る事象を、心の目で見ることが出来るかどうかである。
歌を詠むことは勿論、鑑賞する際も同様である。
今年も、カウンセリング研究会「萌え木」の4月例会は、短歌や俳句の実作をしながら、会員の皆さんで
楽しく過ごした。その一部を紹介してみよう。
春うらら・・・ 歌(句)に思いを馳せる素敵な自分
席題:桜 花 その他OK
風来たり桜吹雪のおもてなし疲れし我も顔ほころびぬ
さくら咲き過ぎし歳月なつかしむ楽しくもあり儚くもあり
停車してガラスに落ちし花びらの淡きピンクに時は止まりて
母を呼ぶ新入園児背に負えば順を待つよに子ら集いくる
楽しげに薄桃色の花小人いまを盛りと風と遊ぶや
母と行くその腕組みの温もりをうれしと思う桜咲く道
見上げれば我を見下ろす月青く桜咲く道ゆるやかに行く
さくら咲きふらりと出(ぃ)でし花見なり日々のくらしも急ぐことなし
さくら咲き往きにかえりに道すがら花を訪ねて小(ち)さき旅かな
想い出す桜トンネル見上げれば夫(つま)なき今は孫と二人で
身罷(みまか)りし母の面影よみがへる友の母逝(ゅ)く棺(ひつぎ)の花に
寂しげに散りゆく桜の花見れば面影浮かぶ在(ぁ)りし日の母
さくら舞う驚きの顔子ら走る
ちらほらと水面に落ちる桜かな
花を詠む少し緊張萌え木会
つづきはまた。