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アジサイ 1000年の誤用

2017-06-20 23:56:13 | 之波太:柴田
6月16日から7月2日まで船岡城址公園で「第4回しばた紫陽花まつり」が開催中です。
今年は雨が少なく、まだ開花していないという。

湯浅浩史著 「花おりおり」
6月15日の朝日新聞の天声人語にアジサイについての記述があった。

初夏を彩るアジサイも、江戸時代より前の文学には、ごくまれにしか登場しないそうだ。
もの言わぬ木にも、アジサイのように色の変わる信用できないやつがあるーー。
万葉集には、そんな内容の歌すらある。
「化花:ばけばな」「幽霊花」の名も残ると、湯浅浩史著『植物ごよみ』にある。
誰もが心からめでる花ではなかったのかもしれない。

朝日選書754 『植物ごよみ』から



6月 アジサイの陽と陰
・アジサイの両極
・アジサイの語源
・1000年の誤用
この「1000年の誤用」の内容が気になった。

 アジサイは紫陽花と書かれることが多い。
しかし、これは明らかに誤用である。
植物の名は古(いにしえ)にさかのぼればさかのぼるほど、由来がはっきりしないのは当然であるが、
紫陽花は違う。
命名者、命名のいきさつ、最初の誤用者がはっきりと記録される。
 平安時代、僧昌住は『新撰字鏡』(901年頃)で安知左井(あちさい)に「艹(くさかんむり)+便」
の漢字をあてた。
「艹+便」は和製の漢字で、これはアジサイの葉が便所の紙として使われたことによるのではないかと、
アジサイの研究家故山本武臣氏は指摘する。
八丈島や三宅島など伊豆七島ではかつてガクアジサイの葉をトイレットペーパーとして使用したという。
 『新撰字鏡』から30年後、源順(みなもとのしたごう)が『和名類聚鈔』を著し、「白氏文集律詩云、
紫陽花和名阿豆佐葦(あづさゐ)」と、アジサイに対照的な美しい漢名をあてた。
 江戸時代に日本の本草学が発展するまで、日本と中国とは同じ植物が分布すると思いこまれていた。
本来中国にはないアジサイを何とか漢名で表記しようと、源順が努力した結果、あてそこねた誤りが、
実に10世紀も続いているのである。
 アジサイの中国の現代名は綉球花。
井岡冽など江戸後期の本草家は誤用に気づき、また、牧野富太郎博士は「植物裁判」をはじめ、口を酸っぱく
して、その誤りを説いたが、依然として文学の世界を中心に紫陽花は根強く生き残る。
一度根づいたのは誤りといえども正すのは容易でない。

同じく誤り
「十二支」を「えと」と呼んでいる。
「陰陽五行説」によると、すべての物は「木、火、土、金、水」の5元素から成るとされています。
「き、ひ、つち、か、みず」は、これを表します。
「え、と」は兄、弟の意味で、ここから「えと」という言葉が生まれました。
だから「十二支」のことを「えと」と呼ぶのは間違いです。