本州最南端と自他共に許す潮の岬を経て南紀勝浦で一泊した。その時の晩御飯に出たのがこの一品。
南紀一帯は「鯨と鮪」の看板が目立つ。この皿の上のものは鯨の「第四の胃袋」と言う。
食感はトロである。食するのに歯は要らない。襞になっている部分だけがやや舌触りがある。
そもそも、鯨の胃袋は牛のように四つあるというのは初耳だ。それがまた、これは第4であると言う。鯨は反芻動物なのか。さもあろうか。半信半疑である。
レストランの若いウエイターに聞くと、「自分たちも子どもの時から「第四の胃袋」といっていた。料理の別の名前は知らない」と言う。
そしてやがて、鯨の解剖図をネットから出したものを持ってきた。見ると第四の胃袋も出ている。十二指腸の部分が袋になったらしい。
これは珍味なんだ。一緒に並んだ「尾の身」も美味かったが、この珍味はくせのない味だった。