蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

親族の基本構造の結語章 2  序の中

2021年10月06日 | 小説
(2021年10月6日)1 シュメール神話は;
意味論(signe)が人類規模で成立していた(イヌと言えば誰もがイヌを思い浮かべる、会話が成立する)。言葉のやり取りと相互理解の均衡が社会に横溢していた。人々はこの狂騒を享受し、その運動指向(ベクトル)の行き着く未来にひたすら歩みを進めた。これが遠い過去の黄金時代。
2 アンダマン族では;
それは未来、遠い空の雲のはて。女交換は実践されない、婚姻を通しての族民の交流は途絶えた。意味論による交信も消える。孤立に死んだ男が孤独に生きる。物音一つ聞こえない静かさが黄金時代。
比べると、時間軸での過去と未来の相反が挙げられる。他要素でも相似はどこにも見あたらない。狂騒と静謐、集合と孤立など要素多くに正反対を見せている。正異が相似にすり替わるカラクリが裏に潜むのだ。仕掛けとはこの文の直前に引用されている言語学的解析、言葉と女との意味論的繋がり、4500年を隔てる意味論の人類パラダイムである。
パラダイム構築が結語章の結論であり畢竟、本書「基本構造」の大引けに行き着く。本投稿での訴かけ(メッセージ)の着地点もここにある。
大引けの文節に入る;
<Le langage et l’exogamie représenteraient deux solutions à une même situation fondamentales>言語と族外婚(の制度)はそれぞれ仕組みが異なるものの一の解決に収斂する(568頁)
ここでの言語とは意味論(signe)。<La première a atteint à haut degré de perfection >前者=言語=の完成度は高い。しかし(引用なし)後者(族外婚)は意味論としては大まかで一過性である。<le signe linguistique de ne pouvoir rester longtemps au stade auquel Babel a mis fin, quand les mots étaient encore les biens essentiels de chaque groupe particulier>言語学の意味論は個々の集団が用いる語がその集団の財産となった時、バベルの塔の放擲によってもはやかつての価値を失った(568頁)。このあと、<しかるにモノと思想の意味づけ=意味論=は個々集団でその機能を維持している、と続ける。
言語の価値は明瞭で交信機能として洗練されている。
しかし<Quand on passe du discours à l’alliance, c-a-d a l’autre domaine de la communication, la situation se renverse. 会話から婚姻同盟(族外婚)に移ると状況は逆転する(569頁)
逆転するとはモノと思想の連携(意味論)が不明瞭、かつ洗練されていない事態を表す。これは
1 族外婚の対話とはモノ=女とします。
2 女の思想が大まかで一過性であるーにほかありません。

スライドを作成した、論より図式。

まずは言語学の意味論、上がソシュール展開の概念。これに対して思考(頭の中)を主とするレヴィ・ストロース解釈意味論は下です。


概念(思想)を意味論ではsignifiantとします、意味するもの。イヌを見て人が「イヌだ」と特定した。頭のイヌ思想に限りなく近いから。イヌは意味されるモノsignifiéになります。言語では両者は緊密でおそらくイヌをみてサルとかブタとか言う人は居ない、バベル以降汎人類の言語は消えたけれど、意味論の構造は残った。

しかし婚姻の意味論、女は曖昧だ。

図の右はレヴィストロースが作成した婚姻の3形態、左が婚姻構造パラダイムです(部族民作成)女の意味が交換の原理で変節します。次回に説明。
親族の基本構造の結語章 2  序の中 了(2021年10月6日)
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