Hyppoliteによる仏語訳のヘーゲル精神現象学(La phénoménologie de l’Esprit)、その導入章 (Introduction) の紹介をSNSにて広めております。本年(2024年)9月14日からGooblogに投稿を始め(Youtubeには 同26日に初回投稿)、今回が最終投稿。投稿回数は10を数えます。最終にあたり若干の背景を:
精神現象学はヘーゲルの出版(1807年)は最初期にあたり、本書で展開する弁証法は「ヘーゲル原初期の弁証法」として位置づけられる。本書700頁のあらましが導入章12頁に記される。それは:
1 考えるとは真理を追求することである。
2 真理はモノ世界に在る
3 真理を考えの中に導入し、人の思想(基準mesure)と摺合せる。
4 その仕組は認識(connaissance)の内に現象の野(milieu)を設け、モノ対象の概念(concept)を知 (savoir) が投影する。概念と基準の対峙(節目moment)で整合不整合が定まる。現象の仕組みとして必ず不整合に陥る。節目の繰り返しとなるが、現象の域にとどまる限り真理を掴めない。
5 ヘーゲルは現象を通して真理に肉薄できる能力を悟性に与える。決定力(déterminabilité)。悟性は概念(現象の枠内)を通じてモノ世界の真理を透視する。これを経験(expérience) とする。幾度かの経験の試みで真理を体得し、絶対知を標榜するに至る。
これら記述の副産物として弁証法は現象の野だけで展開されない。知、悟性の両者の内部でも(蓋然と真理の対峙など)弁証法が広がる(二段ロケット)。知、悟性が概念と基準を形成するのは、内部で確固とした体系(弁証法)が練り上げた後に現象の野に開陳する(ヘーゲル弁証法は機械的な否定とする、一部の解釈は、当たらない)。更に「モノには思想が宿る」の記述が見られる。この文はマルクスの歴史弁証法、サルトルの実存主義の萌芽に繋がる。
Hyppoliteの胸像、出身校リセ・ジョンザックに建設される
なお本書(Hyppolite訳のヘーゲル精神現象学)は日本に紹介されていない。
訳者Hyppolite(Jean、1907~68)は ソルボンヌ大学哲学教授、高等師範学校校長などの要職を歴任した。Wikipediaから一節を引用する「1955年にはマルクスの初期の著作、つまりヘーゲルの影響が色濃く見られる時期の作品に関する研究を発表した。それはまさに、フランスにおけるヘーゲル熱が最高に高まっているタイミングでの出来事だった。1963年、彼はコレージュ・ド・フランスの教授に選出され、「諸体系の歴史」講座を受け持った。同時代人であるサルトルたちがドイツ哲学から影響を受けながら新奇性のある著作を発表してきたのに対し、イポリットの方はテクスト解説者、教育者、翻訳者として名をとどめている」
最後に、本投稿(ヘーゲル5_2)は悟性が決定力を発揮し自身を絶対知に高める過程を説明する。その高みとは理性(science)の位置である。弁証法は、精神背後に潜む理性が統治している。
Youtube動画リンク https://youtu.be/87TvL_eJoZc
部族民通信ホームサイトwww.tribesman.net
精神現象学はヘーゲルの出版(1807年)は最初期にあたり、本書で展開する弁証法は「ヘーゲル原初期の弁証法」として位置づけられる。本書700頁のあらましが導入章12頁に記される。それは:
1 考えるとは真理を追求することである。
2 真理はモノ世界に在る
3 真理を考えの中に導入し、人の思想(基準mesure)と摺合せる。
4 その仕組は認識(connaissance)の内に現象の野(milieu)を設け、モノ対象の概念(concept)を知 (savoir) が投影する。概念と基準の対峙(節目moment)で整合不整合が定まる。現象の仕組みとして必ず不整合に陥る。節目の繰り返しとなるが、現象の域にとどまる限り真理を掴めない。
5 ヘーゲルは現象を通して真理に肉薄できる能力を悟性に与える。決定力(déterminabilité)。悟性は概念(現象の枠内)を通じてモノ世界の真理を透視する。これを経験(expérience) とする。幾度かの経験の試みで真理を体得し、絶対知を標榜するに至る。
これら記述の副産物として弁証法は現象の野だけで展開されない。知、悟性の両者の内部でも(蓋然と真理の対峙など)弁証法が広がる(二段ロケット)。知、悟性が概念と基準を形成するのは、内部で確固とした体系(弁証法)が練り上げた後に現象の野に開陳する(ヘーゲル弁証法は機械的な否定とする、一部の解釈は、当たらない)。更に「モノには思想が宿る」の記述が見られる。この文はマルクスの歴史弁証法、サルトルの実存主義の萌芽に繋がる。
Hyppoliteの胸像、出身校リセ・ジョンザックに建設される
なお本書(Hyppolite訳のヘーゲル精神現象学)は日本に紹介されていない。
訳者Hyppolite(Jean、1907~68)は ソルボンヌ大学哲学教授、高等師範学校校長などの要職を歴任した。Wikipediaから一節を引用する「1955年にはマルクスの初期の著作、つまりヘーゲルの影響が色濃く見られる時期の作品に関する研究を発表した。それはまさに、フランスにおけるヘーゲル熱が最高に高まっているタイミングでの出来事だった。1963年、彼はコレージュ・ド・フランスの教授に選出され、「諸体系の歴史」講座を受け持った。同時代人であるサルトルたちがドイツ哲学から影響を受けながら新奇性のある著作を発表してきたのに対し、イポリットの方はテクスト解説者、教育者、翻訳者として名をとどめている」
最後に、本投稿(ヘーゲル5_2)は悟性が決定力を発揮し自身を絶対知に高める過程を説明する。その高みとは理性(science)の位置である。弁証法は、精神背後に潜む理性が統治している。
Youtube動画リンク https://youtu.be/87TvL_eJoZc
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