波に貝図小柄 古金工

波に貝図小柄 無銘古金工
笄直し。敷き詰められたというような貝。海の恵みを良く示している。浜辺に寄せる波を貝の背後に配しており、構成も高彫色絵の様子も素敵だ。装剣小道具という感じではない。確かに、これが製作された頃を考えると、かなり高位の武将の持ち物であったと推測される。刀は武器の一つとして戦場で消費される運命にあったが、そうした実用具とは別次元の刀の装飾は、それを所持する武士の格の高さを印象付けるものではなかっただろうか。実際の、おそらく戦場で錆に化しても構わないというクラスの実用具の拵には、頗る簡素な目貫などが備えられている。時には単なる方形の金具が巻き込まれている例がある。それが戦道具の現実である。
いつだったか有名な先生に、戦国時代の極上の金具がどのような拵に備えられていたものであろうか伺ったことがある。良く分っていないんですよ、との返答であった。錆や灰塵になる可能性のある実用具に備えられることなど理解できないし、今でも疑問を感じている。

波に貝図小柄 無銘古金工
笄直し。敷き詰められたというような貝。海の恵みを良く示している。浜辺に寄せる波を貝の背後に配しており、構成も高彫色絵の様子も素敵だ。装剣小道具という感じではない。確かに、これが製作された頃を考えると、かなり高位の武将の持ち物であったと推測される。刀は武器の一つとして戦場で消費される運命にあったが、そうした実用具とは別次元の刀の装飾は、それを所持する武士の格の高さを印象付けるものではなかっただろうか。実際の、おそらく戦場で錆に化しても構わないというクラスの実用具の拵には、頗る簡素な目貫などが備えられている。時には単なる方形の金具が巻き込まれている例がある。それが戦道具の現実である。
いつだったか有名な先生に、戦国時代の極上の金具がどのような拵に備えられていたものであろうか伺ったことがある。良く分っていないんですよ、との返答であった。錆や灰塵になる可能性のある実用具に備えられることなど理解できないし、今でも疑問を感じている。