波に錨図鐔

波に錨図鐔 無銘
江戸時代の巧みな構成力が示された鐔。程乗の小柄でも紹介したように、波に錨は源平合戦、中でも碇知盛を思い浮かべる。壇ノ浦において、自らの身体に碇を巻きつけて海中へと沈んだ平家の武者である。後に義経が頼朝に追われて九州へ逃れようと試みたものの、瀬戸内の海は知盛の怨霊によって荒れ狂い、逆に押し流されてしまったという、「碇知盛」の他に同じ説話を題材にした「大物浦」、「舟弁慶」などの歌舞伎の演目もある。この鐔も、そのような風情を湛えている。上部の渦巻は印象的である。75.5ミリ。

波に錨図鐔 無銘
江戸時代の巧みな構成力が示された鐔。程乗の小柄でも紹介したように、波に錨は源平合戦、中でも碇知盛を思い浮かべる。壇ノ浦において、自らの身体に碇を巻きつけて海中へと沈んだ平家の武者である。後に義経が頼朝に追われて九州へ逃れようと試みたものの、瀬戸内の海は知盛の怨霊によって荒れ狂い、逆に押し流されてしまったという、「碇知盛」の他に同じ説話を題材にした「大物浦」、「舟弁慶」などの歌舞伎の演目もある。この鐔も、そのような風情を湛えている。上部の渦巻は印象的である。75.5ミリ。