桜図鐔 京金工
桜図鐔 京金工
黒い桜などない。だが作者は、銀が黒化することを意図して金の桜の中に散らし配している。作者の心に映った風景であろう。縮緬皺のような細かな線によって描かれた霞の棚引く様子もまた心象的表現であり、さらに背景の朧銀石目地と共に、辺りに漂う桜の香りを印象付けている。この朧銀地を下地とした処理も巧みである。川の流れに桜の組みあわせは、嵐山や吉野が思い浮かぶが、それら古典とは違った印象のある作品となっている。
桜図鐔 京金工
黒い桜などない。だが作者は、銀が黒化することを意図して金の桜の中に散らし配している。作者の心に映った風景であろう。縮緬皺のような細かな線によって描かれた霞の棚引く様子もまた心象的表現であり、さらに背景の朧銀石目地と共に、辺りに漂う桜の香りを印象付けている。この朧銀地を下地とした処理も巧みである。川の流れに桜の組みあわせは、嵐山や吉野が思い浮かぶが、それら古典とは違った印象のある作品となっている。