鉄線花図鐔 美濃
鉄線花図鐔 美濃
鉄線花は輸入された植物である。それゆえに輸入された時代の決定が、鐔の製作時期の判断にもつながると考えられているようだ。この鐔は、鉄線花の伝来より古い室町時代の古法による深彫表現。桶底式に耳が高く、魚子が打たれた地面が低く、文様も耳と同様にくっきりと高い。だが、先に述べたように鉄線の輸入が寛永ころといわれていることから、寛永以降の製作ではないかと鑑られている。花の輸入は江戸時代初期でも、鉄線の絵画は古くからあるかもしれないので、絵画を手本としたなら、製作の時代はもっと遡っても良いだろう。彫法が古い作品の実製作の時代判定は難しい。この鐔は、いくつかの鑑賞要素を備えた、資料的価値の高い興味深い作品でもある。赤みの強い赤銅地。高彫の花は金の薄い板を被せて際端で固定させたうっとり色絵に近い手法。あるいは焼き付けされているのかもしれない。金色絵の剥がれた部分を観察すると、下地にも彫刻が施されていることが判る。切羽台には魚子地の試し打ちの痕跡があり、これも面白い。
鉄線花図鐔 美濃
鉄線花は輸入された植物である。それゆえに輸入された時代の決定が、鐔の製作時期の判断にもつながると考えられているようだ。この鐔は、鉄線花の伝来より古い室町時代の古法による深彫表現。桶底式に耳が高く、魚子が打たれた地面が低く、文様も耳と同様にくっきりと高い。だが、先に述べたように鉄線の輸入が寛永ころといわれていることから、寛永以降の製作ではないかと鑑られている。花の輸入は江戸時代初期でも、鉄線の絵画は古くからあるかもしれないので、絵画を手本としたなら、製作の時代はもっと遡っても良いだろう。彫法が古い作品の実製作の時代判定は難しい。この鐔は、いくつかの鑑賞要素を備えた、資料的価値の高い興味深い作品でもある。赤みの強い赤銅地。高彫の花は金の薄い板を被せて際端で固定させたうっとり色絵に近い手法。あるいは焼き付けされているのかもしれない。金色絵の剥がれた部分を観察すると、下地にも彫刻が施されていることが判る。切羽台には魚子地の試し打ちの痕跡があり、これも面白い。