破れ扇図鐔 阿波正阿弥
破れ扇図鐔 阿波正阿弥
川面に落ちた扇は、その流れによって次第に破れてゆく。儚い、言わば瞬間の美なのだが、それを絵画によって別の美しさに変質させた。着物の文様にも採られていることから良く知られている図で、鐔にもままみられる。殊に透かしとの組み合わせからなるこの図は独特の空間を創出して魅力的だ。この鐔では、扇の上部が水に侵食されているようでもあり、あるいは骨だけになったものか、とすれば下は骨からはずれた地紙か。背景には水草が金布目象嵌で文様描写されている。そんな説明は不要ですと言われるかもしれない。陰に透かされた扇が際立っている。江戸時代の京の正阿弥派、この流れを汲む阿波正阿弥などが得意とした表現方法である。
近江八景図鐔 京正阿弥
風景を陽に表してその周囲を透かし去る手法はままみられる。透かしだけでは主題が不明瞭になるため、金布目象嵌で細かなところを描き込む。その線描写が、濃密な金を用いて華やかであったところが受けた。透かしが文様表現された主題を浮かび上がらせている例である。
破れ扇図鐔 阿波正阿弥
川面に落ちた扇は、その流れによって次第に破れてゆく。儚い、言わば瞬間の美なのだが、それを絵画によって別の美しさに変質させた。着物の文様にも採られていることから良く知られている図で、鐔にもままみられる。殊に透かしとの組み合わせからなるこの図は独特の空間を創出して魅力的だ。この鐔では、扇の上部が水に侵食されているようでもあり、あるいは骨だけになったものか、とすれば下は骨からはずれた地紙か。背景には水草が金布目象嵌で文様描写されている。そんな説明は不要ですと言われるかもしれない。陰に透かされた扇が際立っている。江戸時代の京の正阿弥派、この流れを汲む阿波正阿弥などが得意とした表現方法である。
近江八景図鐔 京正阿弥
風景を陽に表してその周囲を透かし去る手法はままみられる。透かしだけでは主題が不明瞭になるため、金布目象嵌で細かなところを描き込む。その線描写が、濃密な金を用いて華やかであったところが受けた。透かしが文様表現された主題を浮かび上がらせている例である。