達磨図鐔 一東子龍翁
金家も達磨図鐔を製作しているが、本作は金家とは表現が全く異なっている。裏面は達磨大師が揚子江を葦に乗って渡ったという伝説を意味し、表は壁に向かって座り続けた修行の様子。いずれも伝説ながら具体的な情景を想わせるような試みとしている。達磨の左側の余白に彫り込まれた短い斜めの刻線は洞窟に射し込む陽の光であろうか壁面を意味しているのであろう。すると、かなり具体的になり、余白ではなくなる。ではない方がいいのだろうか。いや、ほんのわずかの加刻だが、かなり効果的だと思う。達磨に光明が射し込んできたことを暗示しているとは考えすぎか・・・