酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

金平糖

2013-03-17 08:12:08 | もっとくだまきな話
金米糖という菓子は今日ではちょっと普通の菓子屋駄菓子屋には見当たらない。聞いてみるとキャラメルやチョコレートにだんだん圧迫されて、今ではこれを製造するものがきわめてまれになったそうである。もっとも小粒で青黄赤などに着色して小さなガラスびんに入れて売っているのがあるが、あれは少し製法がちがうそうである。寺田寅彦随筆(以下、青字は「寺田寅彦随筆集」よりの抜粋です。)

「『金平糖』って歌があるんだよ。知ってるかな?」
友人からメッセージが届きました。
「誰の歌?」
「太田裕美さん!」
「あれ?主婦になられたんじゃ・・・・・」
彼女が現役とは、知らなかった。(何ともお恥ずかしい・・汗)
「東京ガスのCMもあったのにぃ」
「そう言えば・・・娘と出てた・・・・」
と、これは少しばかり思い出した次第。

NHK日曜6時に放映されておりました「ステージ101」この最終回には、当時メンバーだった「太田裕美さん」のお姿が見られました。
「木綿のハンカチーフ」は大ヒット。
僕等の青春時代の歌ですよね。

そんな、メッセージのやり取りの後、ふと思い出しましたのが、冒頭の随筆。
「寺田寅彦随筆集」からの一節「金平糖」

この金米糖のできあがる過程が実に不思議なものである。私の聞いたところでは、純良な砂糖に少量の水を加えて鍋なべの中で溶かしてどろどろした液体とする。それに金米糖の心核となるべき芥子粒を入れて杓子で攪拌し、しゃくい上げしていると自然にああいう形にできあがるのだそうである。中に心核があってその周囲に砂糖が凝固してだんだんに生長する事にはたいした不思議はない。しかしなぜあのように角つのを出して生長するかが問題である

「たかが金平糖」に自然の理を見出そうとする。寺田物理の面白さを感じます。
以前「くだまき」でも「線香花火の研究」であるとか「墨流しの研究」とかご紹介いたしました。

そこで、問題、「金平糖のとげとげは一体何個?」
何故か、24個であって、それ以上にも以下にも、あのとげとげは成長しないという不思議。
「たかが金平糖、奥が深い」とは酔漢。

物理学では、すべての方向が均等な可能性をもっていると考えられる場合には、対称の考えからすべての方面に同一の数量を付与するを常とする。現在の場合に金米糖が生長する際、特にどの方向に多く生長しなければならぬという理由が考えられない、それゆえに金米糖は完全な球状に生長すべきであると結論したとする。しかるに金米糖のほうでは、そういう論理などには頓着なく、にょきにょきと角を出して生長するのである。

寺田寅彦は、大の甘党。「論文を書きながら、金平糖を口に頬張っていた」こんな逸話もあるほど。
そんな、金平糖を(おそらく)数時間も、虫眼鏡を使いながら観察している、寺田寅彦先生のお姿を想像すると、何とも、ほほえましくも思えて来ます。




歌声は、昔のままですね。
この歌、知らなかった。
「良い歌だなぁ」と素直に思いました。

今、金平糖を見かける事が少なくなりました。
酔漢の仕事の中でも、一種類のみの取り扱いとなっております。
そして、自身の中で「金平糖をいつ食べたっけ?」と、記憶がございません。

金米糖という菓子は今日ではちょっと普通の菓子屋駄菓子屋だがしやには見当たらない。聞いてみるとキャラメルやチョコレートにだんだん圧迫されて、今ではこれを製造するものがきわめてまれになったそうである。もっとも小粒で青黄赤などに着色して小さなガラスびんに入れて売っているのがあるが、あれは少し製法がちがうそうである(中略)
それにしてもこのおもしろい金米糖が千島、アイヌかなんぞのように滅びて行くのは惜しい。天然物保存に骨を折る人たちは、ついでにこういうものの保存も考えてもらいたいものである。


ばあちゃんからお使いを頼まれて、そのお駄賃が「金平糖」でした。
チリ紙に包まれた、金平糖数個。
ポケットに入れたまま、食べるのをすっかり忘れて友達と遊んでおりました。
暖かい日でしたから、金平糖が少し溶けて・・・。
赤・青・黄色・・・・ポケットが不思議な色に染まりました。

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6 コメント

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こんばんは (見張り員)
2013-03-17 20:35:44
金平糖、懐かしいですね~。
あの砂糖の塊のようなものがとてもおいしく懐かしいなんて・・ああ昭和世代って感じかな?

そういえば陸軍さんは小さな乾パンとこれを一緒に食べたんだとか。
海軍はトランプ大の乾パンに氷砂糖でしたね。
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散らばってるメモリーから この世界の果てからも 意識のような感情のような 想いたちが集まったら (ある友人)
2013-03-18 20:12:53
今でこそ金平糖の角の生成過程はフラクタル構造として理解されているけれど、いち早く知的疑問を抱いた寺田寅彦は凄いですよね。まあフラクタルはカオスから生じるわけですから、まさに寺田氏に相応しいのかもしれません。
そういえば雪の結晶も金平糖の角と同じフラクタル構造ですねえ。ああ、なるほど。中谷宇吉郎とつながるわけか・・・。それも酔漢さんの中ではひとつの連なった夢想なわけ?
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見張り員さんへ (酔漢です)
2013-03-21 08:44:19
「乾パンと氷砂糖」
何故か、親父の元に届きます。祖父からです。
「氷砂糖」は、甘いものが不足していたときにとても美味しく感じたと、父は申しておりました。
金平糖。
本当に不思議なお菓子ですね。
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ある友人君へ (酔漢です)
2013-03-21 08:47:02
やはり、君は気づいていたんですね。
あぶり出しでも浮き出てて来ない、僕のメッセージでした。
雪の結晶と金平糖(寺田は「金米糖」)の結晶生成の仕組み。
僕の夢想。
見抜かれた!
脱帽。
「雪は天からの贈り物」(寺田)
「雪は天からの手紙」(中谷)
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金平糖の歌 (ファイブエバー)
2013-03-23 18:49:55
はじめまして、通りすがりの者です
甘党の私としては「金平糖」は子供~若い頃まで時々口にしたものです。この年になってからは(健康管理上)ほとんど口にすることは無くなりましたね。
でも昨年、何かの番組で太田裕美さんの「金平糖」の歌をテレビで見てから思い出し、久しぶりに買って口にしてみましたが意外に”甘くない!”感覚でした、年のせいなのか味覚が鈍感になったのですね・・・。
それよりも太田さんの歌(と姿)のほうが感激でした、ピアノの弾き語りは健在でした。因みにこの「金平糖」の曲は「東日本大震災前日の3.10に出来上がったもの」だそうで、ご本人も大変ショックだったと言ってましたね・・。
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ファイブエバーさんへ (酔漢です)
2013-03-25 09:26:22
初めまして、酔漢と申します。
そうなんですか、一昨年の3月10日に完成の歌でしたか。
初めてしりました。
と言いますのも、この「金平糖」という歌を知ったのも、つい先々週でしたものですから・・。
お知らせありがとうございます。
また遊びにいらしてください。
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