「この話、早くブログでみてぇっちゃ」
「先輩、なして?」
「あんなに笑える話、他にあっかや」
相変わらず、下駄の御仁と電話でやり取り。
「んでも中学校の話ばぁ、まんず完結させてから・・・」
「んーーんそれもあるけど、あれも早く」
んで、話ばぁすっから。
中学時代の話を途中で終わらせるつもりは、毛等ございません。が、これからのお話は、酔漢大学時代(東北福祉大学)のお話です。本当ならこの話は、これからだいぶ先にいたします予定でございました。少しばかり前振りが長くなりますが、ご容赦下さい
大学時代、酔漢、大学の演劇同好会の立ち上げに携わりました。ですから、最初のメンバーです。それはそれは、大変おもしろい人物が大勢集まりまして、その時々のエピソードには事欠きません。
今は、無名塾(無名塾11期生)「藤本喜久子」さんも酔漢の後輩でございます。
彼女、何故か当時のあだ名を「タミー」と言っておりました。今じゃあ、大女優だもんね。
酔漢、実は彼女から卒業式に色紙をいただきました。それには、こう書いてございます。
「私は先輩の占いによると、意外に平凡な人生をおくるといわれましたが、はたして本当にそうなるのでしょうか。10年後自分のやりたいことが出来るといいな」
と。何をおっしゃいますか。大変失礼なことを申し上げまして本当にごめんなさい。NHK中学生日記、そして映画の吹き替え等等、ご活躍、とてもうれしく思います。
彼女、演技することにかけては、天才的な勘の持ち主でございました。
この話の続きは、後程じっくり話させていただきます。(かんの殿、せつこ様、よろしいでしょうか?)
さて、彼女の大学同期、にしくんの話を始めます。
演劇同好会。飲み会です。時期は今頃。冬の味覚がおいしい仙台でございます。
「酔漢先輩、『なまこ酢』ってなんですか?」
「何、おめぇ『なまこ』も知らねぇのか?」
「奄美の海には『なまこ』いるけど、青とか紫とかそんな色していて、とても食べられるようには見えなかったんですけど」
にしくんは、奄美大島から仙台の大学へ来たのでした。何故彼が仙台まで来たのかと申し上げますと「奄美市で福祉のプロを育てたい」との市の意向によって、仙台留学?をしているのでした。ですから、彼は優秀な大学生な訳です。
「んで、一つ注文してみっから、おめぇ食えねくても、俺好きだからっしゃ。大丈夫だっちゃ」小鉢が一つテーブルにやってまいりました。
「先輩、これがその『なまこ』ですか?」
「んだ、コリコリしていて旨めぇど。まず初体験だべ、食ったらいいっちゃ」
と、彼、箸でつまんで、目を閉じて口に入れました。
「なかなか歯ごたえがあって旨いもんですね」
「だべ。まぁ冬の味覚ってとこっしゃ」と酔漢。
そこに向いに座っていた、みずまくん(僕と同期生。石巻出身)が酔漢の顔をジーっと見ながら、こう話すのでした。
「酔漢、にしに、あの話さぁしねぐてねぇど」
「あのはなしって?何っしゃ?」
「ほれ、おらほさぁ伝わる『なまこの話』っしゃ」
おいおい、ここでいつもの奴始める気か?
そうなのです、彼一流の「ほら」、「かまし」の合図なのです。酔漢、こころの中では「ニヤッつと」笑うのでした。ですが、この瞬間まで「なまこ」からどう話を進めるのか、まだ、頭の中は整理がついておりません。
「みずま、例の『なまこ』の伝説か?」
「そうそう、例のなまこの伝説だべ。塩釜から石巻。いわゆる陸前地方に伝わる、なまこ伝説だべ」
酔漢、あることを思いつきました。結末を決めると、みずま君とアイコンタクトで話を進めます。
「まず、にし、なまこってどんな形してるか知ってっか?」
「知ってます。こうですよね」と、彼は、割り箸の袋を破き、ボールペンで絵を書きました。
「そうそう、んで話は早ぇっちゃ」
彼は興味深深な目つきで話を聞いております。
「この『なまこ』だけんど、実はある巨大生物の幼虫だって知ってたか?」
ほらの最初です。
「えっつ!うそ!そんな事初めて知りました」
「たぶんや、奄美のなまこもそうかもしゃねぇけんど、仙台のなまこは、そうなのっしゃ。んでも、それがどう成長するか、動物学会でも謎中の謎なのっしゃ」
「で酔漢先輩、どうなるんですか?」
「100年に一度、月夜の晩、まぁ満月だっちゃな。大潮の未明になまこが海から上がってくんのっしゃ。いいか、全部のなまこだべ。何千匹いっか解かんねぇっちゃ、遠めに見っと、岩が動いているように見えんだとっしゃ。それで、海から上がったなまこは、岩場や木に登るんだど。そこでしばらくじーーっとしたてたかと思うとや、いきなり、背中がパカーーッて割れてや、羽が出てくんだどや。そして、大きなセミか鳥みてぇになって空さぁ飛んで行くんだと」
「ドラゴンボールのセルみたいですよね」
(しまった、ネタがばれそうだ)そうです、話のネタはまさしくそれなのです。
目の前のみずま君は、もう腹を抱えて、涙流さんばかりに笑いをこらえています。
酔漢も話ながら、真顔を作れず、笑いがこみ上げてまいりました。
にしくんは?と言いますと、もう真剣な顔をして聞き続けております。
「先輩、それで、どこに向って飛んでいくんですか?」
「そこっしゃ。それが解んねぇのっしゃ。そいずが解ったら、『ネイチャー』の年間大賞もらえっぺ」
みずま君が続けます。
「でな、にし、そいずば見た奴はみんなして気が狂うんだど」
「見た人『みんな気が狂う』んだったら、どうして、話が残っているんですか?」
みずま、墓穴を掘る。
すかさず、酔漢「んだから、伝説なんだべや」→ナイスフォロー!
こうして、同好会恒例の飲み会が終わり、春休みの帰省にみんな帰っていきました。
翌春。「おっ、みんなお久しぶり」と酔漢、みずま君と部室に入りました。
にし君がおります。
「せんぱぁーーい。ひどいじゃぁないですかぁぁーー」と、にし君大声を上げております。
「どうした、にし!なんかあったか?」
「先輩のあの話、奄美で開かれた同窓会で話したんですよ。そしたら『おまえ何だませれてんだって』みんなから言われましたよぉぉ」
「おめぇ、本気で信じてたのか?」と僕らの方があっけに取られました。
「にし悪かった。あやまる。昼おごっからや」
「ほんとうですか?大盛りにしますよ」
機嫌の直ったにしくんでございました。
が、酔漢とみずま君は、また次の魔の手を考えているのでした。
それは、また後程。こうご期待。
それにしても、悪い先輩だっちゃ。
「先輩、なして?」
「あんなに笑える話、他にあっかや」
相変わらず、下駄の御仁と電話でやり取り。
「んでも中学校の話ばぁ、まんず完結させてから・・・」
「んーーんそれもあるけど、あれも早く」
んで、話ばぁすっから。
中学時代の話を途中で終わらせるつもりは、毛等ございません。が、これからのお話は、酔漢大学時代(東北福祉大学)のお話です。本当ならこの話は、これからだいぶ先にいたします予定でございました。少しばかり前振りが長くなりますが、ご容赦下さい
大学時代、酔漢、大学の演劇同好会の立ち上げに携わりました。ですから、最初のメンバーです。それはそれは、大変おもしろい人物が大勢集まりまして、その時々のエピソードには事欠きません。
今は、無名塾(無名塾11期生)「藤本喜久子」さんも酔漢の後輩でございます。
彼女、何故か当時のあだ名を「タミー」と言っておりました。今じゃあ、大女優だもんね。
酔漢、実は彼女から卒業式に色紙をいただきました。それには、こう書いてございます。
「私は先輩の占いによると、意外に平凡な人生をおくるといわれましたが、はたして本当にそうなるのでしょうか。10年後自分のやりたいことが出来るといいな」
と。何をおっしゃいますか。大変失礼なことを申し上げまして本当にごめんなさい。NHK中学生日記、そして映画の吹き替え等等、ご活躍、とてもうれしく思います。
彼女、演技することにかけては、天才的な勘の持ち主でございました。
この話の続きは、後程じっくり話させていただきます。(かんの殿、せつこ様、よろしいでしょうか?)
さて、彼女の大学同期、にしくんの話を始めます。
演劇同好会。飲み会です。時期は今頃。冬の味覚がおいしい仙台でございます。
「酔漢先輩、『なまこ酢』ってなんですか?」
「何、おめぇ『なまこ』も知らねぇのか?」
「奄美の海には『なまこ』いるけど、青とか紫とかそんな色していて、とても食べられるようには見えなかったんですけど」
にしくんは、奄美大島から仙台の大学へ来たのでした。何故彼が仙台まで来たのかと申し上げますと「奄美市で福祉のプロを育てたい」との市の意向によって、仙台留学?をしているのでした。ですから、彼は優秀な大学生な訳です。
「んで、一つ注文してみっから、おめぇ食えねくても、俺好きだからっしゃ。大丈夫だっちゃ」小鉢が一つテーブルにやってまいりました。
「先輩、これがその『なまこ』ですか?」
「んだ、コリコリしていて旨めぇど。まず初体験だべ、食ったらいいっちゃ」
と、彼、箸でつまんで、目を閉じて口に入れました。
「なかなか歯ごたえがあって旨いもんですね」
「だべ。まぁ冬の味覚ってとこっしゃ」と酔漢。
そこに向いに座っていた、みずまくん(僕と同期生。石巻出身)が酔漢の顔をジーっと見ながら、こう話すのでした。
「酔漢、にしに、あの話さぁしねぐてねぇど」
「あのはなしって?何っしゃ?」
「ほれ、おらほさぁ伝わる『なまこの話』っしゃ」
おいおい、ここでいつもの奴始める気か?
そうなのです、彼一流の「ほら」、「かまし」の合図なのです。酔漢、こころの中では「ニヤッつと」笑うのでした。ですが、この瞬間まで「なまこ」からどう話を進めるのか、まだ、頭の中は整理がついておりません。
「みずま、例の『なまこ』の伝説か?」
「そうそう、例のなまこの伝説だべ。塩釜から石巻。いわゆる陸前地方に伝わる、なまこ伝説だべ」
酔漢、あることを思いつきました。結末を決めると、みずま君とアイコンタクトで話を進めます。
「まず、にし、なまこってどんな形してるか知ってっか?」
「知ってます。こうですよね」と、彼は、割り箸の袋を破き、ボールペンで絵を書きました。
「そうそう、んで話は早ぇっちゃ」
彼は興味深深な目つきで話を聞いております。
「この『なまこ』だけんど、実はある巨大生物の幼虫だって知ってたか?」
ほらの最初です。
「えっつ!うそ!そんな事初めて知りました」
「たぶんや、奄美のなまこもそうかもしゃねぇけんど、仙台のなまこは、そうなのっしゃ。んでも、それがどう成長するか、動物学会でも謎中の謎なのっしゃ」
「で酔漢先輩、どうなるんですか?」
「100年に一度、月夜の晩、まぁ満月だっちゃな。大潮の未明になまこが海から上がってくんのっしゃ。いいか、全部のなまこだべ。何千匹いっか解かんねぇっちゃ、遠めに見っと、岩が動いているように見えんだとっしゃ。それで、海から上がったなまこは、岩場や木に登るんだど。そこでしばらくじーーっとしたてたかと思うとや、いきなり、背中がパカーーッて割れてや、羽が出てくんだどや。そして、大きなセミか鳥みてぇになって空さぁ飛んで行くんだと」
「ドラゴンボールのセルみたいですよね」
(しまった、ネタがばれそうだ)そうです、話のネタはまさしくそれなのです。
目の前のみずま君は、もう腹を抱えて、涙流さんばかりに笑いをこらえています。
酔漢も話ながら、真顔を作れず、笑いがこみ上げてまいりました。
にしくんは?と言いますと、もう真剣な顔をして聞き続けております。
「先輩、それで、どこに向って飛んでいくんですか?」
「そこっしゃ。それが解んねぇのっしゃ。そいずが解ったら、『ネイチャー』の年間大賞もらえっぺ」
みずま君が続けます。
「でな、にし、そいずば見た奴はみんなして気が狂うんだど」
「見た人『みんな気が狂う』んだったら、どうして、話が残っているんですか?」
みずま、墓穴を掘る。
すかさず、酔漢「んだから、伝説なんだべや」→ナイスフォロー!
こうして、同好会恒例の飲み会が終わり、春休みの帰省にみんな帰っていきました。
翌春。「おっ、みんなお久しぶり」と酔漢、みずま君と部室に入りました。
にし君がおります。
「せんぱぁーーい。ひどいじゃぁないですかぁぁーー」と、にし君大声を上げております。
「どうした、にし!なんかあったか?」
「先輩のあの話、奄美で開かれた同窓会で話したんですよ。そしたら『おまえ何だませれてんだって』みんなから言われましたよぉぉ」
「おめぇ、本気で信じてたのか?」と僕らの方があっけに取られました。
「にし悪かった。あやまる。昼おごっからや」
「ほんとうですか?大盛りにしますよ」
機嫌の直ったにしくんでございました。
が、酔漢とみずま君は、また次の魔の手を考えているのでした。
それは、また後程。こうご期待。
それにしても、悪い先輩だっちゃ。
今日の話読んだら「これも出てくるんぢゃないか、あれも出てくるんぢゃないか」ってドキドキワクワク。酔漢さん、期待してるよ。でも、酔漢さんが「書きたい」って思った時でいいからネ。
でも酔漢さんたちのホラ話は毒がないからいいよ。
小生大学二年の時、文学部の縦割りコンパで高知出身の学生に「この間も国分町でナ、萩のヤツがナ、酔った勢いで『俺は長州だ』って叫んで・・・あん時は腕一本で済んだからよかったようなもんだが・・・」。そいつ、すっかり本気にして・・・思へば罪作りなことをしたものでございます・・・
ドイツにおった時分は、日本学を勉強している向うの学生たちと通過儀礼の話題になった時、「タイやビルマじゃ男は一生に一度必ず出家して僧侶の修行をする(これはホントだよネ)。塩竈じゃ男は一生に一度必ず笹カマの行商に出る。俺もこっちに来る前に済ませてきた」。嗚呼、東洋の神秘を幾つ増やしてきたことやら・・・
酔漢さんと「みずま君」が「にし君」をかつぐ様子がありありと目に浮びます。もっともらしい顔つきでナマコの話をしたんでしょうねぇ・・・ひとをかつぐ時はニコリともせずに話すのが鉄則だもんネ。