冒頭、「バルジ大作戦」のポスター。
ですが、この「くだまき」では、この作品を映画の視点では語りません。
作品自体は、面白く見る事ができましたが、「戦争映画」としては、どうしても、その水準が低いように感じるからです。
例えば、ロケ地がスペインの演習場であったり、(ですから、多くの戦車を登場させることもできたのですが)撮影で使われている戦車が、ドイツ軍はアメリカのM74であったり、逆にアメリカ軍の戦車が古いM24戦車だったり致します。
最初の場面で、あのキングタイガーが、戦車砲を跳ね返すのに、後半は対戦車砲で砲塔がぶっ飛んだりも。
雪の場面が急に、砂漠になったり(→これは、スペインの演習場での撮影の影響)
よくよく、見ますと、「あれ?」という場面に何度も出くわします。
アメリカ映画であるのに、ドイツ贔屓にならざるを得ない。
あのドイツ人指揮官「ヘスラー」は沈着冷静で、そそられるキャラクター(ロバート・ショウ)ですし、カイリー中佐(ヘンリー・フォンダ)も味を出しております。
「大量の戦車にわくわくする」
この気持ちは解るのですが、先にも語りましたように、「うーーん」と作品の評価を決めかねております酔漢です。
ですが、この作品のおかげで、名曲が世に知れる事となった史実は否定致しません。
「軍歌」というカテゴリーがございます。
「戦意高揚を目的として創作させられる歌」という定義があります。
ですが、その境界線上(一般の歌とかその意とするところの歌詞)にあるいくつか「語り継ぐべき歌」というものが、存在していると、酔漢は考えるところです。
一例ですが、「軍艦行進曲」「海ゆかば」「雪の進軍」は特にその感を強くするところです。特に、「雪の進軍」は、太平洋戦争時には、「禁止」とされていた事実があります。
この曲も映画「八甲田山」で多くの人に知られるところとなりました。
話は代わりますが、そういう意味でも、「バルジ大作戦」と「八甲田山」には共通しているところがあろうかと考えます。
(丹治さんの「ヨシ!」と言う声が聞こえて・・・)
このくだまきの題も「バルジ大作戦」ではなく「パンツァーリート」としたのにも、こういった訳があるのです。
では、バルジ大作戦より。
あの場面です。
http://youtu.be/CJIg7OLmAFU
行進曲ですから、「靴の音」は必至のBGMです。
「戦場にかける橋」ではあの「クワイ河マーチ」が流れる中、イギリス兵が、裸足で足踏みをするシーンがございます。
そして、裸足の足音が効果的なBGMになっております。
「八甲田山」では、雪を踏む音がやはり、効果的なBGMとなっております。
どうしても、映画の中での行進曲は、靴音の響きが重要なシーンとなります。
二十年前に話しが遡ります。
丹治さんから「酔漢、あのバルジ大作戦での『戦車兵の歌』には、原曲とは違っているんだ。発音もドイツ語じゃなくて英語っぽいんだよな」
この意が分かりませんでした。
「んで、今度、おせえてけさいん!」という事になっておりますが。お互い忙しい身となりまして・・・。
自分で、少しばかり、ドイツ語に挑戦致しました。
まずは、原曲に近い映像がありましたので、こちらもお聞き下さい。
ここで、一言申し上げます。
酔漢、ミリタリーファンではありませんし、この映像(ナチスの戦闘映像)を誇張するつもりもございません。
この場では曲をご紹介したく、この映像を使用いたしております。
さて、こうなりますと、一体「どんな歌なんだろう」と思われる方が大勢いらしゃると思います。
ご紹介いたします。
1.
Ob's stürmt oder schneit,
Ob die Sonne uns lacht,
Der Tag glühend heiß(←丹治さんのコメントで表記しきれなかった部分です)
Oder eiskalt die Nacht.
Bestaubt sind die Gesichter,
Doch froh ist unser Sinn,
Ist unser Sinn;
Es braust unser Panzer
Im Sturmwind dahin.
2.
Mit donnernden Motoren,
Geschwind wie der Blitz,
Dem Feinde entgegen,
Im Panzer geschützt.
Voraus den Kameraden,
Im Kampf steh'n wir allein,
Steh'n wir allein,
So stoßen wir tief
In die feindlichen Reihn.
3.
Wenn vor uns ein feindliches
Heer dann erscheint,
Wird Vollgas gegeben
Und ran an den Feind!
Was gilt denn unser Leben
Für unsres Reiches Heer?
Ja Reiches Heer?
Für Deutschland zu sterben
Ist uns höchste Ehr.
4.
Mit Sperren und Minen
Hält der Gegner uns auf,
Wir lachen darüber
Und fahren nicht drauf.
Und droh'n vor uns Geschütze,
Versteckt im gelben Sand,
Im gelben Sand,
Wir suchen uns Wege,
Die keiner sonst fand.
5.
Und läßt uns im Stich
Einst das treulose Glück,
Und kehren wir nicht mehr
Zur Heimat zurück,
Trifft uns die Todeskugel,
Ruft uns das Schicksal ab,
Ja Schicksal ab,
Dann wird uns der Panzer
Ein ehernes Grab.
(これタイプして変換して、数時間を要しました)
そして、1番だけ、日本語の発音をつけてみました。
Panzerlied
パンツァーリート
1.
Ob's stürmt oder schneit,
オープス シュトゥルムト オーデァ シュナイト
Ob die Sonne uns lacht,
オープ ディー ゾンネ ウンス ラハト
Der Tag glühend heiß
デァ ターク グリューエント ハイス
Oder eiskalt die Nacht.
オーデァ アイスカルト ディ ナハト
Bestaubt sind die Gesichter,
ベシュタウプト ズィント ディ ゲズィヒター
Doch froh ist unser Sinn,
ドッホ フロー イスト ウンザー ズィン
Ist unser Sinn;(繰り返し)
イスト ウンザー ズィン(繰り返し)
Es braust unser Panzer
エス ブラウスト ウンザー パンツァー
Im Sturmwind dahin.
イム シュトゥルムヴィント ダーヒン
(これ、発音記号を基に、なんとかかんとか日本語で発音表記してみました。これも数時間かかりました。→丹治寿太郎先生より頂戴いたしましたドイツ語教本を参考にしました)
そして、和訳です。
(丹治さんにレポートとして提出したら、点数もらえるかなぁ)
1.
嵐の日も雪の日も、
太陽が、僕らを照らす日も、
くそ暑い真昼も
くそ寒い真夜中も
顔が埃だらけになってしまおうが、
僕らの心はああ愉快。
僕らの心はああ愉快。
戦車は轟轟と
嵐の中へ突き進む。
2.
エンジンは唸り
颯のように果敢と進み、
敵の砲火も
鉄の意志で防げ。
僕らは友軍に先んじ行く、
支援はなくても戦うのみ。
支援はなくても戦うのみ。
進みゆく僕らの先
敵陣深く突き進む。
3.
敵の眼前に現われたら
全速前進
今、撃ちかえそう
僕らの陸軍の為
この身になにが起ころうとも。
この身になにが起ころうとも。
ドイツの為に散りゆく
栄誉の為にひたすらに
4.
障害物と地雷にも
敵が潜んでいようと
笑ってしまおう!
避けても進もう。
地中に潜む
敵砲が吼えていても
敵砲が吼えていても
僕ら誰も知らぬもの
未だ見ぬ道を探がして行こう
5.
武運ならずとも
深い傷を負ってしまい、
もはや故郷(故国)に
帰ることができなくなった。
弾丸が僕らを貫き通す。
命は尽き果てた。
命は尽き果てた。
その時、戦車は
僕らの鋼鉄の棺桶となる
酔漢が翻訳した次第。ですから、自身の趣味が多数です。
やはり、どうしても解らない箇所が多々ありまして、「はしょった」場所が、かなりあります。
丹治さんの添削を待ちます。
(本編より長くなっても構いませんので、宜しくお願い致します。4時間かけました。その努力だけは・・・)
「パンツァー・リート」は、2006年、ドイツ連邦本部参謀長来日の折、陸上自衛隊音楽隊は、この曲を原曲合唱付で迎えました。
これにより、東部方面音楽隊は、先のコンサートでも、「パンツァー・リート」を演奏しております。
ナチ時代の軍歌を全て否定しているドイツに於いて、また、フランス陸軍でも、歌詞を変えて、現在でも歌われ続けている。
その運命が何故か、「雪の進軍」とだぶってまいります。
作品では、最後、ヘスラーが戦死します。
Battle of the Bulge - Hessler's Death
最後、ドラム缶に砲塔が飛んでしまう「タイガー戦車」ですが、その直前に「パンツァー・リート」が流れてきます。
やはり、何故か、「八甲田山」とだぶってしまう酔漢でした。
ですが、この「くだまき」では、この作品を映画の視点では語りません。
作品自体は、面白く見る事ができましたが、「戦争映画」としては、どうしても、その水準が低いように感じるからです。
例えば、ロケ地がスペインの演習場であったり、(ですから、多くの戦車を登場させることもできたのですが)撮影で使われている戦車が、ドイツ軍はアメリカのM74であったり、逆にアメリカ軍の戦車が古いM24戦車だったり致します。
最初の場面で、あのキングタイガーが、戦車砲を跳ね返すのに、後半は対戦車砲で砲塔がぶっ飛んだりも。
雪の場面が急に、砂漠になったり(→これは、スペインの演習場での撮影の影響)
よくよく、見ますと、「あれ?」という場面に何度も出くわします。
アメリカ映画であるのに、ドイツ贔屓にならざるを得ない。
あのドイツ人指揮官「ヘスラー」は沈着冷静で、そそられるキャラクター(ロバート・ショウ)ですし、カイリー中佐(ヘンリー・フォンダ)も味を出しております。
「大量の戦車にわくわくする」
この気持ちは解るのですが、先にも語りましたように、「うーーん」と作品の評価を決めかねております酔漢です。
ですが、この作品のおかげで、名曲が世に知れる事となった史実は否定致しません。
「軍歌」というカテゴリーがございます。
「戦意高揚を目的として創作させられる歌」という定義があります。
ですが、その境界線上(一般の歌とかその意とするところの歌詞)にあるいくつか「語り継ぐべき歌」というものが、存在していると、酔漢は考えるところです。
一例ですが、「軍艦行進曲」「海ゆかば」「雪の進軍」は特にその感を強くするところです。特に、「雪の進軍」は、太平洋戦争時には、「禁止」とされていた事実があります。
この曲も映画「八甲田山」で多くの人に知られるところとなりました。
話は代わりますが、そういう意味でも、「バルジ大作戦」と「八甲田山」には共通しているところがあろうかと考えます。
(丹治さんの「ヨシ!」と言う声が聞こえて・・・)
このくだまきの題も「バルジ大作戦」ではなく「パンツァーリート」としたのにも、こういった訳があるのです。
では、バルジ大作戦より。
あの場面です。
http://youtu.be/CJIg7OLmAFU
行進曲ですから、「靴の音」は必至のBGMです。
「戦場にかける橋」ではあの「クワイ河マーチ」が流れる中、イギリス兵が、裸足で足踏みをするシーンがございます。
そして、裸足の足音が効果的なBGMになっております。
「八甲田山」では、雪を踏む音がやはり、効果的なBGMとなっております。
どうしても、映画の中での行進曲は、靴音の響きが重要なシーンとなります。
二十年前に話しが遡ります。
丹治さんから「酔漢、あのバルジ大作戦での『戦車兵の歌』には、原曲とは違っているんだ。発音もドイツ語じゃなくて英語っぽいんだよな」
この意が分かりませんでした。
「んで、今度、おせえてけさいん!」という事になっておりますが。お互い忙しい身となりまして・・・。
自分で、少しばかり、ドイツ語に挑戦致しました。
まずは、原曲に近い映像がありましたので、こちらもお聞き下さい。
ここで、一言申し上げます。
酔漢、ミリタリーファンではありませんし、この映像(ナチスの戦闘映像)を誇張するつもりもございません。
この場では曲をご紹介したく、この映像を使用いたしております。
さて、こうなりますと、一体「どんな歌なんだろう」と思われる方が大勢いらしゃると思います。
ご紹介いたします。
1.
Ob's stürmt oder schneit,
Ob die Sonne uns lacht,
Der Tag glühend heiß(←丹治さんのコメントで表記しきれなかった部分です)
Oder eiskalt die Nacht.
Bestaubt sind die Gesichter,
Doch froh ist unser Sinn,
Ist unser Sinn;
Es braust unser Panzer
Im Sturmwind dahin.
2.
Mit donnernden Motoren,
Geschwind wie der Blitz,
Dem Feinde entgegen,
Im Panzer geschützt.
Voraus den Kameraden,
Im Kampf steh'n wir allein,
Steh'n wir allein,
So stoßen wir tief
In die feindlichen Reihn.
3.
Wenn vor uns ein feindliches
Heer dann erscheint,
Wird Vollgas gegeben
Und ran an den Feind!
Was gilt denn unser Leben
Für unsres Reiches Heer?
Ja Reiches Heer?
Für Deutschland zu sterben
Ist uns höchste Ehr.
4.
Mit Sperren und Minen
Hält der Gegner uns auf,
Wir lachen darüber
Und fahren nicht drauf.
Und droh'n vor uns Geschütze,
Versteckt im gelben Sand,
Im gelben Sand,
Wir suchen uns Wege,
Die keiner sonst fand.
5.
Und läßt uns im Stich
Einst das treulose Glück,
Und kehren wir nicht mehr
Zur Heimat zurück,
Trifft uns die Todeskugel,
Ruft uns das Schicksal ab,
Ja Schicksal ab,
Dann wird uns der Panzer
Ein ehernes Grab.
(これタイプして変換して、数時間を要しました)
そして、1番だけ、日本語の発音をつけてみました。
Panzerlied
パンツァーリート
1.
Ob's stürmt oder schneit,
オープス シュトゥルムト オーデァ シュナイト
Ob die Sonne uns lacht,
オープ ディー ゾンネ ウンス ラハト
Der Tag glühend heiß
デァ ターク グリューエント ハイス
Oder eiskalt die Nacht.
オーデァ アイスカルト ディ ナハト
Bestaubt sind die Gesichter,
ベシュタウプト ズィント ディ ゲズィヒター
Doch froh ist unser Sinn,
ドッホ フロー イスト ウンザー ズィン
Ist unser Sinn;(繰り返し)
イスト ウンザー ズィン(繰り返し)
Es braust unser Panzer
エス ブラウスト ウンザー パンツァー
Im Sturmwind dahin.
イム シュトゥルムヴィント ダーヒン
(これ、発音記号を基に、なんとかかんとか日本語で発音表記してみました。これも数時間かかりました。→丹治寿太郎先生より頂戴いたしましたドイツ語教本を参考にしました)
そして、和訳です。
(丹治さんにレポートとして提出したら、点数もらえるかなぁ)
1.
嵐の日も雪の日も、
太陽が、僕らを照らす日も、
くそ暑い真昼も
くそ寒い真夜中も
顔が埃だらけになってしまおうが、
僕らの心はああ愉快。
僕らの心はああ愉快。
戦車は轟轟と
嵐の中へ突き進む。
2.
エンジンは唸り
颯のように果敢と進み、
敵の砲火も
鉄の意志で防げ。
僕らは友軍に先んじ行く、
支援はなくても戦うのみ。
支援はなくても戦うのみ。
進みゆく僕らの先
敵陣深く突き進む。
3.
敵の眼前に現われたら
全速前進
今、撃ちかえそう
僕らの陸軍の為
この身になにが起ころうとも。
この身になにが起ころうとも。
ドイツの為に散りゆく
栄誉の為にひたすらに
4.
障害物と地雷にも
敵が潜んでいようと
笑ってしまおう!
避けても進もう。
地中に潜む
敵砲が吼えていても
敵砲が吼えていても
僕ら誰も知らぬもの
未だ見ぬ道を探がして行こう
5.
武運ならずとも
深い傷を負ってしまい、
もはや故郷(故国)に
帰ることができなくなった。
弾丸が僕らを貫き通す。
命は尽き果てた。
命は尽き果てた。
その時、戦車は
僕らの鋼鉄の棺桶となる
酔漢が翻訳した次第。ですから、自身の趣味が多数です。
やはり、どうしても解らない箇所が多々ありまして、「はしょった」場所が、かなりあります。
丹治さんの添削を待ちます。
(本編より長くなっても構いませんので、宜しくお願い致します。4時間かけました。その努力だけは・・・)
「パンツァー・リート」は、2006年、ドイツ連邦本部参謀長来日の折、陸上自衛隊音楽隊は、この曲を原曲合唱付で迎えました。
これにより、東部方面音楽隊は、先のコンサートでも、「パンツァー・リート」を演奏しております。
ナチ時代の軍歌を全て否定しているドイツに於いて、また、フランス陸軍でも、歌詞を変えて、現在でも歌われ続けている。
その運命が何故か、「雪の進軍」とだぶってまいります。
作品では、最後、ヘスラーが戦死します。
Battle of the Bulge - Hessler's Death
最後、ドラム缶に砲塔が飛んでしまう「タイガー戦車」ですが、その直前に「パンツァー・リート」が流れてきます。
やはり、何故か、「八甲田山」とだぶってしまう酔漢でした。
何と作詞が「大伴家持」となっているではありませんか。
奈良時代の人の歌?
歌詞に出てくる「君」は、戦争当時の天皇を表したているのでしょうが、万葉集に詠われた時は全く別の天皇?ですから、よく見つけて軍歌にしたものだと驚きました。
「パンツァー・リート」という歌は知りませんでしたが、訳詞はよくわかりました。(笑)
厭世観というか、確かに、「雪の進軍」に通ずるところがありますね。
その謂れと解釈までは詳しくないのですが、本来の意味は奥が深いです。
このくだまきでも「軍歌」のカテゴリーではあるのですが、そうではないというのが私見です。本来の意が、今では伝わりにくくなっておると思うのです・・。
訳は、なんとかかんとか・・・。
添削を待っております。
限りなくAに近いBは堅いです。
細かいことをつつけば、格の取り違えによる「テニヲハ」の誤りがないこともありません。、
しかし、もう何十年もドイツ語に接していなかったのにここまで訳せるのですから。
酔漢さんの努力に乾杯します。
古来「詩は志なり」と申します。
大事なのは言葉のアヤではなくて、心です。
いわゆる偉い作者が書いた軍歌でなくて、
前線の兵士たちの間から生れた歌のように訳してあるのが、酔漢訳のよいところです。
第一節のglühend heißは「灼けつくように暑い」でもよいのですが、
eiskaltが「氷のように寒い」では日本語として不自然です。
ドイツ語(英語)は「寒い」も「冷たい」もkalt(cold)で表しますが、
日本語では水や氷などの温度が低いことは「冷たい」
気温が低いことは「寒い」と決っております。
eiskaltの「クソ寒い」glühend heißの「クソ暑い」という訳からは、
前線の兵隊さんの雰囲気がプンプンと伝わってきます。
いささかお下品な、
日本でいうならば
『兵隊やくざ』か『独立愚連隊』
アメリカでいうならば『戦略大作戦』のケリーの一味
のような雰囲気がよく出た、なかなかの訳ですよ。
第一節は、文句なく勇壮な内容です。
第二節から第四節も、そのような雰囲気が続いています。
しかし第五節の内容はどうでしょうか。
「すげない運命が/俺たちを見殺しにするなら/もう故郷には/二度と戻れない/死の弾丸が命中して/死神が俺たちを呼び出す時/俺たちの戦車は/非常な墓になる」
いわゆるエライ作者が作った軍歌なら、
同じ「死」ということを歌うにしても、このような言葉は綴らなかったと思います。
勇壮さと裏腹の「死」。
それを「すげない運命」「故郷には戻れない」「戦車は墓となる」と詠むことは、
前線で実際に戦う兵士でなければできることでないと思います。
この歌は、確かに作者がはっきりしています。
しかし前線の兵隊さんたちの間から、
自然発生的に成立した歌のような仕上りになっています。
『バルジ大作戦』では、この歌が実に効果的に使われていますね。
ヘスラー大佐にこき下ろされた若い戦車兵の一人がこの歌を歌いだす。
それがその場の戦車兵全体に広がる。
ヘスラー大佐も歌いだし、しまいには古い部下の下士官に
「もっと大きい声で」と促す。
ヘスラー大佐の戦車がぬかるみに足を取られ、脱出しようとする時に
この歌がバックに流れます。
大佐の心は「何のこれしき!まだまだ!!」なのでしょうが、
フルコーラスで歌詞の内容を知ってしまったいまとなっては、
この場面の『戦車兵の歌』の歌詞は
第五節のような気がしてなりません。
一種の悲哀を感じさせるという点では、
確かに『雪の進軍』とも一脈通じます。
ひーさんへ
『海ゆかば』は『萬葉集』巻十八に収められた長歌で、作者は確かに大伴家持です。
大仏造立に際して、陸奥の国から金が献上されたことを寿ぐ内容です。
大伴氏は物部氏と並んで武をもって朝廷に仕える家柄でしたが、
藤原氏の台頭もあって家運が傾きかけていました。
その一族の長として、感ずるところがあったのだと思います。
「大伴のともがらは、どこでどのような死に方をしても
ただひたすら大君のために尽せ」
と一族に呼びかけているのが、
『海ゆかば』として切り抜かれた箇所です。
今日では短歌のリズムは
5・7・5+7・7
と感じられることが多いですが、
本来は
5・7+5・7+7
だったようです。
これに対して長歌は
5・7+5・7+…+5・7+7
つまり
5・7×n+7(n>3)nは自然数
です。
『海ゆかば』は
5・7×3+7
つまり最小の短歌の形になっているのです(最初の5・7は字足らずですが)。
長歌からの切抜きが長歌になっているところに驚かされます。
>eiskaltの「クソ寒い」glühend heißの「クソ暑い」という訳からは、
上記、二か所がどうしても、ドイツ語表記ができなかった部分です。
本編では、ドイツ語表記になっております。
詩の部分に太字としている箇所がそうですので、詳しくお知りになりたい方は、本編を参照していただければ幸いです。
さて、丹治さん。ご指導ありがとうございます。「クソ暑い!」。これは、自身の趣味です。ドイツ語の「て、に、を、は」は、よく解らなくて。繰り返しの部分も正確には、そうでないとは思いつつ、単語の意が日本語では浮かばなかったのでした。
ありがとうございました。
5・7×n+7(n>3)nは自然数
しかし長歌は5・7を三回以上繰返すわけですから、
n>3は誤りで、正しくは
n>2またはn≧3でなくてはなりません。
ここに謹んで訂正いたします。
数式なんてめったに使わないもんですから、
なまじ一般化しようとするとこのザマです。
生兵法ケガのモトですナ。
ああ、恥しい恥しい・・・
ご解説ならびにご訂正ありがとうございます。
nが自然数。
久しく忘れていた文字でした。
年下がこれをのぞきこんで・・
「親父これは常識だ。忘れていた親父が勉強不足なんだよ」と言われてしまいました(汗)