前稿の「建設的相互作用」はフィンランドの教育制度にヒントを得て構想されたもののようです。そこで本稿ではフィンランドについて調べてみたいと思います。
フィンランドはスエーデンとノルウエーに国境を接する北欧に位置します。人口は556万人で70%以上が森林という自然豊かな地ですが、地域によってはー30度にも達する冬が8か月も続くという厳しい自然と対峙せざるを得ない国土でもあります。
フィンランドは従来からオーロラ、サウナ、サンタクロス、ムーミン等で有名でしたが、世界の注目を一身に集めたのは、先進34か国で構成されているOECD(経済協力機構)が3年ごとに各国の15歳を対象に実施する調査(PISA)で「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」分野において2006年、2009年に総合1位という抜群の成績を収めたからです。最新の調査では難民受け入れの急増、コロナの影響等でトップの座は明け渡しましたが、PISA以外の各種の調査で世界のトップクラスには常に君臨し続けてています。
これと併せて注目されるのが、世界143か国を対象に実施されている「世界幸福度調査」において最新の2022年度を含めて7年連続ブッチギリの1位にランキングされてことです。ちなみに、日本はPISAでは2022年度の最新調査において、前回のランクと比べ「読解力」が15→3位、「数学的リテラシー」が6→5位、「科学的リテラシー」が5→2位と大幅に改善しました。これはコロナ禍の国の対応力が学力に反映されたものと推察されますが、好ましい結果でした。一方で「世界幸福度調査」ではOECDでは最低レベルの51位に終わったのが、これからの我が国の課題です。
次稿では、基礎学力をあげそれを幸福度に結び付けている、フィンランドの教育の秘密を探ってみたいと思います。