ドラマ『愛しい嘘』の最終回を見終えました。本物雨宮と雨宮に扮していた中野が対決していたシーンは林遺都さんが二役されていたので最初にお母さんと望緒を迎えに来たのが本物の雨宮だったのを知ると騙されたなあと思いました。こういう演出はこのドラマのあちらこちらで今まで取られていた気がするので見ている人を自然に引き込む上手な見せ方だったですね。
本物雨宮が中野を殺そうとナイフで刺したとき雨宮のお母さんが背後から本物雨宮を刺して結局本物雨宮は死んでしまいました。こういう風になるとは思わなかったので予想外の展開でした。雨宮のお母さんが本物雨宮を刺したときにあんたなんか息子じゃないと言い放つ悲しいシーンがありました。また、雨宮に扮していた中野は自分が刺したように気を遣って雨宮のお母さんをかばっていました。
望緒にクロというペンネームで長い間ファンレターを出していたのが中野だったことを望緒は知ります。数知れぬ応援のエールを送ってくれて落ち込んでいたときにも励ましてくれたり元気づけてくれていたのが中野だったのですね。
人と人が支え合い、愛し合うきっかけのひとつには、それぞれの人が投げ掛ける温かい言葉や行動だったり、その温かい言葉や行動が支えになって、歩んで行けることもあるということをこのドラマでは主に描かれていたように思いました。
中学生の頃に実の両親に虐待され続けていた中野が血の繋がりがなかった雨宮の母親を本当に気遣っていたこと、雨宮の母親が自分の息子よりもいつも優しく気遣ってくれていた中野を助けようとしたこと、クロや雨宮に扮していた中野から語り掛けてくれた心のこもった言葉や行動が望緒を元気に強くさせていたシーンなどから人と人との繋がり方の根底にある言葉と行動がいかに重要な要素になっていたかがよく伝わってきた描かれ方でした。
このドラマでは登場人物がいろいろな嘘を付いていましたね。それぞれの嘘には愛しい嘘もありましたが、優しい闇という副題に示されていたように、愛しい嘘を付いていた謎のいろいろが最終回では解けて嘘を付いていた理由が切なかったですね。嘘の中にも、真実も必ずあったということ、嘘と真実は些細な差でしかなかったりするのかもしれないと思いました。
中学校の美術室に勝手に入るといくら卒業生でも不法侵入になるだろうし、ちゃんと了解とってるのかなあとか変につっこんでしまいながら、行方不明になっていた中野と望緒が美術室で再会したシーンでは、中学時代に話していた言葉や行動が大人になった二人に掛け替えのない生きる力となって時を超えて永遠に引き継がれて行く思いが詰まっていたことがよくわかりました。
最後に警察署の前で中野が仕返しで刺されてしまって死んでしまったのは悲しかったです。中野が罪を償った後、幸せになって欲しかったですね。人が簡単にいっぱい亡くなってしまうのも漫画のような世界だなあ(原作は漫画でしたね)と思いながら見終えた悲しい思いが最後に残ってしまったドラマでした。
犯罪に結びついたり、人を殺めないといけない嘘をたくさんつかないといけない人生を送るよりは、何も持ってなくてもありのままの飾らない、自分に嘘がない人生を送るほうがよっぽどいい生き方なのではないのだろうかとも思ったドラマでもありました。