〈私〉はどこにいるか?

私たちは宇宙にいる――それこそがほんとうの「リアル」のはずである。この世界には意味も秩序も希望もあるのだ。

知らなかっただけだが、宇宙ってのはすごい

2006-04-20 | Weblog
さきにお話しした『サングラハ』今号の現代科学的コスモロジーの記事に載せる銀河系の画像を探していて、どこか外国のサイトなら著作権とかでひっかかることがないだろう(?)ということで見てみたら、ありますね、いっぱい。

銀河系や深宇宙の画像を見ているととても不思議な気分がしてきます。
とくに掲示の画像はとてもきれいで、いま壁紙に使っています。
英語での説明なのでイマイチよくわからないのですが、“M81 vs. M82”の重力的な戦いの図らしいです。
(http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/image/0604/ より)

それはともかく、こういうふうにパッと見るとなんかかわいらしく小さく見えますが、たぶん実際のサイズは私たちのいる直径10万光年の天の川銀河よりずっと大きいはずのものです。

「10」のほうに気を取られて「そんなもん」と思ってしまいがちですが、問題は「万」「光年」のほうです。光の速度で、一万年の、さらに十倍…、ううむ!
とにかく想像を絶しかかってしまうスケールです。このスケールでは、光は止まっているも同然と言えるかもしれません。

何千億もの星屑(といっても太陽以上のサイズ)が、ただゴチャゴチャと集まるのではなくて、こうして美しい秩序をなしてひとつの想像を絶するようなスケールの銀河を形成している。

なによりこの天の川銀河(ということはつまり、ここのことです。私たちのいるここ)が、同じくこの画像で見るような渦巻き――最近では「棒渦巻き型」が有力説らしいですが――の巨大な秩序であるわけですね。宇宙が、宇宙自身の一部としてかたちを顕した秩序として。

日常の些事に気を取られて、学んだつもりの私なども日中はコロッと忘れていますが、しかしまさにここ地球がそういう大秩序のなかにあるということは、考えてみればものすごいこと、すてきなことです。

ところで、生命が誕生し、進化し、知的な生命体が創発しえた、この太陽系-地球のような恵まれた環境が、しかし銀河の中のこれだけ無数の恒星の中で他に存在しないということが果たして断定できるものでしょうか。
しかもこういう銀河が宇宙の中では何千億~一兆あるといわれているそうです。

宇宙人などというとチープであやしげなUFO話のようで、そんなバカな、おれたちは宇宙で孤立し孤独な存在なのだとクールに捉えるのがリアルだとずっと思ってきました。

しかし、そういうことではなくて、同じ銀河の大秩序の中で、この時間を共有し、この宇宙的な進化-創発の方向性をともに歩んでいる、想像もできないような生命的・意識的な存在がいると考えたほうが、このスケールで考えると現実的なような気が、今ではします。
おそらくまた、そういう存在があったとしても、宇宙的スケールの距離のためにお互いが交わることは決してないのでしょうが。

この写真の銀河の中にもそういう存在がいると想像すると、なんだかとても不思議で楽しいです。

それにしても、ほんのちょっと前までの人たちが決してみることができなかったこういう驚異的な画像を、私たちが見ることができるということ(しかもタダ!)、こういうところは科学というのはじつにありがたいものだと感じると同時に、私たち人間の存在がこの宇宙での(知られている限りの)進化の最先端にいるのだということを実感させられますね。


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5 コメント

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銀河…… (北見のM)
2006-04-21 06:20:51
 全国ニュースでも報道されていたかもしれませんが、昨日北海道の北見―池田間を結ぶ「ふるさと銀河線」が営業を終了しました。



http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%E3%81%A1%E3%81%BB%E3%81%8F%E9%AB%98%E5%8E%9F%E9%89%84%E9%81%93%E3%81%B5%E3%82%8B%E3%81%95%E3%81%A8%E9%8A%80%E6%B2%B3%E7%B7%9A



「銀河鉄道999」を描いた車両があったり、SLを走らせたり(この時は車で追っかけたなぁ……)していましたが、何よりも「銀河」線って言うところかいいよなぁ、と思っていました。結局一度も乗りませんでしたが(^^;)



 そこで、鉄道マニアでもないのに北見駅で最後に出発する車両と到着する車両を見に行きました。デジカメで写真を撮りまくって、車体に触って指紋を残してきました。新聞社やらテレビ局の人たちが、こんなに小さな駅に何でこんなにいるの?っていうくらい来ていましたので、今朝あたりのニュースで私の姿も全国放映されるかもしれません。(笑)



 ところで、インターネット上の著作権の問題って特に難しいですよね。リンクはOKだけどアップはNGとか、基本的には著作権は放棄したものとみなされる?とか聞きましたけども、これから固まっていくことなんでしょうね。何でも新しいものの出現は混乱が付きまとうものです。



 ……で、上の画像についてのコメントは特にはないのでリンクをば(^^)



http://www.ne.jp/asahi/stellar/scenes/object/m81m82.html
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プロフィールが・・・ (まなべ)
2006-04-22 23:04:07
軍曹さんから替わってる~。



私は子供の頃、星空が恐くて見上げられなかったんです。

小学校の高学年あたりで太陽系の事を学校で習ったと思うのですが、「光年」という気の遠くなるような単位や、惑星のあまりのデカさとか、宇宙の壮大すぎるスケールに、「ん?って事は、そのワケわかんないスケールの中に自分がいるって事??って事はつまりいったい自分はどこにいて何してて何なんだ??」って感じがして、我痴でがちがち()の状態では、どう理解すればいいのか分からなくて、ものすごい恐怖感がありました。

田舎で空気がきれいなもんだから、晴天の夜なんかほんとに手が届きそうなぐらいの満天の星空で、もう頭上に宇宙のスケールが容赦なく広がってくれちゃって、まぁ逃げ場がなくて恐くて困ったもんでした。



あ、今はさすがにそんなことはないです。

宇宙、美しいですよね。



会報誌、楽しみにしています。
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Unknown (M軍曹)
2006-04-23 02:49:29
コメントありがとうございます。やっぱりもらうとうれしいのであります。



>北見のM様

「ふるさと銀河線」が廃止とのこと、なんだか寂しいですね。時代とともに鉄道輸送の形態もどんどん変わっていくようです。首都近郊の電車はクールな感じのアルミ車両に進化し、社内放送にはうざったい英語のナレーションが流れ、なんかネットのテレビまで見れるようになってきたみたいです。さらにロングシートのどれも同じような通勤電車に画一化され、旅の味わいのあった対面シートは絶滅寸前です。そしてものすごく秒単位の効率性で会社←→家へと輸送される車中の人々は、携帯でちくちくやったり、いい年のオジサンがそろいもそろって漫画雑誌やらスポーツ新聞やらを読んでたり、たびたびケンカの声がするなど、ますますささくれ立っているような感じがします。

一方で、かつて国策で全国に張り巡らされた地方の鉄道輸送網は、結局利益最優先でどんどん切り捨てられているわけですね。若い人は猫も杓子も都会へ中心へと出ていき、取り残された年寄りは里山で孤立してゆくと。

この国の日常風景って、ものすごいかたよっていますよね。

ネット上の著作権のこと、ありがとうございます。ま、いずれにせよ、外国から何か追及されることはまずないと思いますので(されたらされたで悪くないですね)、今後も便利に使わせてもらおうかと思っています。

それから銀河画像、おそらく最近のHSTの映像だったのか、地上からのに較べるとはるかに鮮明に写っていることがわかりますね。そういう意味でもすごい写真だと思いました。



>まなべさん

どうもこんばんは。まだ肌寒い時期、紹興酒はなかなかよかったですね。

さて、書いておられること、深いお持ちだったのだと思いました。自分の場合、そこまで感じることもできず、「何万光年?それがおれたちに何の関係があるのか?どうせ意味ないじゃん」くらいに思っていました。

宇宙にのみ込まれるような恐怖感とのこと、昔大学のドイツ語の授業で、『ヴォイツェック』という暗い作品をやっていたことがあって(内容はあらかた忘れましたが)、その中で「永遠、永遠!、それを考えると気が狂いそうになる!」というような台詞があってそこだけ印象的でした。典型的な、ニヒリズム-リアリズムの作品だったのだと思います。

しかし、どうも現代の話では、宇宙はある時始まり、終わりもあるということになっているらしい。これもまた想像を絶してしまいますが…

それはそうと、アタマだけでコスモロジーを理解した気になるだけでなく、せっかくなら書いておられるような、ちょっと「のみ込まれる」くらいの体験をしてみたいものだと思いましたよ。一体の宇宙ということなら、それもまたすてきなことなのではないかと。
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いえいえ (北見のM)
2006-04-24 21:27:02
>コメントありがとうございます。やっぱりもらうとうれしいのであります。



 こちらこそ、こんないい加減なコメントに対して丁寧に返事をしていただいてありがとうございます。私もやっぱり返事を返していただけるとうれしいです。(だったら自前でブログを開設してくれと言われそうだ……)



 それでは、今回は「銀河系の形」特集で(笑)



http://www.city.tatebayashi.gunma.jp/kagakukan/kagakukan-tuusin/hosizorasanpo/uzumaki/uzumaki.htm

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E7%B3%BB

http://veraserver.mtk.nao.ac.jp/VERA/kiji/newton99-1.htm

http://veraserver.mtk.nao.ac.jp/VERA/kiji/newton99-2.htm

http://veraserver.mtk.nao.ac.jp/VERA/kiji/newton99-3.htm

http://veraserver.mtk.nao.ac.jp/VERA/kiji/newton99-4.htm

http://veraserver.mtk.nao.ac.jp/VERA/kiji/newton99-5.htm



 ところで話はまったく変わりますが、今夜10時からNHK総合で放映されるプレミアム10「立花隆が探る サイボーグの衝撃」に押井守監督や河合隼雄先生(長官、と呼ぶべきか?)が出るみたいなので軍曹殿も興味をもたれるのでは?
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Unknown (軍曹)
2006-04-25 00:02:24
北見のMさま、どうもありがとうございます。そうそう、ブログ開設考えてみられてはいかがでしょう?

銀河、どうも「棒渦巻き銀河」らしいですね。自分のいる銀河がじつはかたちがわかりにくいというのは、何だか面白いですね。まるで人の心のよう。自分でわかったような気になっているのはけっこう一部で、他の人から見た方がよくわかったりして。

それにしても日常ころっと忘れてますが、私たちの生きてる銀河、いずれにせよ美しい(かどうかわからないのかな?)渦巻きの秩序であるのには変わりなく、日々そういうことを思い起こして大きい心でいたいものだと思いました。

さて、押井監督が出演とのこと、見たかったのですが、もう終わってますね…(泣)、また聞き取りにくい小声の早口で、含蓄の深い台詞を語っておられることでしょう。
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