それが端的に示されているのが、「さまよう2000万人」との大見出しのもと、元旦第一面の半分を割いた連載の第一回である。初回ということで三人の対照的な同世代の生き様が見出し入りで紹介されており、それぞれが後の各エピソードの典型を示すかたちとなっている。
一人目は「負け組」。人材会社から全国の工場に派遣され安い賃金で使いまわされて青息吐息の生活のなか、なけなしのカネで買った株に淡い希望をつなぐ、「踏み台世代」26歳男性。
二人目は「勝ち組」。ちょっと前まで羽振りをきかせていた元ライブドア社員で、いわゆる“勝ち組”の勤め先を軽やかに転身し続け、現在は芸能事務所PR担当の、「転身世代」30歳女性。
三人目は「脱組」。最低限度のかわりの束縛のない生活の中、「クリスマス粉砕集会」なる意味不明の街頭パフォーマンスで「社会に組み込まれる」ことを拒否してみせているつもりらしい、自営業、「反乱世代」32歳男性。
以下、手元にある10回のエピソード+αは、次のようにこの三つのラインに沿ってかなりはっきりと分類することができる。このことから、同特集の編集方針とその前提がどのあたりにあったのかをうかがい知ることができるだろう。
●負け組:第3、5、7、10回、および別紙特集②(3日付)、④(7日付)
●勝ち組:第2、6、9回
●脱組:第4、8回
*第2回の若手地方議員2人は「脱組」、第8回の右寄り男性3人は「負け組」の要素を色濃く併せ持っている。
*別紙特集①(1日付)は「彼らの生涯・彼らの収支」と題された、同世代の将来のカネと雇用の予測、特集④(6日)もおおむね同じ主題のバリエーションとなっている。
(個々の記事をどう読んだかについては煩雑なので省略する。疑問や批判はコメントをいただければお答えしたい。が、もちろん解釈は読み手次第なので、この読みがどの程度妥当かの判断は、結局各自が同特集をお読みになってしていただくほかない)
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