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ウルビーノのヴィーナス展(国立西洋美術館)をそれ程でもなかったなあ、絵の題材は神話から採ったもの、配色がつたなく構図が類型的に過ぎる、と思い、入場料1,400円も払ったのか。
それから踵を進めて、例の有名な花見場所に向かう。
何年ぶりか。今年は東京地方が早咲きで満開の頃合いである。まるでパステル画に似て欅や小楢やくぬぎ、そろなどの若葉が滴り落ちるような雑木林の広場の中を東京国立博物館前から大噴水を経て、広小路の通りにむかう道筋の不忍池方面だ。今日は時間的に薬師寺展には余裕がない。公開が6月8日までだから、あの優美な月光、日光菩薩のかんばせにまみえるのもまだ先になる。まあいいか。
金曜日の平日の午後。空は一面の碧空である。それを背景に染井吉野の花は咲いている。家族連れと旅行途中のおのぼりさんの行き交う中、わたしは呆然自失かそれともなすがままに、ぽつねんと一目千本の桜の広場を眺め渡す。
シンメトリーとビスタ。中央に向かい我れ先とそれぞれが枝を差し掛けている桜並木。重なり合う淡紅色の世界。肌に感じぬほどの風に、今、花吹雪が舞う。どうだろう、俳句でもひねろうか。
桜花爛漫。さんざめきと静寂。
たわわに花びらをつける古木ぽいっ幹をたどると、淫らでいびつともいえるほどの灰褐色の盤根錯節の樹幹と樹姿。短命で病気や虫害にかかりやすくも、この桜たちは、今を先途として咲き誇る。
しかし、わたしの心情はある無機質な印象に変わる。寒々とした風情。こんな気持ちになったのは今年が初めてだ。
どこへ行っても同じ桜じゃないか。均一の特性の染井吉野じゃないか。
山桜系を台木に接ぎ木され人工的に大量繁殖し、全国津々浦々に植えつけられた染井吉野桜は無残な桜だ。
わたしには、里山など近くに自然に生えているおしとやかな山桜が好ましい。
なに、只のおっさんなんですけどね。
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